玄米を買ってみたものの、炊飯器に玄米コースがない。鍋で炊いてみたら芯が残ってぼそぼそだった。玄米を鍋で炊こうとすると、ここでつまずく人が少なくありません。白米なら鍋でもそれなりに炊けるのに、玄米になると急に難しく感じるのには、ちゃんと理由があります。
結論から言うと、鍋で玄米を炊くときに押さえるのは3つだけです。長めの浸水、白米より多めの水、そして弱火でじっくり時間をかけた加熱と蒸らし。たとえば象印の鍋のレシピでは、浸水1時間以上、沸騰したら全体を混ぜてごく弱火で40分、火を止めて15分蒸らす流れが案内されています。手順そのものは難しくなく、それぞれの工程に意味があると分かれば失敗はぐっと減ります。
この記事では、農林水産省の解説や炊飯器・鍋メーカーが公開しているレシピをもとに、玄米が硬くなる理由から、浸水時間と水加減の目安、土鍋・ホーロー鍋・圧力鍋ごとの違い、芯が残ったときの直し方、炊いた後の扱いまで、理屈から順に整理していきます。
・玄米が白米と同じ炊き方では硬くなる理由
・鍋で炊くときの基本の流れと、浸水・水加減の目安
・土鍋・ホーロー鍋・圧力鍋で火加減と時間がどう変わるか
・芯が残る・焦げるときの直し方と、炊いた後の扱い方
玄米はなぜ白米と同じ炊き方だと硬いのか?ぬか層が吸水を止める仕組み

芯が残る正体は、水を通しにくいぬか層
玄米が硬く炊き上がるいちばんの原因は、表面を覆っているぬか層が水を通しにくいことです。白米はぬか層を削り取ってあるので、水に浸けると胚乳(ごはんになる白い部分)に水がすっと入っていきます。一方の玄米は、もみ殻を外しただけで、ぬか層がそのまま残っています。
農林水産省はお米に関する解説ページで、「ぬか層を除去せず残している玄米は、ぬか層による胚乳部への吸水が阻害され」、「精白米と同様の炊飯方法では食感が硬くなってしまう」と説明しています。
台所でありがちなのは、白米と同じ感覚で洗ってすぐ火にかけてしまうケースです。外側は煮えてやわらかくなっても、中心まで水が届いていないので、噛むと芯が残ります。途中で水を足しても、水が入りにくい構造そのものは変わらないため、表面ばかりふやけてしまいがちです。
コツは、炊く前の段階で水を中まで届かせる時間をしっかり取ること。浸水時間、水の量、弱火の時間――このあと出てくる鍋炊きの手順は、すべてこのぬか層の壁を越えるための工夫だと考えると覚えやすくなります。
ぬか層=玄米の表面を覆う層。精米で削り取られる部分で、水を通しにくい性質があります。
胚乳=米粒の中心にある白い部分。炊くとごはんの本体になります。
浸水=炊く前に米を水に浸けて、胚乳まで水を吸わせておく工程。玄米ではここが仕上がりを大きく左右します。
白米と同じ水・同じ時間では足りない理由
玄米は水の量も時間も、白米より多く必要です。ぬか層が水の入り口をふさいでいるぶん、同じ時間浸けても吸う水の量が少なく、炊いている間に必要な水分も白米とは違ってくるからです。
タイガーは炊飯の解説ページで、玄米は白米に比べて水を多めにする必要があると案内し、炊き上がりまでの時間についても、ぬかに覆われている分75~90分ほどかかることが多いとしています。東芝も、玄米は吸水しにくいため、ひたし時間は白米に比べて4倍かかると説明しています(真空圧力で短縮する機種もあります)。
やりがちなのは、白米の水加減に少しだけ水を足して、白米と同じくらいの時間で炊き上げてしまうパターンです。見た目は炊けていても、粒の中心が白っぽく残り、口に入れるとぼそぼそします。逆に、硬かったからと次に水を大幅に増やすと、今度は表面だけがべたついて、芯は残ったままということもあります。
水と時間は、どちらか一方だけで解決しようとしないのがポイントです。水の量はレシピどおりにし、足りないのは浸水と弱火の時間のほうだと考えると、調整の方向を間違えにくくなります。

炊飯器の玄米コースも、鍋炊きと同じことをしている
実は、炊飯器の玄米コースがやっていることと、鍋で玄米を炊くときにやることは本質的に同じです。違いは、浸水や火加減を機械が自動でやるか、自分でやるかだけです。
パナソニックはFAQで、玄米コースは機種によって異なるものの最大約120分で炊飯し、玄米は白米に比べて浸水しにくいため浸し時間が長く設定されていると説明しています。日立も玄米コースの炊飯時間として、極上ふつう63~83分、しゃっきり46~62分、もちもち92~112分といった目安を案内しています。つまり炊飯器は、ボタンを押したあとの時間の中に、長めの浸水と時間をかけた加熱を組み込んでいるわけです。
ここで起きがちな失敗が、炊飯器の白米コースで玄米を炊いてしまうことです。白米コースは白米に合わせた浸水と加熱しか行わないので、玄米では水が中まで入りきりません。鍋で炊く場合も同じで、白米の鍋炊きの手順をそのまま当てはめると芯が残ります。
鍋で炊くなら、炊飯器が自動でやってくれていた浸水と長めの加熱を、自分の手で丁寧に再現するつもりで取り組むのがコツです。そう考えると、手順の一つひとつを省略してはいけない理由も納得しやすくなります。
玄米の炊き方は鍋でも5ステップ|象印のレシピで流れをつかむ
洗い方はレシピによって表現が違う
まず米を洗う工程ですが、玄米の洗い方はメーカーのレシピによって表現が分かれています。象印の鍋のレシピは米を洗って鍋に入れるとし、ル・クルーゼのレシピでは玄米をサッと洗う、ビタクラフトの圧力鍋のレシピではよく洗うとしています。
こうした違いが出るのは、玄米のぬか層は白米のように研いで落とすものではなく、表面の汚れやごみを洗い流すことが主な目的だからだと考えられます。白米のように力を入れて研いでも、ぬか層が水を通しやすくなるわけではありません。
やりがちな失敗は、白米と同じ感覚で何度もごしごし研いでしまうこと。玄米は粒が硬いので割れにくいとはいえ、手間をかけたぶん仕上がりがよくなる工程ではありません。逆に、袋から出してそのまま洗わずに浸水させるのも、浮いてくるもみ殻やごみが残る原因になります。
迷ったら、使う鍋のメーカーのレシピの表現に合わせるのが確実です。どのレシピを使う場合も、水を替えながら表面のごみや浮いてきたものを流す、というところまでは共通して押さえておきましょう。
1時間以上の浸水と、中火での立ち上げ
洗ったら、水を加えて浸水させます。象印の鍋で玄米を炊くレシピでは、玄米3カップに水4.5カップ(900mL)を使い、米を洗ってなべに入れ、水を加えて1時間以上、冬は少し長めにつけておくと案内されています。浸水した水ごと火にかけるので、計量した水はここで鍋に入れたまま使います。
浸水が終わったら、ふたをして中火にかけます。いきなり強火にしないのは、鍋の底だけが急に熱くなって、上の方の米との温度差が大きくなるのを避けるためです。中火でゆっくり温度を上げていくと、鍋全体に熱が回りやすくなります。
台所でありがちなのは、時間がないからと浸水を数十分で切り上げ、強火で一気に沸騰させてしまうパターン。こうすると外側だけが先に煮え、中心は水が足りないまま加熱が進みます。浸水不足と強火は、芯が残る原因の組み合わせとしてよく見られます。
浸水は、炊く時刻から逆算して先に始めておくのがコツです。朝に炊くなら前の晩に、夕食に炊くなら昼のうちに、といった具合に、生活の流れの中に浸水の時間を組み込んでしまうと続けやすくなります。
沸騰したら混ぜて、ごく弱火で40分
鍋炊きの本番は沸騰したあとです。象印のレシピでは「ふたをして中火にかけ、沸とうしたら全体を混ぜ合わせてごく弱火で40分加熱します」と案内されています(象印 IHなべで玄米を炊く)。
沸騰したところで一度混ぜるのは、鍋の底と上の方とで米の温まり方をそろえるためです。そこから火をごく弱く落として長めに加熱するのは、ぬか層の内側までゆっくり熱と水を届けるため。強い火で短時間に済ませると、水分が先に飛んでしまい、中まで火が通る前に水が足りなくなります。
やりがちなのは、弱火のつもりが中火寄りになっていて、ふたの隙間から勢いよく蒸気が出続けているケースです。この状態だと40分持たずに水がなくなり、底が焦げつきます。反対に、火が弱すぎてコンロの安全装置で消えてしまっていた、という失敗もあります。
ごく弱火の目安は、ふたの隙間から蒸気が静かに上がる程度です。火加減の表示が使える場合はいちばん弱い段階から試し、途中で音やにおいを確かめながら調整しましょう。加熱時間は鍋のメーカーや炊く量によって違うので、40分は象印のレシピでの値として受け止めてください。
火を止めて15分蒸らし、全体を混ぜる
加熱が終わったら、すぐにふたを開けずに蒸らします。象印のレシピでは、火を止めて15分蒸らしてから全体を混ぜ合わせる流れです。ル・クルーゼのレシピでも熱源からおろして15分ほど蒸らすとしていて、蒸らしは玄米の鍋炊きに欠かせない工程として扱われています。
蒸らしの役割は、鍋の中に残った熱と蒸気で、粒の中心まで仕上げることです。火を止めた時点ではまだ粒の表面と中心とで水分に差があり、この時間に水分が全体に行き渡ります。最後に全体を混ぜるのは、余分な蒸気を逃がし、上下の水分の偏りをならすためです。
やりがちな失敗は、加熱が終わった瞬間にふたを開けて味見をし、硬いからと火にかけ直してしまうこと。蒸らしを終えてから判断すれば、ちょうどよく仕上がっていた可能性があります。逆に、蒸らしたまま長時間放置して、鍋底の水分で下の方だけべたついてしまうケースもあります。
蒸らしの時間はタイマーで計っておき、終わったらしゃもじで底から大きく返すように混ぜましょう。ル・クルーゼのレシピのように、空気を含ませるようにやさしく混ぜると、粒がつぶれにくくなります。
浸水は1時間でいい?5時間?各社で答えが割れる理由

1時間以上から5時間まで、レシピの幅は広い
玄米の浸水時間は、メーカーやレシピによって答えがはっきり分かれます。象印の鍋のレシピは1時間以上、タイガーは最低でも2~3時間、ル・クルーゼのココット・エブリィのレシピは2時間ほど、ビタクラフトの鍋の炊き方では5時間浸水とされています。
これだけ幅があるのは、どれかが間違っているからではなく、浸水と組み合わせる水の量・弱火の時間・蒸らしの時間がレシピごとに違うからです。浸水を短めにする代わりに弱火の時間を長く取るレシピもあれば、浸水をしっかり取って加熱を短めにするレシピもあります。工程全体で、ぬか層の内側まで水と熱を届けるバランスを取っているわけです。
ここでやりがちなのが、Aのレシピの浸水時間とBのレシピの加熱時間を組み合わせてしまうこと。短い浸水と短い加熱を合わせれば芯が残り、長い浸水と長い加熱を合わせればやわらかくなりすぎることがあります。
コツは、一つのレシピを決めたら、浸水・水・加熱・蒸らしをすべてそのレシピの値でそろえることです。使う鍋のメーカーがレシピを出していれば、まずはそれを基準にするのが近道です。
寒い季節ほど浸水を長くする理由
浸水時間は季節によっても変わります。タイガーは炊飯の解説ページで「玄米の場合は最低でも2~3時間はつけておいてください。特に寒い季節の場合は5~6時間以上つけておく必要があります」と案内しています。象印のレシピも、冬は少し長めにつけるとしています。
寒い季節に時間がかかるのは、水温が低いと米が水を吸うスピードが遅くなるためと考えられます。同じ時間浸けても、夏と冬とでは粒の中に入っている水の量が違ってくるわけです。ぬか層があってもともと吸水しにくい玄米では、この差が仕上がりに表れやすくなります。
台所でよくあるのが、夏に炊いてうまくいった時間のまま冬も同じように浸水して、冬だけ芯が残るというケースです。炊き方は同じなのに季節で仕上がりが変わるときは、まず浸水時間を疑ってみてください。
寒い時期は、レシピの浸水時間の下限ではなく、上限寄りを目安にするのがコツです。キッチンが冷え込む家では、朝に炊く場合も前の晩から浸水を始めるなど、時間に余裕を持たせておくと安心です。
やりがちな失敗:浸水不足のまま火にかけてしまう
鍋炊きの玄米でいちばん多い失敗は、浸水不足のまま炊き始めてしまうことです。弱火の時間や蒸らしをレシピどおりに守っても、スタート時点で中まで水が入っていなければ、加熱中に取り戻すのは難しくなります。
理由は、ぬか層の性質にあります。農林水産省が説明するように、ぬか層は胚乳部への吸水を妨げます。加熱が始まると表面のでんぷんが先に糊状になり、さらに水が入りにくくなるため、浸水が足りないと中心に乾いた部分が残りやすいのです。
具体的には、夕食の直前に炊こうと思い立ち、浸水を30分ほどで切り上げてしまうケースがよくあります。炊き上がりの表面はつやがあっても、粒を割ると中心が白く、噛むと硬い。こうなったら、次回は浸水時間を延ばすところから見直しましょう。
なお、玄米のぬか層は精白米と比べて菌数が多いと農林水産省は説明しています。気温の高い季節に長く浸水させるときは、直射日光の当たらない涼しい場所に置くなど、置き場所に気を配っておくと安心です。
原因:浸水時間が短く、ぬか層の内側まで水が届いていないまま加熱が始まっている。寒い季節は同じ時間でも吸水量が少なくなりがちです。
対策:使うレシピの浸水時間を守り、冬は長めに取る。炊く時刻から逆算して、前の晩や数時間前から浸水を始めておきましょう。

水加減は玄米1合にどれくらい?4つのレシピを並べて比べる
1合なら水250~270mlがひとつの目安
鍋で玄米を炊くときの水加減は、1合あたりで考えると分かりやすくなります。ル・クルーゼの玄米の炊き方レシピでは「玄米1合(180cc)に対して水1.4~1.5カップ(250~270ml)」とされています。
白米より水を多くするのは、タイガーの説明にもあるとおり、玄米は硬く、炊く過程でより多くの水を必要とするからです。さらに鍋炊きは炊飯器と違って、ふたの隙間から蒸気として水分が逃げやすい面もあります。弱火で長く加熱するあいだにある程度の水が蒸発することも見込んで、水量が設定されていると考えると納得しやすいでしょう。
やりがちな失敗は、計量カップの目盛りを見ずに、手の甲の高さや指の関節で水を測る白米の方法をそのまま使うことです。この方法は鍋の形や米の量で誤差が出やすく、玄米ではその誤差が芯やべたつきとして表れます。
コツは、慣れるまではきちんと計量すること。250~270mlのように幅がある場合は、まず少ない方で炊いて、硬ければ次回に少し増やす、という順に調整していくと、自分の好みの水加減が見つけやすくなります。
カップで量るレシピは、単位の違いに注意
レシピによっては、米を合ではなくカップで量っているものもあります。象印の鍋のレシピは玄米3カップに水4.5カップ(900mL)、ビタクラフトの鍋の炊き方は米1カップに水300mLという書き方です。
ここで気をつけたいのは、1合(180cc)とレシピのカップは同じ量ではないことです。象印のレシピでは、水4.5カップを900mLと併記しています。米を合で量りながら水をカップのレシピどおりに入れる、といった単位の取り違えをすると、米と水の割合が変わってしまいます。
台所でありがちなのが、炊飯器に付いてきた米用の計量カップ(1合カップ)でカップ表記のレシピの米を量ってしまうケースです。米が少なめになるのに水はレシピどおりなので、仕上がりがやわらかくなりすぎることがあります。
カップ表記のレシピを使うときは、米も水も同じ計量カップで量るのが基本です。mLの併記があるレシピなら、水はmLで量ると間違いがありません。合とカップを混ぜて使わないことだけ意識すれば、レシピの値をそのまま活かせます。
| レシピ | 米と水 | 浸水 | 加熱と蒸らし |
|---|---|---|---|
| 象印(IHなべ) | 玄米3カップ・水4.5カップ(900mL) | 1時間以上(冬は少し長め) | 中火→沸騰で混ぜてごく弱火40分→15分蒸らす |
| ビタクラフト(鍋) | 米1カップに水300mL | 5時間 | 弱火40~50分→約10分蒸らす |
| ル・クルーゼ(ココット・ロンド) | 玄米1合(180cc)に水250~270ml | 1時間以上 | 中火→沸騰で弱火20~25分→15分ほど蒸らす |
| ル・クルーゼ(ココット・エブリィ) | 玄米2合・水500ml | 2時間ほど | 沸騰でひと混ぜし弱火20分→15分ほど蒸らす |

出典:象印・ビタクラフト・ル・クルーゼ(ロンド)・ル・クルーゼ(エブリィ)の各レシピ。鍋の材質や容量で適した値は異なります。
鍋のサイズと炊く量をそろえる
水加減と同じくらい大事なのが、鍋のサイズと炊く量の組み合わせです。ル・クルーゼはココット・ロンドのサイズ別に、16cmなら米1合・水250~270ml、18cmなら米2合・水500~540ml、20cmなら米3合・水750~810mlという目安を示しています。
サイズを合わせる理由は、鍋の直径に対して米の層の厚さが変わると、火の通り方と水分の蒸発のしかたが変わるからです。大きな鍋に少ない米を入れると層が薄くなり、水面が広いぶん蒸発が早く進みます。逆に小さな鍋にたくさん入れると層が厚くなり、上の方まで熱が届くのに時間がかかります。
やりがちなのは、大きな鍋で1合だけ炊いて、底が焦げつき上は硬い、という失敗です。レシピの水量どおりでも、鍋が大きすぎると弱火の間に水が先になくなってしまいます。
コツは、手持ちの鍋の大きさに合った量で炊くことです。メーカーがサイズ別の目安を出している場合はそれに従い、出ていない場合は、米と水を入れたときに鍋の深さに余裕があり、かつ米の層が薄くなりすぎない量を選びましょう。
無洗米タイプ・発芽玄米は水の量を調節する
同じ玄米の仲間でも、無洗米タイプの玄米や発芽玄米は、普通の玄米と同じ水加減では合わないことがあります。ル・クルーゼのレシピでも、無洗米や発芽玄米は水の量の調節が必要だと注意書きがあります。
発芽玄米は、玄米を少し発芽させたもので、普通の玄米とは吸水のしかたが変わると考えられます。炊飯器でも、日立の玄米コースは発芽玄米・玄米・分づき米だけで炊飯するときのコースと案内されていて、白米とは分けて扱われています。商品によって加工のされ方が違うため、袋の表示に炊き方が書かれていればそちらを優先するのが確実です。
やりがちなのは、発芽玄米を普通の玄米と同じ長さで浸水し、同じ水量で炊いてしまうことです。思っていたよりやわらかくなったり、逆に硬かったりと、仕上がりがぶれやすくなります。
無洗米タイプや発芽玄米を鍋で炊くときは、まず袋の表示とメーカーの案内を確認し、そのうえで鍋のレシピの水量から少しずつ調整しましょう。発芽玄米と玄米の違いについては、次の記事で詳しくまとめています。

土鍋・ホーロー鍋・圧力鍋で、火加減と時間はどう変わる?
土鍋は蒸気の勢いで水分を見極める
土鍋で玄米を炊くときは、時間だけでなく蒸気の様子を見ながら火加減を決めるのがポイントです。タイガーは土鍋で炊く場合について、中火で沸騰まで待ち、沸騰したら弱火にし、蒸気が弱くなったら一度ふたを開けて水分を確認する流れを案内しています。
土鍋は厚みがあって熱をため込みやすい一方、温まるまでに時間がかかり、火を弱めたあとも余熱で加熱が続きます。そのため、コンロのつまみの位置だけでは鍋の中の状態が読みにくく、蒸気の勢いを手がかりにするほうが確実なのです。蒸気が弱くなるのは、鍋の中の水分が減ってきたサインと考えられます。
やりがちな失敗は、白米を土鍋で炊くときの感覚で、早めに火を止めてしまうことです。玄米は白米より長い加熱が必要なので、白米と同じタイミングで火を止めると芯が残ります。また、土鍋は急な温度変化に弱いものが多いため、空焚きや、熱いまま冷たい場所に置くことにも注意が必要です。
土鍋で炊くときは、取扱説明書で玄米に使えるか、使える火力の範囲を確認してから始めましょう。IHで使う場合は、IH対応の表示があるかどうかも事前に確かめておく必要があります。
ホーロー鍋は弱火の時間が短めのレシピも
厚手のホーロー鍋では、弱火の時間が象印のレシピより短めに設定されているものがあります。ル・クルーゼのココット・ロンドのレシピは「沸騰したら弱火にして20~25分炊く」としていて(ル・クルーゼ 玄米の炊き方)、ココット・エブリィのレシピでも弱火20分のあと15分ほど蒸らす流れです。
加熱時間がレシピごとに違うのは、鍋の厚み・ふたの重さ・保温性・炊く量といった条件がそれぞれ異なるためです。重いふたで蒸気が逃げにくく、鍋自体が熱をためやすい鍋なら、短い加熱でも余熱と蒸らしで火が通る、という設計になっていると考えられます。ただし、どの条件がどれだけ効いているかはメーカーごとに違うので、一律には比べられません。
やりがちなのは、ホーロー鍋で炊くのに、象印のレシピの40分をそのまま当てはめてしまうこと。鍋によっては水分が先になくなり、底が焦げつく原因になります。逆に、薄手の鍋でホーロー鍋の短い時間を使うと、芯が残りやすくなります。
コツは、加熱時間を鍋とセットで覚えることです。手持ちの鍋のメーカーが玄米のレシピを出していれば、その時間を基準にしましょう。
圧力鍋は加圧で時間を縮める
圧力鍋は、加圧することで普通の鍋より短い時間で玄米を炊けるのが特徴です。ビタクラフトの圧力鍋の玄米レシピでは、玄米2カップに水550ccと塩を加え、1時間浸水したあと、圧力表示ピンがレベル2になったら弱火にして15分加圧し、自然放置する流れです。ワンダーシェフのレシピでは、玄米2合・水470mLで30分~1時間吸水させ、圧力がかかったら弱火で超高圧6分、または高圧12分としています。
圧力鍋では鍋の中の圧力が高まることで、普通の鍋より高い温度で加熱できるとされています。そのため、ぬか層の内側まで熱と水が届きやすくなり、加圧時間そのものは短くて済むわけです。タイガーも圧力鍋で炊く場合は高圧に設定してまず強火、十分に圧力がかかったら弱火にすると案内しています。
注意したいのは、同じ圧力鍋でもメーカーによって水量・吸水時間・加圧時間がばらばらなことです。ワンダーシェフのレシピの加圧時間をビタクラフトの鍋で使う、といった組み合わせは、圧力の強さが違うため仕上がりが変わります。
圧力鍋で炊くときは、必ずその鍋のメーカーのレシピと取扱説明書に従いましょう。加圧後の自然放置も、蒸らしを兼ねた大事な工程なので、急いでふたを開けないことが基本です。
電気圧力鍋は玄米メニューに任せる
電気圧力鍋に玄米のメニューがある場合は、手動で時間を決めるより、メニューに任せるのが確実です。ティファールのラクラ・クッカー コンパクトの玄米のレシピでは、玄米2~4合を対象に、60分吸水させてから「炊飯」→「玄米」→「20分」を選択し、炊き上がったら15分程度保温して蒸らす流れが案内されています。
電気圧力鍋は、加圧の強さや温度の管理を機械が自動で行うので、ガスの火加減のような調整が要りません。水の量も、内なべの玄米の水位目盛を参考にするよう案内されています。メニューを選べば、メーカーが想定した圧力と時間で炊けるのが利点です。
やりがちなのは、吸水の工程を省いてすぐにメニューを選んでしまうことです。電気圧力鍋でも、ティファールのレシピのように吸水時間が設定されている場合は、その時間を取ってから炊き始めるのが前提になっています。
電気圧力鍋は機種ごとにメニュー名や手順が違います。説明書のレシピのページで、玄米の水位目盛と吸水時間、炊き上がり後の蒸らし方の3点を確認してから使いましょう。
鍋の種類によって、浸水・水量・加熱時間の正解は変わります。土鍋は蒸気の様子で水分を見極め、ホーロー鍋や圧力鍋はメーカーのレシピの時間をそのまま使うのが基本。別の鍋のレシピの数値を混ぜないことが、失敗しないいちばんの近道です。
芯が残る・焦げる・やわらかすぎる、どこを直せばいい?
芯が残るなら、浸水→水→弱火の時間の順に見直す
炊き上がった玄米に芯が残っていたら、浸水時間、水の量、弱火の時間の順に見直すのが効率的です。いちばん影響が大きく、しかも見落としやすいのが浸水だからです。
ぬか層は吸水を妨げるので、浸水が足りないと、あとから水や時間を足しても中心まで届きにくくなります。浸水を十分に取っていたなら、次に疑うのは水の量です。計量せずに目分量で入れていた場合や、合とカップを取り違えていた場合は、ここで差が出ます。浸水も水も合っているなら、弱火の時間が短かったか、火が強すぎて水分が先に飛んでいた可能性があります。
やりがちなのは、芯が残るたびに水だけを増やし続けることです。浸水不足が原因なのに水を増やすと、表面がべたついて芯は残ったまま、という一番扱いにくい仕上がりになります。
見直すときは、一度に一つだけ変えるのがコツです。浸水を延ばしたら、水と時間は前回と同じにして炊いてみる。こうすると、どの要素が効いたのかが分かり、自分の鍋に合った炊き方が早く固まります。
底が焦げつく:火が強すぎるか、鍋と量が合っていない
鍋炊きで玄米の底が焦げつくのは、弱火のつもりの火が強すぎたか、鍋の大きさと米の量が合っていないことが多い原因です。玄米は加熱時間が長いぶん、白米より焦げつきのリスクが高くなります。
弱火の加熱時間が長いレシピほど、その間に鍋の底へ熱が当たり続けます。火力が少し強いだけでも、長い時間の中で水分が先になくなり、残った熱が底の米を焦がしてしまうのです。大きな鍋に少量を入れた場合も、水面が広くて蒸発が早いため同じことが起きます。
具体的な場面としては、ふたの隙間から勢いよく蒸気が出続けていたのにそのままにしていた、あるいは焦げたにおいがしても時間が来るまで待っていた、というケースがよくあります。
原因:沸騰後の火が強く、長い加熱時間のうちに水分が先になくなっている。大きすぎる鍋で少量を炊いて蒸発が早まっていることも。
対策:沸騰後はいちばん弱い火から試し、蒸気が静かに上がる程度を保つ。鍋の大きさに合った量で炊き、焦げたにおいがしたら時間前でも火を止めて蒸らしに移りましょう。
焦げつきが続くときは、まず火力を一段下げ、それでも焦げるならメーカーのレシピの加熱時間の短い方を使う、と順に試してみてください。
やわらかめに炊きたいときの火加減
硬めの食感が苦手で、玄米をやわらかめに炊きたい場合は、火加減の入り方を変えるという方法があります。ル・クルーゼは、やわらかめに仕上げたいときの炊き方として、弱火で炊き始め、沸騰後もそのまま弱火で20~30分炊き、表面にカニ穴ができたら熱源からおろす方法を紹介しています。
弱火で炊き始めると、沸騰までの時間が長くなります。その間も米は水を吸い続けるので、中心まで水が入りやすくなり、仕上がりがやわらかくなると考えられます。カニ穴とは、炊いているうちに表面に現れる小さな穴のことで、蒸気の通り道ができ、鍋の中の水分が減ってきた目安になります。
やりがちな失敗は、やわらかくしたいからと水を大幅に増やしてしまうことです。水が多すぎると粒の形が崩れ、べちゃっとした食感になりがちです。やわらかさを出したいときは、水の量より加熱の入り方や浸水時間で調整するほうが、粒感を残しやすくなります。
また、べちゃつきが気になるときは、蒸らしのあとに底から大きく混ぜて余分な蒸気を逃がしているかも確認しましょう。混ぜずに置いておくと、鍋底にたまった水分で下の方だけ水っぽくなります。
実は、途中でふたを開けて確かめてもいい
炊飯中はふたを開けてはいけない、という言い伝えはよく知られています。けれど実は、鍋で玄米を炊く場合には、途中で一度ふたを開けて様子を確かめるよう案内しているメーカーもあります。タイガーは土鍋で炊く場合について、蒸気が弱くなったら一度ふたを開けて水分を確認する流れを紹介しています。
ふたを開けると中の熱と蒸気が逃げるので、何度も開けるのはよくありません。ただ、玄米は加熱時間が長く、鍋や火力の違いで水分の減り方に差が出やすいもの。水分が残っているのか、すでになくなりかけているのかを一度確かめるほうが、焦げや芯の失敗を防ぎやすいという考え方です。
台所でありがちなのは、開けてはいけないと思い込むあまり、焦げたにおいがしていても最後まで開けずに、底を焦がしてしまうパターンです。
確認するなら、蒸気が弱くなったタイミングで素早く1回だけにしましょう。ただし、圧力鍋や電気圧力鍋は、圧力がかかっている間にふたを開けることはできません。開けてよいのは普通の鍋や土鍋の話で、圧力鍋は取扱説明書の手順を必ず守ってください。
炊いた玄米の扱い方と、暮らしに合わせた炊き分け
炊き上がった玄米を温かいまま長く置かない
炊き上がった玄米は、温かい状態で長く置きっぱなしにしないのが基本です。炊飯器で玄米を炊いた場合について、日立は玄米コースのQ&Aで「保温はしないでください。(におい・変色の原因になります)」と案内しています。
玄米はぬか層が残っているぶん、温かいまま時間がたつと、においや色の変化が出やすいと考えられます。農林水産省も、玄米のぬか層は精白米と比べると菌数が多いと説明しています。鍋で炊いた場合も、鍋に入れたまま長時間置いておくのは避けたほうが安心です。
台所でありがちなのは、多めに炊いて鍋のまま夜まで置いておき、次に食べるときにはにおいが気になる、というケースです。せっかく手間をかけて炊いた玄米が、置き方ひとつで味を落としてしまいます。
すぐに食べない分は、蒸らしと混ぜる工程が終わったら早めに小分けにして、冷蔵や冷凍に回しましょう。保存期間は家庭の環境や容器で変わるので、食べきれる量を炊くことを基本にし、保存方法は冷凍用の容器や冷蔵庫の取扱説明書の案内に沿ってください。
鍋で炊くか、炊飯器で炊くかの考え方
鍋で炊くか炊飯器で炊くかは、どちらが正しいというより、生活のリズムに合うかどうかで選ぶのがおすすめです。どちらも、長めの浸水とじっくりした加熱という原理は同じだからです。
炊飯器の玄米コースは、浸水と加熱を自動で行うぶん手間がかかりません。その代わり、パナソニックの案内にあるように最大約120分かかる機種もあり、炊き上がりまでの時間は長めです。鍋は浸水と火加減を自分で管理する必要がありますが、そのぶん圧力鍋なら加圧時間を短くでき、普通の鍋でも弱火の時間や水の量を自分好みに調整しやすい面があります。
やりがちなのは、炊飯器に玄米コースがあるのに、白米コースで炊いてしまうことです。玄米コースがない炊飯器の場合も、白米コースで代用するより、鍋で炊いた方が浸水と加熱を玄米向けに合わせられます。
迷ったら、手持ちの炊飯器の取扱説明書で玄米コースの有無と水位目盛を確認してみましょう。コースがあれば普段は炊飯器、急ぐ日は圧力鍋、というように併用するのもひとつの方法です。
こんな人には、この炊き方が合っている
玄米を鍋で炊く方法は一つではないので、自分の状況に合わせて選ぶと続けやすくなります。ここでは、読者のタイプ別に考え方の例を挙げます。
まず、平日は時間が取れない共働きの家庭なら、前の晩から浸水しておき、帰宅後に炊く流れが組みやすいでしょう。圧力鍋があれば、加圧時間が短いレシピを選ぶことで、帰宅後の手間を減らせます。玄米を初めて炊く人は、浸水・水・加熱・蒸らしの値がはっきり書かれた象印やル・クルーゼのレシピを1つ選び、その通りに炊くところから始めると、失敗の原因が分かりやすくなります。
土鍋やホーロー鍋をすでに持っている人は、新しい道具を買い足すより、手持ちの鍋のメーカーレシピを探すのが近道です。硬めの食感が苦手な人は、浸水時間を長めに取る、ル・クルーゼのやわらかめの炊き方を試す、といった方向で調整してみてください。
どのタイプでも共通するのは、最初は一つのレシピを守って炊き、そこから一つずつ変えていくことです。
時間がない人:前の晩に浸水+圧力鍋で加圧時間を短く
初めての人:数値のはっきりしたメーカーレシピを1つ選んでその通りに
土鍋・ホーロー鍋がある人:手持ちの鍋のメーカーレシピを基準に
硬い食感が苦手な人:浸水を長めに、弱火で炊き始める方法を試す
まとめ|玄米を鍋で炊くときに覚えておきたいこと
玄米の鍋炊きは、手順の一つひとつがぬか層の壁を越えるための工夫だと分かれば、決して難しいものではありません。最初の一歩としては、今夜のうちに玄米を洗って浸水させておき、明日は手持ちの鍋のメーカーレシピ、なければ象印の例の浸水1時間以上・ごく弱火40分・蒸らし15分の流れで炊いてみてください。仕上がりが硬ければ浸水を、焦げれば火加減を、と一つずつ直していけば、数回で自分の鍋に合った炊き方が見つかるはずです。
※鍋の材質や容量によって適した水量・加熱時間は異なります。最新情報は各メーカーの公式サイトでご確認ください。

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