お米を選ぼうとして「お米ランキング」と検索すると、特Aの一覧、作付けの多い品種の順位、通販サイトの人気順などがいっぺんに出てきます。どれも順位が並んでいるので同じものに見えますが、実は物差しがまったく違うんですよ。ここを混ぜて読むと、「1位の品種を買ったのに思っていた食感と違った」ということが起こります。
結論から言うと、公的なお米のランキングは大きく2つです。日本穀物検定協会が毎年発表する「米の食味ランキング」(産地×品種ごとのおいしさの評価)と、米穀安定供給確保支援機構がまとめる「品種別作付動向」(どの品種がどれだけ作られているかの割合)です。前者は令和7年産で特Aが43産地品種、後者は令和6年産でコシヒカリが32.6%で1位でした。
この記事では、2つのランキングの仕組みと読み方、上位に並ぶ品種の特徴を公式の紹介の範囲で比べ、最後に米袋の表示とどうつなげれば自分に合うお米を選べるかまでを順番に整理します。
・食味ランキング(特A)と作付ランキングの違い
・特Aが決まる仕組みと令和7年産の結果の読み方
・コシヒカリ・ひとめぼれ・ヒノヒカリ・あきたこまち・ななつぼしなど上位品種の違い
・ランキングを米袋の表示とつなげて選ぶコツ
お米ランキングには2つの物差しがある|おいしさの評価と作付けの順位

検索で出てくる順位の多くは、食味か作付けのどちらか
まず押さえたいのは、公的なデータに基づくお米のランキングは、おいしさの評価と作付けの多さの2種類だということです。おいしさの評価は日本穀物検定協会の米の食味ランキング、作付けの多さは米穀安定供給確保支援機構(米穀機構)の品種別作付動向が代表的な資料になります。前者は専門の評価員が実際にご飯を食べて基準のお米と比べた結果、後者は道府県の情報をもとにどの品種がどれだけ作られているかを推計した割合です。つまり、片方は味の評価、片方は生産量の順位で、並んでいる品種が似ていても意味が別物なんですね。やりがちなのは、作付1位のコシヒカリを見て「一番おいしいお米」と受け取ってしまうことです。作付けが多いのは、栽培の歴史や産地の広さ、需要の大きさといった複数の理由が重なった結果で、味の順位そのものではありません。記事やサイトでランキングを見たら、まず出典が食味ランキングなのか作付けのデータなのか、そして何年産のデータなのかを確認する。これだけで読み違いの大半は防げます。
食味ランキングは日本穀物検定協会が毎年出す評価
米の食味ランキングは、日本穀物検定協会が全国の主な産地品種を対象に毎年行っている食味官能試験の結果です。令和7年産は令和8年2月27日に公表され、55回目にあたります。協会の公表資料には「道府県から選出のあった144産地品種について食味官能試験を行いました。」とあり、評価の対象は道府県が選んで出品した産地品種だということがわかります。ここが大事な点で、流通しているすべてのお米を評価しているわけではありません。出品されなかった産地や品種は、おいしくてもランキングには載らないんです。また、評価の単位は品種名だけでなく、北海道のななつぼし、新潟魚沼のコシヒカリのように産地と品種の組み合わせです。同じコシヒカリでも産地が違えば別の行として評価されます。ランキング表を見るときは、品種名の列だけを追わず、左側の産地の列とセットで読むのがコツです。そして評価は年ごとに付け直されるので、必ず何年産の結果かを確かめてから使いましょう。
作付ランキングは米穀機構が推計する品種別の割合
もう一方の作付ランキングは、米穀機構が公表している品種別作付動向です。最新版は令和6年産で、令和7年10月3日に公表されています。対象はうるち米で、日本酒用の醸造用米ともち米は除かれています。米穀機構の資料では「道府県ごとの品種別の作付割合については、道府県行政等から情報提供いただいた数値を基に当機構が独自に算出した数値(推計値)を使用しています。」と説明されていて、あくまで推計値です。この資料からわかるのは、国内で主食用にどの品種がどのくらい作られているかという全体像です。たとえばコシヒカリが3割強を占め、上位10品種で全体の約7割になる、といった構造が見えてきます。ただし、作付割合が高いことは、スーパーで見かける機会が多い、外食や業務用でも使われやすいといった流通面の手がかりにはなりますが、味の良し悪しを示すものではありません。作付けのデータは、品種の勢力図を知る地図として使うのが正しい読み方です。
通販サイトの人気順は、公的な評価と分けて読む
検索結果には、通販サイトやランキングサイトの売れ筋順・人気順も多く並びます。これらはサイトごとに集計の基準が違い、販売数、レビュー、編集者の好みなどが混ざっているのが一般的です。悪いものではありませんが、公的な食味ランキングや作付データとは性格が違うので、同じ表の中で比べないほうが安全です。とくに注意したいのが、通販ページで特Aという言葉が商品名の近くに書かれている場合です。日本穀物検定協会は、特Aはあくまで産地品種に対する評価で、その商品自体を評価したものではないことを明確にするよう案内しています。つまり、特A産地品種のお米であっても、袋の中身ごとに協会が試験したわけではありません。人気順で候補を絞り、そのうえで産地・品種・産年を見て、協会の最新の評価で裏を取る。この順番で使うと、ランキングの数字に振り回されずに済みます。下の比較表で3種類の違いを並べておきます。
| 項目 | 食味ランキング | 作付ランキング | 通販などの人気順 |
|---|---|---|---|
| 発表元 | 日本穀物検定協会 | 米穀安定供給確保支援機構 | 各サイト |
| 何を表すか | 産地×品種ごとの食味の評価(特A〜B’の5段階) | 品種別の作付割合(推計値) | サイト独自の基準による人気 |
| 最新の年産 | 令和7年産(令和8年2月27日公表) | 令和6年産(令和7年10月3日公表) | サイトにより異なる |
| 使い方 | 産地と品種をセットで、年産を添えて見る | 品種の勢力図・手に入りやすさの目安 | 候補探しに使い、公的データで裏を取る |


特Aはどう決まる?基準米と6項目で比べる官能試験の仕組み
比べる相手は複数産地のコシヒカリをブレンドした基準米
食味ランキングの評価は、点数を積み上げる絶対評価ではなく、基準になるお米と比べる相対評価です。日本穀物検定協会の官能試験の説明ページには「官能試験は専門の評価員により供試品と当協会が定めた基準米について、以下の6項目に関して比較評価する相対法により行います。」と書かれています。その基準米は、複数の産地のコシヒカリをブレンドしたものです。なぜブレンドを使うかというと、1つの産地のお米だと、その年の天候や栽培条件で味が動いてしまい、物差しそのものがぶれるからです。複数産地を混ぜることで、年ごとの偏りをならした、安定した比較対象をつくっているわけですね。ここを知らないと、特Aを「100点満点で90点以上」のような点数のイメージで受け取りがちですが、実際には「基準米と食べ比べてどれだけ上か下か」で決まっています。ランキングを見るときは、評価の物差しが基準米であることを頭の片隅に置いておくと、結果の意味がぐっと読みやすくなります。
外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価の6項目で比べる
評価項目は、協会のページにあるとおり「外観、香り、味、粘り、硬さ、総合評価」の6項目です(日本穀物検定協会)。外観は炊き上がりの白さやツヤ、香りは炊きたての香り、味はうまみや甘み、粘りは口の中でのまとまり、硬さは噛んだときの歯ごたえを見ます。硬さは柔らかさと表現されることもある項目です。このうち、ランクを決めるのは総合評価で、基準米と各試料の平均値の差が統計的に意味のある差かどうかで判定されます。理屈としては、評価員一人ひとりの好みの差をならし、全体として基準米より明らかに上か、同じくらいか、下かを見ているわけです。やりがちな誤解は、特Aのお米なら6項目すべてで基準米を上回っていると思うことです。総合評価で判定する仕組みなので、粘りが強いタイプもあれば、硬さや歯ごたえに特徴があるタイプもあります。自分が粘り派か、しっかりした粒感派かを決めてから、品種の公式紹介で食感の傾向を確かめるのが近道です。
特AからB’までの5段階は、基準米との差で決まる
ランクは5段階です。協会の資料では、基準米より特に良好なものが特A、良好なものがA、おおむね同等のものがA’、やや劣るものがB、劣るものがB’とされています。令和7年産について協会の公表資料は「米の食味ランキングは、5段階の評価で表しますが、令和7年産米では、特Aにランクされたものは43点、Aにランクされたものは71点、A’にランクされたものは30点となり、B及びB’に評価されたものはいずれも該当なしとなりました。」と報告しています。ここから読み取れるのは、出品された144産地品種がすべて、基準米とおおむね同等以上だったということです。A’は「基準米と同じくらい」という意味なので、決して悪い評価ではありません。ところが順位表として見ると、A’が一番下に並ぶため、劣っているように感じてしまいがちです。A’の産地品種でも、基準米であるコシヒカリのブレンドと同等の食味と評価されている点を押さえておくと、選択肢を不必要に狭めずに済みます。
特A:日本穀物検定協会の米の食味ランキングで最上位の区分。基準米より特に良好と評価された産地品種。
A/A’:Aは基準米より良好、A’は基準米とおおむね同等。
B/B’:Bは基準米よりやや劣る、B’は劣る。令和7年産はどちらも該当なし。
産地品種:新潟魚沼のコシヒカリのように、産地と品種を組み合わせた評価の単位。
実は、特Aは「コシヒカリのブレンドより上」という意味
意外と知られていないのが、特Aという評価の裏にある基準米の正体です。前の見出しで触れたとおり、基準米は複数産地のコシヒカリのブレンドです。つまり特Aとは、ざっくり言えば「全国のコシヒカリを混ぜたお米と食べ比べて、特に良好と評価された」という意味になります。これは、コシヒカリが長く良食味の代表として扱われてきた歴史を考えると納得がいく設計です。一方で、この仕組みには読み方の注意点もあります。基準がコシヒカリなので、コシヒカリとは食感の方向が違う品種、たとえばあっさりした粒感を持ち味にするお米は、評価員にとって比べ方が難しい面もあるとされます。だからこそ、ランクは好みの答えではなく、ひとつの物差しでの評価として受け取るのが正解です。粘りと甘みのしっかりしたご飯が好きな人にとっては特Aは心強い目安になりますし、さっぱりした食感が好きな人は、ランクより品種の公式紹介の食感の説明を重視したほうが満足しやすいでしょう。
令和7年産の特Aは43産地品種|どの品種が多く選ばれた?

144産地品種のうち特A43・A71・A’30という結果
令和7年産の結果を数字で整理すると、出品144産地品種のうち、特Aが43、Aが71、A’が30でした。B・B’はありません。協会の資料には「特Aは43産地品種で、6年産に比べ4産地品増加しています。」とあり、年ごとの特Aの数は令和5年産43、令和6年産39、令和7年産43と推移しています。この数字から見えるのは、特Aの数は毎年同じではなく、その年の気象条件や出品の顔ぶれによって増えたり減ったりするということです。とくに夏の暑さが続いた年は、粒の品質が落ちやすいとされ、評価にも影響が出ることがあります。やりがちなのは、数年前に見た特Aの一覧を今年もそのまま使ってしまうことです。特Aは産地品種ごとに毎年付け直されるので、去年の特Aが今年もそうだとは限りません。買い物の前に確認するなら、協会のサイトで最新の年産の一覧を開き、年産の表記を確かめてから見るのが確実です。
品種別に数えると、コシヒカリとにこまるが6産地品種ずつ
令和7年産の特A43産地品種を品種ごとに数え直すと、最も多かったのはコシヒカリとにこまるで、それぞれ6産地品種でした。続いてきぬむすめが5、つや姫が3、ひとめぼれと雪若丸が2ずつ。そのほか、あきたこまち、ななつぼし、ゆめぴりか、銀河のしずく、青天の霹靂、さがびより、元気つくし、サキホコレ、みずかがみ、ミネアサヒなどが1産地品種ずつ並んでいます。前年の令和6年産と比べると、コシヒカリは9から6へ減り、にこまるは4から6へ増え、きぬむすめは7から5へ減りました。理屈としては、同じ品種でも産地ごとに出品・評価されるので、作付けの広い品種ほど特Aの数も多く出やすい構造があります。ただ、その年の暑さへの強さなども結果を左右するため、数の増減だけで品種の実力を判断するのは早計です。注目したいのは、特Aに入っている品種の顔ぶれが、北海道から九州まで地域的に幅広いことです。お住まいの地域に近い産地の品種が入っていないか、一覧で探してみると選ぶ楽しみが増えます。
| 品種 | 令和6年産 | 令和7年産 | 増減 |
|---|---|---|---|
| コシヒカリ | 9 | 6 | 減少 |
| にこまる | 4 | 6 | 増加 |
| きぬむすめ | 7 | 5 | 減少 |
| つや姫 | 3 | 3 | 同数 |
| ひとめぼれ | 1 | 2 | 増加 |
| 雪若丸 | 2 | 2 | 同数 |
出典:日本穀物検定協会 令和7年産 米の食味ランキングをもとにお米の教科書編集部で集計
特Aに上がった11産地品種、Aに下がった7産地品種
ランキングは毎年動きます。協会の資料には「令和6年産のAから令和7年産で特Aランクになったものは11産地品種ありました。」とあり、逆に令和6年産の特Aから令和7年産でAになったものは7産地品種あったと報告されています。合わせて18産地品種が1年で入れ替わっている計算です。たとえば岩手県南のひとめぼれは、令和5・6年産のAから令和7年産で特Aになりました。宮城のつや姫は、令和5年産のAから令和6年産で特Aになり、令和7年産も特Aを続けています。こうした入れ替わりが起きる理由は、評価がその年に収穫されたお米で行われるからです。夏の気温、日照、雨の降り方は年ごとに違い、粒の充実度や白く濁る粒の出方に影響します。そのため、ランクは産地や品種の固定した格付けではなく、その年の出来ばえの記録として読むのが自然です。特Aに上がった産地品種は、その年の作柄がよかったひとつの手がかりとして、選ぶときの参考にすると使いやすいですよ。
一覧にコシヒカリがあるのを見て、どの産地のコシヒカリでも特Aだと思い込むのは典型的な読み違いです。令和7年産では新潟魚沼のコシヒカリが特Aですが、新潟の上越・中越・岩船・佐渡のコシヒカリはAでした。原因は、評価の単位が品種ではなく産地品種だからです。対策は、一覧を見るときに産地の列と品種の列を必ずセットで確認し、袋の表示の産地と照らし合わせることです。
一覧の★印は高温耐性品種のしるし
令和7年産の特A一覧を見ると、品種名に★が付いているものがあります。協会の資料の注記は「※ ★は高温耐性品種。」で、暑さに強い性質を持つ品種であることを示しています。なぜこの印が重要かというと、夏の高温が続くと、お米の粒が白く濁ったり、充実しきれなかったりして、見た目や食味が落ちやすいとされるからです。農林水産省も、コシヒカリについて高温障害で1等米の比率が下がり、作付けが変わっていく可能性に触れています。近年は各地で暑さに強い品種の開発や普及が進んでいて、特A一覧の中でも★の付いた品種が目につくようになっています。やりがちなのは、聞き慣れない新しい品種名を見て、有名な品種より劣ると決めつけてしまうことです。★の付いた品種は、暑い年でも品質を保つことを目標に育てられた品種なので、ランクと合わせて見ると、その産地がどんな考えで品種を選んでいるかも見えてきます。一覧で★を探してみるのも、ランキングの楽しい読み方のひとつです。
作付けの多い品種トップ10|コシヒカリが3割強を占める理由
令和6年産の作付1位はコシヒカリで32.6%
作付けのランキングに目を移すと、1位は長年コシヒカリです。米穀機構の資料には「令和6年産うるち米(醸造用米、もち米を除く)において、全国で最も作付が多かった品種は「コシヒカリ」(作付割合32.6%)でした。」と書かれ、主な産地は新潟・茨城・福島と整理されています。農林水産省は、コシヒカリが1979年から作付面積1位を続けているとしています。コシヒカリがここまで広がった理由は、新潟県が紹介する品質の特徴、つまり炊いたご飯が白く艶があり、粘りとかすかな甘み、香りがあることが、多くの人に好まれてきたからだとされます。ただ、農林水産省は、国内全作付量の約4割を占める時代もあったものの、そのウエートは3割程度に下がってきたと説明しています。一強の時代から、地域ごとに特色ある品種が増えている流れが、作付けの数字からも読み取れます。
2〜5位はひとめぼれ・ヒノヒカリ・あきたこまち・ななつぼし
2位以下を見ると、地域ごとの代表品種が並びます。同じ米穀機構の資料によれば、「2位は「ひとめぼれ」(同8.4%)、3位「ヒノヒカリ」(同7.1%)、4位「あきたこまち」(同6.7%)、5位「ななつぼし」(同3.4%)となり、上位5品種の順位の変動はありませんでした。」とされています。主な産地は、ひとめぼれが宮城・岩手・福島、ヒノヒカリが熊本・鹿児島・大分、あきたこまちが秋田・茨城・岩手、ななつぼしが北海道です。ここからわかるのは、東北のひとめぼれとあきたこまち、九州のヒノヒカリ、北海道のななつぼしというように、気候の違う地域ごとに主力品種がすみ分けているという構造です。寒さに強い品種、暑い地域で育てやすい品種など、土地に合った品種が選ばれてきた結果なんですね。お住まいの地域のスーパーで見かける品種が、この上位5品種のどれかに当てはまることが多いのは、こうした産地の分布が理由のひとつです。
| 順位 | 品種 | 作付割合 | 主な産地 |
|---|---|---|---|
| 1位 | コシヒカリ | 32.6% | 新潟・茨城・福島 |
| 2位 | ひとめぼれ | 8.4% | 宮城・岩手・福島 |
| 3位 | ヒノヒカリ | 7.1% | 熊本・鹿児島・大分 |
| 4位 | あきたこまち | 6.7% | 秋田・茨城・岩手 |
| 5位 | ななつぼし | 3.4% | 北海道 |
| 6位 | はえぬき | 2.7% | 山形 |
| 7位 | まっしぐら | 2.5% | 青森 |
| 8位 | ゆめぴりか | 1.8% | 北海道 |
| 9位 | きぬむすめ | 1.8% | 島根・岡山・鳥取 |
| 10位 | キヌヒカリ | 1.6% | 滋賀・兵庫・京都 |
出典:米穀安定供給確保支援機構 令和6年産 水稲の品種別作付動向(推計値)
上位10品種で68.6%、11〜20位にはつや姫やこしいぶき
上位の品種がどれだけ全体を占めているかも見ておきましょう。米穀機構の資料では「上位10品種が全体に占める割合は68.6%」とされ、前年の69.6%からわずかに下がりました(米穀機構)。上位20品種では78.7%で、こちらも前年の79.6%から下がっています。数字の上では、上位10品種で約7割、上位20品種で約8割という構図です。11〜20位を見ると、つや姫1.5%、こしいぶき1.4%、夢つくし1.1%、あさひの夢・とちぎの星・天のつぶが各1.0%、ふさこがね0.9%、あいちのかおり0.8%、あきさかり・ハツシモが各0.7%と続きます。とちぎの星は前年の19位から15位へ上がりました。上位の占有率がじわじわ下がっているのは、各地で新しい品種や地域に合った品種への切り替えが進んでいることの表れと読めます。作付けの上位に入っていない品種でも、食味ランキングで特Aを取っている例は多いので、作付けが少ない品種を見かけたら、むしろその産地のこだわりを調べるきっかけにしてみてください。
作付けの多さは、おいしさの順位ではない
ここで改めて強調したいのが、作付ランキングはおいしさの順位ではないという点です。作付けの多さを決めるのは、味だけではありません。その土地の気候で育てやすいか、収穫量が安定するか、病気や冷害に強いか、業務用の需要があるかなど、生産と流通の事情が大きく関わります。農林水産省も、病害虫や冷害に強いもの、収穫量が多く食味の良いものなど、多様な品種が開発されてきたと説明しています。たとえば業務用では、コシヒカリに近い良食味とされるあきだわらや、コシヒカリと同等の食味で多収を実現したにじのきらめきといった品種が紹介されています(農林水産省)。やりがちなのは、作付10位のキヌヒカリと1位のコシヒカリを比べて、10倍おいしさに差があるかのように感じてしまうことです。作付割合は品種の勢力図、食味ランキングはその年の評価と割り切って、2つを組み合わせて読むのがおすすめです。
上位の品種は何が違う?公式の紹介で比べる味と食感
コシヒカリ:白さと艶、粘り、かすかな甘みが持ち味とされる
作付1位のコシヒカリは、新潟県の紹介によると、1944年に新潟県農業試験場で人工交配された系統で、1956年にコシヒカリと命名され、最初に新潟県と千葉県で奨励品種に採用されました。品質の特徴について、新潟県のページは「炊いたご飯が白くて艶があること、食べたときに粘り、かすかな甘み、香りがあること」と説明しています。粘りと甘みのバランスがよいご飯として長く親しまれ、食味ランキングの基準米にも複数産地のコシヒカリのブレンドが使われているのは、この品種が良食味の代表として扱われてきたからです。ただし、コシヒカリという同じ品種でも、食味ランキングの評価は産地ごとに異なります。令和7年産では新潟魚沼が特Aで、新潟の上越・中越・岩船・佐渡はAでした。コシヒカリを選ぶときは、品種名だけでなく、産地と産年を袋で確かめるのが基本です。粘りのしっかりしたご飯が好きな人には、まず候補に入れたい品種と言えるでしょう。
| コシヒカリ | 新潟県農業試験場で1944年に人工交配された系統。白く艶があり、粘り・かすかな甘み・香りがあると紹介(新潟県) |
| ひとめぼれ | 宮城県古川農業試験場育成、コシヒカリ(母)×初星(父)。甘味・粘り・口当たりのバランスが紹介の軸(宮城県) |
| ヒノヒカリ | 宮崎県総合農業試験場育成。粘りが強く、冷めてもおいしいと紹介(宮崎県) |
| あきたこまち | 1984年デビュー。透明感と香り、安定した品質。冷めてもおいしくお弁当・おにぎりにもと紹介(秋田県) |
| ななつぼし | 平成13年(2001年)採用の中早生。食味のバランスに優れた北海道基幹品種(北海道米品種一覧) |
ひとめぼれ:コシヒカリを母に持つ、バランス型の東北の品種
作付2位のひとめぼれは、宮城県古川農業試験場で育成され、1991(平成3)年に誕生した品種です。宮城県の紹介ページには「初星をお父さんに、コシヒカリをお母さんに持つひとめぼれ」とあり、食味については「甘味、粘り、口当たりのバランスが絶妙」と紹介されています。コシヒカリ譲りの粘りや甘みを持ちながら、口当たりとのバランスを重視した品種という位置づけです。また、寒さで穂が実らなくなる障害に強い性質を持つとされ、東北の冷涼な気候に向いた品種として広がってきました。食味ランキングでは、令和7年産で岩手県南のひとめぼれが特A(前年A)、宮城のひとめぼれはAと、ここでも産地で評価が分かれています。ひとめぼれは、粘りが強すぎず、毎日食べても飽きにくいご飯を探している人に検討しやすい品種です。おかずの味を邪魔しにくいバランス型として、家庭の普段使いに選ばれることが多いのもうなずけます。
ヒノヒカリとあきたこまち:冷めてもおいしいと紹介される2品種
作付3位のヒノヒカリは、宮崎県のページで「粘りが強く、冷めてもおいしいのが特徴です。」と紹介されています。主な産地は熊本・鹿児島・大分で、西日本の暑い地域を支える品種です。令和7年産の食味ランキングでは、京都山城がA’、兵庫県南がAなどと掲載されていて、品種別の特Aの内訳にヒノヒカリは入っていませんでした。一方、作付4位のあきたこまちは、秋田県の紹介で「寒冷な気候の秋田県で栽培できるコシヒカリタイプの良食味米」とされ、1984年にデビューしました。名前は秋田生まれと伝えられる小野小町にちなんでいます。秋田県は、ツヤツヤと輝く透明感、香りのよさ、安定した品質に加え、冷めてもおいしくお弁当やおにぎりにも向くと紹介しています。令和7年産は秋田県南が特A、秋田中央と岩手県中がAでした。どちらも冷めた状態での食べ方が紹介されているので、お弁当やおにぎりが多い家庭は候補にしやすい品種です。

北海道のななつぼし・ゆめぴりか:アミロースで変わる食感
北海道の品種は、食感の違いを理屈で説明しやすい好例です。北海道米品種一覧(北海道開発局掲載資料)では、ななつぼしが「食味のバランスに優れた北海道基幹品種」、ゆめぴりかが「アミロース含有率が適度に低い極良食味品」と紹介されています。アミロースはお米のでんぷんの成分のひとつで、一般にアミロースが少ないほど炊いたご飯に粘りと柔らかさが出やすい傾向があるとされます。同じ資料で、おぼろづきが粘り・柔らかさに優れる低アミロース品種、ふっくりんこが耐冷性に優れた極良食味品種として道南・空知地域で限定作付されていることも記されています。食味ランキングでは、北海道のななつぼしとゆめぴりかは令和5・6・7年産とも特A、ふっくりんこはA’からA、Aと推移しています。やりがちなのは、粘りの強いゆめぴりかを、ふだんの水加減より多めの水で炊いて柔らかくなりすぎることです。粘りの強い品種は、まず内釜の目盛りどおりに炊き、好みに合わせて少しずつ調整するのが失敗しにくい進め方です。
同じ品種でも評価が割れるのはなぜ?産地と年で変わるランク
魚沼は3年連続特A、上越・中越などはAという違い
同じ品種でも評価が割れる代表例が、新潟のコシヒカリです。令和5〜7年産の3年間、新潟魚沼のコシヒカリはずっと特Aでしたが、新潟の上越・中越・岩船・佐渡のコシヒカリは3年ともAでした。品種は同じなのに、なぜ差が出るのか。理由は、お米の味が品種だけで決まらず、土壌、水、昼夜の気温差、登熟期の天候、栽培の管理といった産地の条件に左右されるからです。そのため、協会の食味ランキングも品種ではなく、産地と品種の組み合わせごとに評価しています。ここで大事なのは、Aも基準米より良好という評価だということです。特AとAの差は、評価員が基準米と比べたときの差の大きさの違いで、Aの産地のお米がおいしくないという意味ではありません。やりがちなのは、特Aの産地だけを狙い、Aの産地を選択肢から外してしまうことです。好みの食感や、普段のおかずとの相性で選ぶなら、Aの産地品種にも合うお米は十分に見つかります。
| 産地品種 | 令和5年産 | 令和6年産 | 令和7年産 |
|---|---|---|---|
| 北海道 ななつぼし | 特A | 特A | 特A |
| 北海道 ゆめぴりか | 特A | 特A | 特A |
| 北海道 ふっくりんこ | A’ | A | A |
| 秋田県南 あきたこまち | 特A | 特A | 特A |
| 秋田中央 あきたこまち | A’ | A | A |
| 岩手県南 ひとめぼれ | A | A | 特A |
| 宮城 つや姫 | A | 特A | 特A |
| 山形村山 つや姫 | 特A | 特A | 特A |
| 新潟魚沼 コシヒカリ | 特A | 特A | 特A |
| 新潟上越・中越・岩船・佐渡 コシヒカリ | A | A | A |
出典:日本穀物検定協会 令和7年産 米の食味ランキングの掲載表から、お米の教科書編集部が主な産地品種を抜き出して整理
宮城のつや姫・岩手県南のひとめぼれは、年によって上がった
3年分を並べると、ランクが上がっていく産地品種も見えてきます。宮城のつや姫は令和5年産のAから令和6年産で特Aになり、令和7年産も特Aでした。岩手県南のひとめぼれは、令和5・6年産のAから令和7年産で特Aに上がっています。秋田中央のあきたこまち、北海道のふっくりんこは、A’からAへと一段上がり、その後もAを保っています。こうした変化が起きる背景には、その年の天候だけでなく、産地が品質を上げるために栽培の方法や出荷の基準を工夫していることも関係していると考えられます。ただし、一度上がった評価が翌年も続くとは限りません。令和7年産でも、前年の特AからAに下がった産地品種が7つありました。やりがちなのは、1年分の結果だけで「この産地は特Aになったから毎年おいしい」と決めつけることです。上がった年は、その産地の新しいお米を試してみる良いきっかけと考え、続けて選ぶかどうかは、自分の家のご飯としての満足度で判断するのがいちばん確かです。
暑い夏と作期分散:こしいぶきのような早生品種が生まれた理由
評価が年で動く大きな要因が、夏の暑さです。農林水産省は、コシヒカリについて高温障害で1等米の比率が下がり、作付けが変わっていく可能性に触れています。その対策のひとつが、収穫時期の違う品種を組み合わせる作期分散です。新潟県の例では、早生のこしいぶきが開発されました。新潟県のページでは、開発の背景として「コシヒカリに作付が集中したことにより、収穫作業が集中し、生産コストの増大や病害虫・気象災害による被害拡大という問題が懸念されたこと」が挙げられています。こしいぶきはコシヒカリより約10日早く収穫でき、暑い夏の実りでも品質を落とさず、ツヤと粘りがあってコシヒカリに匹敵する食味を持つと紹介されています。早生・中生・晩生は収穫時期で分ける区分で、コシヒカリは中生にあたります。収穫の時期をずらせば、高温や台風の影響が一度に全体へ及ぶのを避けられる、というのが作期分散の理屈です。ランキングの背後には、こうした産地の工夫があるんですね。

3年分を並べて「安定して上位」の産地品種を探す
ランキングを買い物に活かすなら、1年分ではなく、3年分ほどを並べて見るのがおすすめです。理由はシンプルで、1年だけの結果はその年の天候の影響を受けやすいのに対し、複数年続けて同じ評価を取っている産地品種は、栽培条件や品質管理が安定していると読めるからです。先ほどの表では、北海道のななつぼしとゆめぴりか、秋田県南のあきたこまち、山形村山のつや姫、新潟魚沼のコシヒカリが、令和5〜7年産の3年連続で特Aでした。一方で、評価の対象は道府県が出品した産地品種だけなので、3年続けて掲載されていない産地品種もあります。表に載っていないからといって評価が低いわけではない点は覚えておいてください。やりがちな失敗は、ランキングのページを開いた勢いで、最上位の産地品種だけを候補にすることです。安定して上位の産地品種を候補の軸にしつつ、自分が好む食感の傾向と照らし合わせる。この2段階で絞ると、ランキングの情報がぐっと実用的になります。
米袋のどこを見れば選べる?表示とランキングのつなげ方
原料玄米の産地・品種・産年は、袋の表示で確かめられる
ランキングで候補が決まったら、次は米袋の表示です。精米の袋には、食品表示基準で決められた項目が並んでいます。消費者庁の資料では、表示する事項として「原料玄米(産地、品種、産年)、内容量、調製時期、精米時期又は輸入時期、食品関連事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号」が挙げられています。ランキングとつなげるうえで大事なのは、原料玄米の欄です。単一原料米なら、産地、品種、産年が1つずつ書かれているので、食味ランキングの産地品種と年産をそのまま照らし合わせられます。たとえば、ランキングで新潟魚沼のコシヒカリを見たなら、袋の産地が新潟県のどこか、産年が何年かを確認します。なお令和3年7月1日の改正で、農産物検査の証明がなくても、根拠資料の保管を要件に産地・品種・産年を表示できるようになりました。確認方法として、農産物検査証明による旨などが併記されることもあります。
精米時期は令和4年4月から年月旬でも表示できる
もうひとつ見ておきたいのが精米時期です。農林水産省は「令和4年4月1日以降に精米したものについては、表示事項が「精米時期」に変更」と案内しています。以前の精米年月日から精米時期に変わり、日付まで書く方法のほか、令和2年10月上旬のように年・月・旬で示す表示もできるようになりました。旬は上旬・中旬・下旬の区分です。この表示がなぜ大事かというと、お米は精米してから時間がたつほど、表面の脂質が酸化したり、乾燥や湿気の影響を受けたりして、香りや味が落ちていくとされるからです。食味ランキングで評価の高い産地品種でも、精米から時間がたったものと新しいものでは、炊き上がりの印象が変わることがあります。やりがちなのは、品種と産地だけ確認して、精米時期を見ないまま買うことです。棚の中から同じ産地品種を選ぶなら、精米時期の新しい袋を選ぶ。たったこれだけで、ランキングで期待した食味に近づけやすくなります。
袋や売り場に特Aの文字があるだけで選び、産地・産年・精米時期を見ないまま買ってしまう失敗です。原因は、特Aが産地品種に対する評価で、その袋の商品そのものを試験したものではないことを知らないこと。日本穀物検定協会も、特Aを表示する事業者には商品自体の評価ではない旨を明確にするよう案内しています。対策は、袋の原料玄米の欄で産地・品種・産年を確かめ、協会の最新の一覧と年産まで一致しているかを見ることです。
同じ品種でも、産年が違えばランクの裏付けも変わる
表示の中で見落とされがちなのが産年です。食味ランキングは年産ごとの評価なので、令和7年産で特Aの産地品種でも、袋の中身が令和6年産なら、裏付けになるのは令和6年産の評価です。たとえば岩手県南のひとめぼれは、令和6年産はA、令和7年産は特Aでした。同じ産地・同じ品種でも、どの年に収穫されたお米かでランクが変わるわけです。理屈としては当然ですが、売り場では品種名や産地名が大きく書かれ、産年は小さな文字で表示欄に入っていることが多いため、つい見逃しがちです。また、農林水産省の資料によれば、農産物検査の証明書にも年産と銘柄(たとえば新潟県産コシヒカリ)が記載されます。年産は、お米の素性を示す大事な情報だということですね。ランキングを手がかりに選ぶなら、品種と産地に加えて、必ず袋の産年を確認し、同じ年産の評価を照らし合わせてください。新米の時期に入れ替わる年産をまたいで比べるときは、とくにこの確認が効いてきます。

家庭のシーン別に、ランキングと品種紹介を組み合わせる
最後に、ランキングの情報を家庭のシーン別にどう使うかを整理します。お弁当やおにぎりが多い家庭なら、冷めてもおいしいと紹介されているヒノヒカリやあきたこまちが候補になります。粘りと甘みのはっきりしたご飯が好きな人は、白さと艶、粘り、かすかな甘みを持ち味とするコシヒカリや、アミロース含有率が適度に低いとされるゆめぴりかが合いやすいでしょう。毎日のおかずと合わせるバランス重視なら、甘味・粘り・口当たりのバランスを打ち出すひとめぼれや、食味のバランスに優れた北海道の基幹品種とされるななつぼしが選びやすい品種です。秋口に早く新しいお米を味わいたい人は、コシヒカリより約10日早く収穫できる早生のこしいぶきのような品種に目を向けるのもひとつの方法です。そのうえで、候補の産地品種が最新年産でどのランクかを協会の一覧で確かめ、袋の産地・産年・精米時期を照らし合わせる。好みから入り、ランキングで裏を取り、表示で確かめるという順番が、迷わずに選べるいちばんの近道です。
まとめ:お米ランキングは年と産地を添えて読む
次にお米を買うときは、まず自分が粘り派かバランス派かを決め、日本穀物検定協会の最新の一覧で候補の産地品種のランクを確かめてから、袋の産年と精米時期を見てみてください。同じ品種でも、産地と年産まで揃えて選ぶだけで、ランキングの情報がそのまま毎日のご飯選びに役立ちます。
※食味ランキングの評価や作付割合は年ごとに更新されます。最新の内容は各公表元の資料でご確認ください。

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