おにぎりを握ると、ごはんが手にべったりついたり、熱くて手のひらが真っ赤になったりしませんか。きれいな三角にしようと力を込めるほど、固くて重たいおにぎりになってしまう。毎日のお弁当や朝ごはんで、そんな小さなストレスを抱えている方は多いはずです。
結論から言うと、おにぎりの握り方を簡単にする近道はラップで包んで、やさしく3回で形を作ることです。ラップなら熱さもごはん粒のくっつきも気にならず、素手でごはんに触れないので衛生面でも理にかなっています。そして形は、力でつくるのではなく、ごはんをまとめる感覚でつくる。これだけで、ふんわりとほどけるおにぎりに近づきます。
この記事では、旭化成やタイガーなどメーカー公式のレシピ情報、農林水産省・厚生労働省・自治体の食品衛生の資料をもとに、ラップで握る基本の手順から、塩の付け方の違い、固くなる・崩れる原因、持ち運びや冷凍で気をつけたいことまで、理屈から順に解説します。
・ラップを使うと握り方が簡単になる理由と、塩→ごはん→具の基本手順
・ふんわり仕上げるための力加減と、握る回数の目安
・手塩・塩水・ラップ塩の違いと、素手で握るときの衛生上の注意
・持ち運び・作り置き・冷凍で失敗しない包み方のタイミング
おにぎりの握り方を簡単にするならラップが近道な理由

最初に、なぜラップを使うと握るのが楽になるのかを整理しておきましょう。理由がわかると、手順のひとつひとつに納得がいきます。
熱いごはんでも手のひらがつらくならない
ラップを使う一番の利点は、炊きたての熱いごはんをそのまま扱えることです。素手で握ると、熱さに耐えられず手早く強く押しつけてしまい、それが固いおにぎりの原因になりがちなんですよ。
サランラップを製造する旭化成の公式ページでは、ラップで包みながら握ると、ごはんの熱が手にじかに伝わりにくく、楽に作業できると案内されています(旭化成 サランラップ公式:おにぎりの握り方)。ラップ1枚が、熱さをやわらげる薄い手袋の役割をしてくれるわけです。
台所でやりがちなのは、熱いからといってごはんをしゃもじで何度も返して冷ましてから握ること。表面が乾いて、粒どうしがまとまりにくくなってしまいます。ラップがあれば、熱いうちにさっと形にできます。
コツは、ラップの上にごはんを広げたら、手をラップの外側から添えること。熱さが気になる場合も、ラップ越しなら指先で軽く押さえる程度で十分にまとまります。
ごはん粒が手につかないから、やり直しがきく
二つ目の利点は、手にごはん粒がくっつかないことです。素手で握ると、手のひらに残った粒を取りながら作業することになり、形を整えるたびに表面が荒れていきます。
前述の旭化成の公式ページでも、ラップで包むと手のひらにごはん粒がくっつかないので楽に作業できると紹介されています。手が汚れないので、具を入れ直したり、形が気に入らずに整え直したりするのも簡単です。
やりがちな失敗は、素手で握る際にくっつきを嫌って手を水でびしょびしょに濡らしてしまうこと。表面が水っぽくなり、時間がたつとべたついた食感になります。ラップならその心配がありません。
ひとつ注意したいのは、ラップの上でごはんをこねるように何度も動かさないこと。くっつかないからといって触りすぎると、粒がつぶれて粘りが出てしまいます。動かす回数は少なく、が基本です。
素手で触れないので衛生面でも理にかなっている
三つ目は衛生面です。おにぎりは手で直接形を作る料理なので、手についた菌がごはんに移りやすいという弱点があります。ラップを使えば、ごはんに直接触れずに成形できます。
農林水産省は、災害時の食中毒予防のページで、おにぎりを握るときは使い捨て手袋やラップなどを使い、直接ごはんに触れないようにと呼びかけています(農林水産省:災害時の食中毒予防)。災害時向けの情報ですが、手で直接触れないことの意味は家庭の台所でも変わりません。
家庭で気が緩みやすいのは、朝の忙しい時間に手洗いもそこそこに握り始めてしまう場面です。ラップを使えばこのリスクを小さくできますが、それでも作業前の手洗いは欠かせません。
お弁当として持ち出す、家族の分をまとめて作る、といった場面ほど、ラップや使い捨て手袋で握るほうが向いています。衛生の詳しい理屈は後半でじっくり説明します。
ハリ・コシのあるラップを選ぶと形が決まりやすい
ラップならどれでも同じ、と思いがちですが、ラップの性質によって成形のしやすさは変わります。薄くて柔らかすぎるラップは、ごはんの形に沿ってよれてしまい、力の加減がつかみにくいんです。
旭化成の公式ページでは、ハリ・コシのあるラップを使うと力加減がしやすく、楽に成形できると案内されています。また、ラップで包めば力を入れたり何度も握ったりしなくても、ごはんが簡単にまとまるとも説明されています。
やりがちな失敗は、ラップを小さく切りすぎること。ごはんを包みきれず、端から粒がはみ出して結局手が汚れます。ごはんを広げたときに四方にしっかり余白が残るくらいの大きさで切りましょう。
ラップの種類によって伸びやすさや張りの強さが違うので、パッケージの説明を見て、使いやすいものを選んでください。特定の製品の優劣ではなく、張りがあるかどうかを目安にするのがポイントです。
| 出典 | 握り方・道具 | 記載されているポイント |
|---|---|---|
| 旭化成(サランラップ公式) | ラップで包んで握る | 先に塩をふり、熱いごはんと具をのせて包む。力を入れなくてもまとまる |
| タイガー(公式コラム) | 手塩で握る | やさしく握る。握る回数は3回。指の腹全体に塩を塗る |
| 三重県(食の安全ページ) | 塩水で手を濡らして握る | 塩水に手を浸し、梅干しを入れて握る |
| 農林水産省 | 使い捨て手袋・ラップ | 流水と石けんで手洗い。直接ごはんに触れない |
| 山梨県(冷凍おにぎり資料) | 清潔な器・ラップの中で成形 | 保存するなら手で握らずラップの中で形を整え冷凍 |
簡単なおにぎりの握り方|塩・ごはん・具の順にラップへ重ねる
ここからは、ラップを使った基本の手順を見ていきます。順番には理由があるので、ひとつずつ理屈と一緒に覚えてしまいましょう。
ラップを広げたら、ごはんより先に塩をふる
最初の工程は、ラップの上に塩をふることです。ごはんを置いてから上に塩をかけるより、先にラップへふっておくほうが、仕上がりの外側に塩が行き渡りやすくなります。
旭化成の公式ページでは、ラップを広げたらまず塩をふり、熱いごはんを広げて具をのせ、ごはんで具を包むように握れば、外側にまんべんなく塩がつくと紹介されています。ラップに接した面がそのまま表面になるので、塩がおにぎりの外側に自然と移るという理屈です。
やりがちな失敗は、ラップの中央にだけ塩を集めてしまうこと。底の一部だけしょっぱく、上側は塩気がない、というムラが出ます。ごはんを広げる範囲を思い浮かべて、薄く広めにふるのがコツです。
塩の量の目安は好みや具の塩気によって変わります。梅干しや塩鮭など塩気の強い具を入れる日は控えめに、具なしの塩むすびなら少し意識してふる、というように具とのバランスで調整してください。

熱いごはんを広げて、真ん中に具をのせる
塩をふったら、ごはんを平らに広げます。山盛りのまま包むより、いったん平らにならしたほうが、具を中心に置きやすく、包んだときの厚みもそろいます。
ごはんは炊きたての熱いうちに使うのが基本です。タイガーの公式コラムでも、ごはんは炊き上がった状態ですぐに握るよう案内されています。温かいごはんは粒の表面にほどよい粘りがあり、軽い力で粒どうしがくっつくからです。冷めたごはんは粘りが落ち、強く押さないとまとまらなくなります。
やりがちな失敗は、具を多く入れすぎること。具の量が多いと、ごはんで包みきれず、食べている途中で割れてしまいます。具は中心に小さめにのせ、周りを十分なごはんで囲める量にとどめましょう。
水分の多い具(汁気のある煮物、マヨネーズであえた具など)は、ごはんにしみて崩れの原因になります。汁気はよく切ってから中心に置くのがポイントです。
ごはんで具を包むように、ラップごと閉じる
具をのせたら、ラップの四隅を持ち上げて、ごはんで具を包み込むように寄せます。ここではまだ形を作ろうとせず、具が外に出ないようにごはんを集めることだけを意識します。
この段階で包むように寄せておくと、具の周りにごはんが均等に回り、握ったあとに具が片寄りません。前述の旭化成の公式ページでも、ごはんで具を包むように握る手順が紹介されています。
やりがちな失敗は、ラップの口をねじって強く絞ること。ねじった部分に力が集中して、片側だけごはんが詰まった硬い仕上がりになります。ねじるのではなく、ふんわりと口を合わせる程度で十分です。
ラップを寄せたら、外側からごはん全体を軽く押さえて丸い塊にします。この段階で塊の形が整っていれば、次の握る工程はほんの数回で済みます。
最後の仕上げはやさしく3回で形にする
丸い塊ができたら、いよいよ形を作ります。ここで大切なのは回数と力加減です。何度も握り直すほど、ごはんは詰まって固くなっていきます。
タイガーの公式コラムでは、「握る回数は3回。全部の角を1回でまとめるような感覚で仕上げると、米粒が立ってふんわりした食感になります」と紹介されています。回数を決めておけば、握りすぎを防げるわけです。
やりがちな失敗は、形が気になって何度も角を押し直してしまうこと。1回ごとに粒の間の空気が押し出され、口の中でほどけない固いおにぎりになります。多少いびつでも、3回で手を止めるほうが食感はよくなります。
握り終わったら、ラップをそのまま包み直しておけば乾燥も防げます。すぐ食べるならラップを外してのりを巻き、持ち運ぶなら次の章以降で説明する包むタイミングに注意してください。
ふんわり仕上がる人と固くなる人は何が違う?

同じごはんを使っても、握る人によって食感は変わります。その差のほとんどは、力の入れ方と握る回数で説明できます。
きれいな三角を目指すほど力が入りすぎる
固いおにぎりになる一番の原因は、形を作ろうとして力を込めすぎることです。特に三角形は角をはっきり出そうとするほど、指先に力が集中しがちです。
タイガーの公式コラムでは、「三角形を作ろうとして握ると力が入りすぎて米粒がつぶれてしまうので、ごはんをまとめるようなイメージでやさしく握ることがポイントです」と説明されています。米粒がつぶれると中の粘りが外に出て、粒どうしが隙間なく詰まってしまうんですね。
やりがちなのは、子どもに見栄えのいい三角を作ろうと、角を指でつまむように押し固めてしまう場面です。見た目は整っても、食べると口の中でほどけず、重たい印象になります。
意識を形から、ごはんを寄せることへ切り替えるのがコツです。角は手のひらのくぼみで軽く当てる程度で十分で、多少丸みがあるくらいのほうがふんわりした食感になります。
粒の間の空気が、ほどける食感を生む
ふんわりしたおにぎりが口の中でほろりとほどけるのは、米粒の間に適度な隙間が残っているからです。強く握るとこの隙間がなくなり、ひとかたまりの固い塊になります。
タイガーの公式コラムで、全部の角を1回でまとめる感覚で仕上げると米粒が立ってふんわりした食感になると紹介されているのは、まさにこの隙間を残すための握り方です。粒が立った状態というのは、粒がつぶれずに形を保ったまま、軽く寄り添っている状態だと考えるとわかりやすいでしょう。
やりがちな失敗は、崩れるのが怖くて念入りに押し固めること。持ち運び中の崩れを心配する気持ちはわかりますが、崩れにくさはラップで包むことで補えます。食感を犠牲にしてまで固める必要はありません。
ふんわり握ったおにぎりは、のりを巻いたりラップで包んだりして形を支えると、持ち運びにも耐えやすくなります。固さで崩れを防ぐのではなく、包み方で守るという発想です。
握る回数を決めておくと失敗が減る
力加減は感覚的でつかみにくいものですが、回数なら誰でも守れます。握る回数を決めておくことは、ふんわり仕上げるためのいちばん簡単な仕組みです。
前述のとおり、タイガーの公式コラムでは握る回数は3回と案内されています。回数に上限を決めておけば、形が気になっても途中で手を止める理由ができ、握りすぎを自然と防げます。
やりがちなのは、1個目は丁寧に3回で握れても、数を作るうちにだんだん回数が増えていくパターンです。慣れてくると手が勝手に形を直そうとするので、意識して数えるくらいがちょうどいいかもしれません。
形の不ぞろいが気になる場合は、回数を増やすより、最初にごはんを丸い塊にまとめる段階を丁寧にするほうが効果的です。塊の段階で形が整っていれば、3回でも十分きれいに仕上がります。
玄米のおにぎりは白米より少ししっかりめに
ここまで、やさしく握ることをすすめてきましたが、例外もあります。玄米でおにぎりを作る場合は、白米と同じ力加減ではまとまりにくいことがあるんです。
タイガーの公式コラムでは、玄米でおにぎりを作る場合、握る力が弱いと米粒がバラバラになってしまうので、白米よりも少ししっかりめに握ると案内されています。玄米は表面をぬか層が覆っているため、白米ほど粒どうしの粘りでくっつかない、というのがその理由と考えられます。
やりがちな失敗は、白米と同じ感覚でふんわり握って、食べる前にぼろぼろ崩れてしまうこと。玄米の場合は、ラップで包んだうえで、白米より少しだけ力を加えるイメージで握ると扱いやすくなります。
ただし、少ししっかりめであって、押し固めるわけではありません。白米と玄米の違いや、ぬか層の性質については別の記事でも詳しく解説しています。
原因:きれいな三角を目指して角を押し直すたびに、米粒がつぶれて粒の間の隙間がなくなり、固く重たいおにぎりになります。
対策:握る回数を3回と決め、角を作るより、ごはんを寄せる感覚で手を止めましょう。形の乱れは、最初に丸い塊を作る段階で整えておくのが近道です。
塩はどこに付ける?手塩・塩水・ラップ塩の違い
おにぎりの味を左右する塩。付け方には大きく分けて、手に塩を塗る手塩、塩水で手を濡らす方法、ラップに塩をふる方法があります。それぞれの理屈と向き不向きを見ていきましょう。
手塩は指の腹全体に塗って味のムラを防ぐ
昔ながらの手塩は、手に塩をつけてから握る方法です。手のひらに触れた面に塩が移るので、手の触れ方によって塩のつき方が変わります。
タイガーの公式コラムでは、「味にムラができるのを抑えるために指の腹全体に塩を塗ります」と紹介されています。手のひらの中央だけに塩を置くと、そこが触れた部分だけしょっぱくなってしまうからです。
やりがちな失敗は、手のひらに塩をのせたまま握り始めること。塩が一か所に固まり、食べたときに塩の粒をガリッと感じる部分ができます。塩は手のひらと指の腹全体にすり込むように広げてから握りましょう。
手塩で握る場合は素手でごはんに触れることになるので、作業前の手洗いを徹底することが前提です。すぐに食べる分なら手塩、持ち運ぶ分や作り置きならラップ、と場面で使い分けるのが現実的です。
塩水に手を浸す方法は塩気が均一になりやすい
もうひとつの方法が、塩水に手を浸してから握るやり方です。塩を溶かした水で手を濡らすので、乾いた塩を塗るよりも塩が手全体に広がりやすいという特徴があります。
三重県の食の安全に関するページでは、おにぎりの作り方として「塩水に手を浸しお米に梅干しを入れて握る。」と紹介されています。水分があることで、ごはんが手にくっつきにくくなるのも利点です。
やりがちな失敗は、手を濡らしすぎること。水分が多いと表面が水っぽくなり、時間がたつとべたつきます。塩水に浸したら、軽く水気を切ってから握るのがコツです。
塩水を使う方法も素手で握ることになるので、衛生面の注意は手塩と同じです。塩水の濃さの考え方や、塩おにぎりの味の決め方については、こちらの記事で詳しく扱っています。
ラップに塩をふる方法は外側にまんべんなくつく
この記事で中心にしているのが、ラップに先に塩をふる方法です。ラップに接した面がそのまま表面になるので、塩が外側に均等につきやすいのが特徴です。
旭化成の公式ページでは、ラップを広げたらまず塩をふり、熱いごはんを広げて具を包むように握れば外側にまんべんなく塩がつくと紹介されています。手塩のように手の触れ方で塩のつき方が変わることがないので、慣れていない人でも味がそろいやすいんです。
やりがちな失敗は、ラップを持ち上げたときに塩が中央に流れて集まってしまうこと。ラップは平らな台の上に広げ、ごはんをのせるまで動かさないようにしましょう。
素手で触れずに済むので、衛生面でも、作る人の手間の面でも、家庭で取り入れやすい方法です。何個も作る日や、お弁当用に持ち出す日には特に向いています。
| 項目 | 手塩 | 塩水 | ラップ塩 |
|---|---|---|---|
| やり方 | 指の腹全体に塩を塗って握る | 塩水に手を浸して握る | ラップに先に塩をふり、ごはんをのせて包む |
| 塩のつき方 | 塗り方次第でムラが出やすい | 手全体に広がりやすい | 外側にまんべんなくつく |
| 衛生面 | 素手で触れるため手洗いが前提 | 素手で触れるため手洗いが前提 | 直接ごはんに触れない |
| 向いている場面 | 作ってすぐ食べる分 | 作ってすぐ食べる分 | お弁当・持ち運び・数を作る日 |
素手で握る日は、手洗いを最初の工程にする
手塩や塩水の方法を選ぶ日は、握る前の手洗いを手順の一部として組み込んでおきましょう。塩をつける前の段階で手が清潔でなければ、どんなに上手に握っても意味がありません。
農林水産省は、「調理、盛り付け、配膳の前は、流水と石けんで十分に手洗いをしましょう。」と呼びかけています。おにぎりは握った手がそのまま食べる人の口に入るものに触れる料理なので、手洗いの意味が大きいのです。
やりがちなのは、炊飯器のふたを開けてから慌てて手を洗い、指の間や爪の周りまで洗えていない状態で握り始めること。ごはんが炊き上がる前に手洗いを済ませ、清潔なふきんやペーパーで手を拭いておくと落ち着いて作業できます。
手洗い後にスマートフォンや冷蔵庫の取っ手に触れると、また手が汚れてしまいます。具や塩、ラップなど必要なものを先に手元に並べておくと、握り始めてから他の物に触らずに済みます。
三角・俵・丸、形と大きさはどう決める?
手順と塩の付け方がわかったら、次はごはんの状態と形づくりです。おにぎりに向くごはんの扱い方と、形ごとの作り方のコツを見ていきます。
ごはんは炊き上がってすぐのほうがまとまりやすい
おにぎりを簡単に握るための前提は、ごはんが温かいうちに作業することです。冷めたごはんはまとまりにくく、強く握らないと形にならないため、結果として固いおにぎりになりやすいんですよ。
タイガーの公式コラムでも、ごはんは炊き上がった状態ですぐに握ることがすすめられています。炊きたてのごはんは粒の表面に適度な粘りがあり、軽く寄せるだけで粒どうしがくっつくからです。
やりがちな失敗は、炊飯器の保温のまま長く置いたごはんで握ること。水分が飛んで表面が乾き、粒がまとまりにくくなります。おにぎりを作る日は、炊き上がりの時間に合わせて準備を進めると握りやすさが変わります。
ごはん自体をおいしく炊くには、浸水や水加減といった炊く前の工程も大切です。おにぎり用だからと特別なことをするより、まずは炊飯器の目盛りどおりにふだんのごはんをしっかり炊くことから始めましょう。浸水の考え方は次の記事が参考になります。

三角は手のひらのくぼみで角を当てる
三角形のおにぎりは、片手の手のひらを山の形に曲げ、そのくぼみで角を作るのが基本です。もう片方の手は下からごはんを支え、回しながら3つの角を順番に当てていきます。
ここで思い出したいのが、前述のタイガーの公式コラムで、三角形を作ろうとして握ると力が入りすぎるという指摘です。角は指先でつまんで作るのではなく、曲げた手のひらに軽く当てて自然にできるものだと考えると、力が抜けます。
やりがちな失敗は、角を出そうとして上の手で真上から押しつぶすこと。おにぎりが平たくなり、中心だけ固く詰まった状態になります。上の手は押すのではなく、包むように添えるイメージです。
ラップで握る場合も、ラップの外側から同じように手のひらのくぼみを当てれば三角になります。ラップ越しなので熱さを気にせず、手の形に集中できるのが利点です。
俵と丸は転がすように形を整える
俵形や丸形は、三角よりも角を作る必要がないぶん、力を入れずに作りやすい形です。お弁当箱に詰めやすいのも俵形の利点です。
俵形は、ごはんを手のひらにのせ、指を軽くそろえて筒状に包み、両端を手で軽く押さえて整えます。丸形は、両手のひらでごはんを包み、転がすように表面をなでて形を作ります。どちらも、押しつけるより転がす動きが中心になるので、ふんわり仕上げたい人に向いています。
やりがちな失敗は、俵形の両端を強く押しすぎて、端だけ固くなること。両端は形を整える程度に軽く触れるだけにしましょう。丸形は転がしすぎると表面の粒がつぶれるので、数回なでたら手を止めます。
肉巻きおにぎりのように、焼いたり巻いたりする前提の場合は話が別です。象印のレシピでは、肉巻きおにぎり用に「ご飯にいりごまを加え、1個ずつラップで包み、しっかりと握ってプレートの穴よりも少し小さめのおにぎりを作る」と紹介されています。加熱や巻く工程で崩れないよう、用途によっては意図的にしっかり握ることもあるわけです。
大きさは食べる人と場面で決める
おにぎりの大きさに決まりはありません。食べる人や場面に合わせて、ごはんの量を変えるのが実用的です。
公的資料のレシピにも、大きさの幅があります。山梨県の冷凍おにぎりの資料では、1個200gのごはんで作るレシピが紹介されています。一方、象印の肉巻きおにぎりのレシピでは、ごはん600g(お茶碗4杯分)で24個分と、ひと口サイズで作る例が示されています。用途によってこれだけ大きさが違うということです。
場面別に考えると、たとえば小さな子どもの朝ごはんなら、手に持ちやすい小ぶりのサイズをいくつか。部活や外仕事のお弁当なら、しっかり食べられる大きめサイズ。作り置きして冷凍するなら、解凍しやすいよう大きさをそろえておく、という具合です。
大きさをそろえたい場合は、毎回同じ茶碗にごはんを軽くよそってから握ると、目分量でも差が出にくくなります。ご飯一膳の量の目安はこちらの記事で整理しています。

素手で握っても大丈夫?食中毒を防ぐために知っておきたいこと
おにぎりは身近な料理ですが、食中毒の原因食品としてたびたび名前が挙がる料理でもあります。家庭で握るときにも知っておきたい理屈を整理します。
公的機関はごはんに直接触れない握り方をすすめている
結論から言うと、公的機関の資料では、おにぎりを素手で直接握るのは避け、ラップや使い捨て手袋を使うことがすすめられています。
農林水産省の災害時の食中毒予防のページでは、おにぎりを握るときは使い捨て手袋やラップなどを使って直接ごはんに触れないよう呼びかけています。また京都市の災害時の食品衛生の資料でも、素手で握るおにぎりは食中毒の危険があるとして、使い捨て手袋かラップに包んでから握るよう案内されています(京都市:災害時の食中毒予防の資料(PDF))。
これらは災害時を想定した資料ですが、手から菌が移るという仕組みは日常の台所でも同じです。家族が食べるだけだから大丈夫、と考えがちですが、作ってから食べるまでに時間があくお弁当ほど、手からついた菌が増える時間も長くなります。
すぐに食べる分を手塩で握るのは昔ながらの作り方ですが、持ち運ぶ分や作り置きする分は、ラップや手袋で握る習慣にしておくのが安全側の選び方です。
黄色ブドウ球菌の毒素は加熱しても残る
おにぎりと関係の深い食中毒菌として知られているのが、黄色ブドウ球菌です。人の手や指にもいる身近な菌で、手を介して食品に移ることがあります。
厚生労働省が自治体に向けて出した事務連絡の添付資料では、この菌について「菌は加熱すると死にますが、毒素は加熱しても死滅しませんので、注意が必要です。」と説明されています。同じ資料では、これまでおにぎり、弁当、和洋生菓子などの食品が原因食品として報告されているとも書かれています。
やりがちな思い込みは、食べる前に電子レンジで温め直せば大丈夫というものです。菌そのものは加熱で死んでも、すでにつくられた毒素は残るとされているので、温め直しでは取り返せません。だからこそ、握る段階で菌を移さないことが大切なんです。
同じ資料には、熊本市で避難所に提供されたおにぎりを原因とする黄色ブドウ球菌の食中毒事案が報告されたことも記載されています。おにぎりの衛生は、決して大げさな話ではないということです。
黄色ブドウ球菌:手指などにもいる身近な細菌。厚生労働省の資料では、菌は加熱で死ぬが毒素は加熱しても死滅しないと説明され、おにぎりや弁当が原因食品として報告されているとされています。握る段階で手から移さないことが予防の基本です。
手に傷があるときや体調がすぐれないときは握らない
手洗いをしても防ぎきれないのが、手指に傷がある場合です。傷口には菌が集まりやすく、洗っても落としきれないことがあるためです。
前述の厚生労働省の事務連絡の添付資料では、手指に傷がある人や下痢の症状がある人は調理に従事しないよう示されています。避難所での調理を想定した注意ですが、家庭で家族の分を作るときにも参考になる考え方です。
やりがちなのは、指先の小さなささくれや切り傷を気にせず素手で握ってしまうこと。本人は気にならない程度の傷でも、食べ物を扱ううえでは注意が必要です。
手に傷がある日は、使い捨て手袋をつけたうえでラップ越しに握るか、ほかの家族に握ってもらうのが安心です。体調がすぐれない日は、無理に調理を担当しないことも衛生対策のひとつです。
素手で握るなら、せめて手洗いと短時間を意識する
それでも、手塩で握るおにぎりの味が好きという方もいるでしょう。素手で握る場合は、衛生面のリスクを小さくする工夫を重ねることが大切です。
まず、流水と石けんで指の間や爪の周りまで十分に手洗いをしてから握ること。そして、素手で握ったおにぎりは作ってすぐ食べる分にとどめ、持ち運びや作り置きには回さないこと。手から菌が移っても、増える時間を与えなければリスクは下げられます。
やりがちな失敗は、素手で握ったおにぎりをそのままお弁当に入れて、昼まで持ち歩くことです。作ってから食べるまでの時間が長いほど、菌が増える時間も長くなります。
家族の中で、すぐ食べる人の分は手塩、お弁当の分はラップ、と分けて作るのもひとつの方法です。同じ日に同じごはんで作っても、食べるまでの時間で握り方を変えるという考え方です。
持ち運び・作り置きで失敗しない包み方と冷凍
握ったおにぎりをお弁当にしたり、冷凍して作り置きしたりする場合は、包むタイミングと保存の仕方にも気を配りたいところです。
実は、握るのは熱いうち・包むのは冷めてから
意外と知られていないけれど、おにぎりは握るタイミングと包むタイミングを分けて考える必要があります。ここまで炊きたての熱いごはんで握ることをすすめてきましたが、持ち運ぶために包む段階は、冷ましてからが基本なんです。
厚生労働省の事務連絡の添付資料では、避難所での食中毒予防対策として「調理した食品をラップなどで包装する場合は、冷ましてから行う。」と示されています。熱いうちに包むと、湯気が中にこもって水滴がつき、表面がべたついたり、湿った状態が続いたりするからです。
一見すると、熱いうちにラップで握るという手順と矛盾するように見えますよね。ですが、握る工程と、持ち運ぶために包む工程は別物です。ラップで握ったあと、すぐ食べないものはいったんラップを開いて湯気を逃がし、粗熱が取れてから新しいラップで包み直す、という流れにすると両立できます。
のりを巻く場合も、熱いうちに巻くとのりが湿気を吸ってしまいます。持ち運ぶ分は、食べる直前に巻けるよう、のりを別に包んでおくのもひとつの手です。
原因:握ったラップのまま、熱いおにぎりを包んでしまうと、湯気がこもって水滴がつき、表面がべたついて湿った状態が続きます。
対策:持ち運ぶ分は、握ったあといったんラップを開いて粗熱を取り、冷めてから包み直しましょう。厚生労働省の資料でも、ラップなどで包装するのは冷ましてからと示されています。
持ち運んだおにぎりは早めに食べる
持ち運ぶおにぎりで大切なのは、作ってから食べるまでの時間を必要以上に延ばさないことです。家庭のお弁当で何時間までなら大丈夫、という公的な数値は示されていないので、早めに食べることを基本にしましょう。
前述の厚生労働省の資料では、避難所向けの予防対策として、提供された食品は早めに食べ、食べ残した食品は廃棄するよう示されています。また、前日調理はしないことも挙げられています。家庭でも、前日の夜に握ったおにぎりを翌日の昼まで常温で持ち歩くのは避けたほうがよいでしょう。
やりがちな失敗は、食べきれなかったおにぎりを夕方まで持ち帰り、もったいないからと食べてしまうことです。季節や持ち歩く環境によって状態は変わるので、食べ残しは処分する判断も大切です。
暑い季節に持ち運ぶ場合は、直射日光の当たる場所や車内に置かないなど、涼しい場所で保管するよう意識してください。作り置きしたい場合は、次に説明する冷凍のほうが向いています。
冷凍するなら、手で握らずラップの中で形を整える
おにぎりを作り置きしたいなら、冷凍がひとつの選択肢です。ただし、冷凍するおにぎりは、すぐ食べるおにぎり以上に握り方に気をつけたいところです。
山梨県の冷凍おにぎりの資料では、「手で握ると細菌がつき、保存した際に細菌が増えてしまう可能性があるため、清潔な器やラップの中でおにぎりの形を整えてください。」と説明されています。同じ資料では、あたたかいごはんに具材を入れて混ぜ、ラップに包んでおにぎりの形を整え、冷凍する手順が紹介されています。
やりがちな失敗は、手塩で握ったおにぎりを余ったからと冷凍に回すこと。保存を前提にするなら、最初からラップの中で成形するのが理にかなっています。
冷凍用のおにぎりは、具を混ぜ込むタイプにすると、中心に具を包むより形を整えやすく、解凍したときの温まり方も均一になりやすいでしょう。保存期間の公的な目安は示されていないので、作り置きした分は早めに食べきる意識で回してください。
解凍は電子レンジで中まで温める
冷凍したおにぎりは、電子レンジで中まで温めて解凍します。表面だけ温まって中心が冷たいままだと、食感が悪いだけでなく、ごはんのおいしさも戻りません。
山梨県の資料では、1個200gのおにぎりを電子レンジ(600W)で3〜4分加熱して解凍するよう記載されています。大きさが違えば必要な加熱時間も変わるので、この値はあくまで同資料のレシピの大きさでの目安と考え、ご家庭の電子レンジの説明書もあわせて確認してください。
やりがちな失敗は、ラップを外さずに温めて、ラップが縮んでおにぎりに張りついてしまうことや、加熱しすぎて端だけ固くなることです。温めたら中心まで温まっているかを確かめ、足りなければ少しずつ追加で加熱しましょう。
前の章で説明したとおり、黄色ブドウ球菌の毒素は加熱しても死滅しないとされています。解凍で温め直すからといって握る段階の衛生がおろそかになってよいわけではありません。冷凍するおにぎりこそ、ラップの中で清潔に形を整えることが出発点です。
すぐ食べる分は熱いうちにラップで握ってそのまま食卓へ。持ち運ぶ分は粗熱を取ってから包み直し、早めに食べる。作り置きする分は、手で握らずラップの中で形を整えて冷凍し、食べるときに電子レンジで中まで温める。食べるまでの時間で、握り方と包み方を変えるのがコツです。
まとめ
おにぎりが固くなる、手にくっつく、形が決まらないといった悩みの多くは、力の入れすぎと素手での作業から生まれています。次にごはんを炊いたら、ラップを広げて塩をふり、熱いごはんと具をのせて、3回だけやさしく握ってみてください。それだけで、口の中でほどけるおにぎりとの違いを感じられるはずです。
※記事内の手順や目安は各メーカー・公的機関の公開情報に基づいています。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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