MENU

うるち米で餅は作れる?もち米ほぼ100%アミロペクチンとの差と上新粉の使い道

うるち米で餅は作れる?もち米ほぼ100%アミロペクチンとの差と上新粉の使い道のアイキャッチ画像

家にあるのはいつものお米だけ。でもお餅が食べたい。そんなとき、うるち米で餅を作れないかと考えたことはありませんか。団子の材料に書かれた上新粉ともち粉の違いがわからず、売り場で手が止まった経験がある人もいるはずです。

先に結論をお伝えすると、うるち米をついても、もち米の餅のようによくのびる餅にはなりにくいんです。理由はお米のでんぷんの中身にあります。農林水産省の資料では、うるち米のでんぷんはアミロースとアミロペクチンが2対8程度、もち米はほぼ100%がアミロペクチンと説明されています。この違いが、のび・粘り・冷めたあとの硬さを分けています。

とはいえ、うるち米が餅の世界と無縁なわけではありません。うるち米から作る上新粉は団子などの和菓子に使われますし、炊いたご飯をつぶして作る郷土料理もあります。この記事では、でんぷんの仕組みから粉の使い分け、餅を食べるときの窒息事故の予防、切り餅とつきたて餅の保存手順までを、公的機関の資料をもとに順番に解説します。

🌾 この記事でわかること

・うるち米をついても、のびる餅になりにくい理由(でんぷんの違い)
・上新粉・もち粉・用途別基準の米粉の違いと選び方
・餅の窒息事故が1月に集中する理由と、食べるときの習慣
・切り餅・つきたて餅の冷凍と水餅の手順、硬くなった餅の食べ方

目次

うるち米で餅はできる?もち米との差はでんぷんの中身にある

うるち米で餅はできる?もち米との差はでんぷんの中身にあるの解説画像

うるち米をついても、のびる餅にはなりにくい

うるち米を炊いて臼や鉢でついても、もち米の餅のように薄くのびて、ひとつにまとまる生地にはなりにくいんです。ある程度は粘ってまとまりますが、引っ張るとちぎれやすく、粒の感触も残りやすい仕上がりになります。

理由は、お米に含まれるでんぷんの種類の割合にあります。お米のでんぷんはアミロースとアミロペクチンという2種類でできていて、粘りの強さはおもにアミロペクチンの多さで決まるとされています。もち米はこのアミロペクチンがほとんどを占めるため、ついたときに強くのびる生地になります。うるち米はアミロースも含むぶん、粘りがそこまで強く出ないわけです。

台所でありがちなのが、もち米が手元にないからと普段のお米を炊飯器で炊き、すりこぎでついてみて、思ったようにまとまらずに困るケースです。これは手順の問題ではなく、原料の性質の違いから来ています。

うるち米でやるなら、餅の代わりではなく、粒感が残る別の料理として考えるのがコツです。のびる餅が食べたいときは、もち米かもち米由来の粉を選ぶのが近道です。

うるち米は2対8、もち米はほぼ100%がアミロペクチン

うるち米ともち米の違いは、でんぷんの構成比率で数字として示されています。農林水産省は、「精白米(もち米)のでんぷんはほぼ100%がアミロペクチンです。」と説明しており、同じページでうるち米の構成比率はアミロースとアミロペクチンで2対8程度としています(農林水産省「お米の成分と健康」関連ページ)。

つまり、うるち米もでんぷんの大半はアミロペクチンなんです。それでも、残りの2割程度を占めるアミロースが入るかどうかで、炊きあがりやついたときの性質がはっきり変わります。もち米はアミロースをほとんど含まないため、粘りを生むアミロペクチンだけで生地ができあがり、それが餅らしいのびにつながります。

見落としやすいのは、うるち米にもアミロペクチンが多く含まれる点です。だからこそ、うるち米のご飯にもほどよい粘りがあり、つぶせばある程度まとまります。うるち米かもち米かの違いは、粘りがあるかないかの二択ではなく、どこまで強く粘るかの程度の差と考えると理解しやすくなります。

なお、このページは2026年3月26日に一部の記載が修正されています。数字を引用するときは、出典ページの最新の記載で確かめておくと安心です。

📖 用語チェック

アミロース=お米のでんぷんを構成する成分の一つ。割合が高いと粘りが控えめになり、冷めると硬くなりやすいとされます。
アミロペクチン=もう一つの成分で、粘りのもとになるとされます。農林水産省によると、うるち米ではアミロースとの比率が2対8程度、もち米ではほぼ100%がアミロペクチンです。

同じうるち米でも、品種によって粘りは変わる

うるち米とひとくくりにしても、粘りの強さは品種によって違います。農林水産省は「うるち米のアミロースとアミロペクチンの比率は、品種や生育条件などによって異なり、アミロースの割合が低いほど粘りが強く、冷めてもかたくなりにくい米になります。」としています(農林水産省)。

この説明から見えてくるのは、アミロースの割合がうるち米ともち米のあいだのどこにあるかで、食感が段階的に変わるということです。アミロースが少なめに育成された品種は、うるち米でありながらもっちりとした食感と紹介されることがあります。ただし、そうした品種でもアミロースを含む以上、もち米の餅と同じようにのびるわけではありません。

やりがちな誤解は、粘りの強い品種ならもち米の代わりになると考えてしまうことです。ご飯としての粘りと、ついたときの餅らしいのびは別物と考えておきましょう。

同じ品種でも生育条件で比率が変わる、というのも大事なポイントです。産地や年によって炊きあがりの印象が少し違うのは、こうした要因も関係していると考えられます。品種の特徴を知りたいときは、道県や育成元の公式の品種紹介を確認するのが確実です。

📊 うるち米ともち米を比較
項目 うるち米 もち米 違いが出る場面
でんぷんの構成 アミロース対アミロペクチンが2対8程度 ほぼ100%がアミロペクチン 粘り・のびの強さ
ついたときの性質 まとまるが、ちぎれやすく粒感が残りやすい よくのび、ひとつの生地にまとまる 餅つき・家庭での餅作り
主な使い道 毎日のご飯、上新粉の原料 餅、おこわ、もち粉の原料 材料選び・粉選び

出典:農林水産省の資料をもとにお米の教科書編集部が整理

うるち米ともち米の見た目や炊き方の違いについては、こちらの記事でくわしく整理しています。

あわせて読みたい
うるち米ともち米の違いはアミロース約20%の有無|粘り・見た目・米粉の使い分け
赤飯を炊こうとして、お米の袋を前に手が止まったことはありませんか。うるち米ともち米は、どちらもお米なのに、炊くと粘りがまるで違います。ふだんのごはんと同じ水加減…

ついてものびないのはなぜ?粘りを決めるでんぷんの仕組み

枝分かれの多いアミロペクチンが粘りを生む

餅ののびや粘りは、アミロペクチンの形に関係していると説明されています。アミロースはブドウ糖がおおむね一本の鎖のようにつながった形、アミロペクチンは鎖がたくさん枝分かれした形をしているとされます。

お米を水と一緒に加熱すると、でんぷんが水を吸ってふくらみ、やわらかく粘りのある状態に変わります。このとき、枝分かれの多いアミロペクチンどうしが絡み合うことで、ねっとりとしたのびが生まれると考えられています。もち米はでんぷんのほぼすべてがアミロペクチンなので、ついて粒をつぶすほど、この絡み合いが生地全体に広がっていきます。

一方のうるち米は、2割程度のアミロースが混ざっているぶん、絡み合いが途中で途切れやすくなります。ついても生地がひとつながりになりにくく、引っ張ったときに切れやすいのはこのためです。

家庭で意識したいのは、粘りは加熱とつく作業で引き出されるという点です。もち米であっても、蒸しや炊きが足りず芯が残っていると、つぶしたときにのびが出にくくなります。餅作りでは、米の種類と加熱の両方がそろって初めて餅らしい食感になると覚えておきましょう。

冷めると硬くなるのは、でんぷんが元に戻ろうとするから

炊きたてのご飯やつきたての餅がやわらかいのは、でんぷんが水を含んで糊のような状態になっているからです。ところが時間がたって冷めると、でんぷんが水を手放しながら、もとの整った並び方に戻ろうとします。この変化はでんぷんの老化と呼ばれ、ご飯がぼそぼそになったり、餅が硬くなったりする原因とされています。

農林水産省の説明にあるとおり、アミロースの割合が低いほど冷めてもかたくなりにくいとされています。一本の鎖に近いアミロースは並び直しやすく、枝分かれの多いアミロペクチンは並び直しに時間がかかる、と考えるとイメージしやすいでしょう。

台所でよくある場面に置きかえると、うるち米をついて作った生地は、作った直後はそれなりにまとまっていても、冷めるとぽろぽろとほぐれやすくなります。もち米の餅と比べて、冷めたときの差がはっきり出やすいのです。

うるち米の生地を食べるなら、温かいうちに成形して、焼くなどして早めに食べきるのが基本です。作り置きを前提にするなら、もち米を使うほうが扱いやすいでしょう。

うるち米をついて失敗しやすいのはここ

うるち米で餅を作ろうとしたときの失敗は、だいたい三つのパターンに分かれます。一つ目は、のびないからとつく時間を長くしすぎること。二つ目は、まとまらないからと水を足しすぎること。三つ目は、冷ましてから丸めようとしてひび割れることです。

どれも原因は同じで、うるち米に含まれるアミロースが、もち米ほどの粘りを出させないことにあります。長くついても、でんぷんの構成が変わるわけではありません。水を足すと表面はやわらかくなりますが、べたつくだけで、のびは増えにくくなります。冷めてから成形すると、先ほどの老化が進んで割れやすくなります。

うるち米ならではの使い方をするなら、ついて餅にしようとするより、半分ほど粒を残すつもりでつぶし、温かいうちに形を整えて焼く方向に切り替えるのがおすすめです。香ばしく焼いた表面と、粒感の残る中身の組み合わせは、もち米の餅とは別のおいしさがあります。

どうしてものびる餅を作りたいなら、無理にうるち米で再現しようとせず、材料をもち米やもち粉に変えるのが失敗しない選び方です。

⚠️ やりがちな失敗

うるち米のご飯がのびないからと、水を足してつき続けるのは逆効果になりがちです。原因は手順ではなく、でんぷんにアミロースが含まれていること。水を足すとべたつくだけで、冷めるとぽろぽろ崩れます。のびる餅が欲しいときは、材料をもち米かもち粉に切り替えましょう。

上新粉・もち粉・米粉は何が違う?粉で見る米の使い分け

上新粉・もち粉・米粉は何が違う?粉で見る米の使い分けの解説画像

上新粉は、うるち米を精白・水洗い・乾燥させて粉にしたもの

うるち米と餅系のお菓子をつなぐ代表が上新粉です。米穀安定供給確保支援機構の資料では、米穀粉の種類として、上新粉を「精白したうるち米を水洗いして水切りし、しばらく乾燥させてから製粉したもの。」と説明しています(米穀安定供給確保支援機構「もち米を巡る状況」)。

原料がうるち米なので、でんぷんの性質もうるち米と同じです。上新粉に水やお湯を加えてこね、蒸して作る生地は、もち米の餅のようにのびるのではなく、歯切れのよい、しっかりした食感になりやすいとされています。団子をかんだときに、ぷつっと切れる感触があるのはこのためです。

売り場でよくある迷いは、粉の袋に餅や団子の写真が載っていると、どれでも同じように使えると思ってしまうことです。袋の原材料名を見て、うるち米と書いてあれば上新粉の仲間、もち米と書いてあればもち粉の仲間と判断できます。

上新粉を使うときは、のびではなく歯切れを楽しむ粉と考えるのがコツです。食感の好みに合わせて、次に紹介するもち粉と使い分けましょう。

もち粉は、同じ工程でも原料がもち米

もち粉は、上新粉と作り方の流れがよく似ています。同じ資料では、もち粉を「もち米を水洗いして水切りし、しばらく乾燥させてから製粉したもの。」と説明しています(米穀安定供給確保支援機構)。

二つの定義を並べると、違いは原料がうるち米か、もち米かという点にあることがわかります。工程が似ていても、原料のでんぷんの構成が違うので、生地にしたときの性質も変わります。もち粉はでんぷんのほぼすべてがアミロペクチンのため、こねて加熱すると、もちもちとしてのびのある生地になりやすいとされています。

ありがちな失敗は、上新粉のレシピをそのままもち粉で作って、生地がやわらかくなりすぎたり、その逆で、もち粉のつもりで上新粉を使って硬く仕上がったりすることです。粉の種類が違えば、水の吸い方や仕上がりの食感も変わります。

レシピに粉の種類が指定されているときは、それに合わせるのが基本です。もち米由来の粉には、ほかにも白玉粉などがあり、商品によって性質が異なるので、パッケージの使い方の説明を確認してから使いましょう。

実は、上新粉は米粉の用途別基準の対象外

意外と知られていないのが、上新粉と、パンやケーキに使ういわゆる米粉は、公的な基準のうえでは別の扱いになっているという点です。農林水産省の米粉の用途別基準について、農林水産省は「用途別基準では、米粉の主な用途について、菓子・料理用、パン用および麺用に分類します。」と説明しています(農林水産省「米粉の用途別基準」)。

そのうえで、同じページには「上新粉など、既存用途向けの米穀粉は対象としない。」と書かれています(農林水産省)。つまり上新粉は、昔から和菓子などに使われてきた粉として、用途別基準とは別の位置づけにあるわけです。

台所で起きやすいのは、米粉と上新粉はどちらもうるち米の粉だから同じだろうと考えて、パンやケーキのレシピに上新粉を使ってしまうことです。用途別基準は、パンや麺などに向く粉を選びやすくするための区分なので、その前提で作られたレシピには、基準に沿って表示された米粉を使うほうが仕上がりが安定します。

逆に、団子や柏餅のような和菓子には、上新粉を指定したレシピが多くあります。粉を選ぶときは、作りたいものが和菓子なのか、パン・ケーキなのかを先に決めるのが近道です。

📊 お米の教科書調べ:米の粉3種の位置づけ
項目 上新粉 もち粉 用途別基準の米粉
原料 うるち米 もち米 商品ごとに表示を確認
公的資料での説明 精白したうるち米を水洗い・水切り・乾燥させて製粉(米穀機構の資料) もち米を水洗い・水切り・乾燥させて製粉(米穀機構の資料) 菓子・料理用、パン用、麺用に分類(農林水産省)
向いている場面 歯切れのよい団子などの和菓子。用途別基準の対象外 のびのある餅菓子 パン・ケーキ・麺など、表示された用途

出典:米穀安定供給確保支援機構「もち米を巡る状況」、農林水産省「米粉の用途別基準」をもとに編集部作成

うるち米の粉でもちもちした食感を出す工夫については、こちらで粉の違いから解説しています。

あわせて読みたい
米粉もちはうるち米なのにもちもち?もち粉との違いと粒度60μmが効く理由 「米粉でおもちっぽいおやつを作りたい。でも手元にあるのは普通の米粉で、もち粉じゃない。これでも作れるの?」。米粉の袋を前に、こんなふうに手が止まったことはあ...

うるち米から生まれる餅菓子と郷土料理、もち米との見分け方

団子や柏餅には、上新粉を使うものが多い

餅と名前がついていても、原料がうるち米のお菓子は珍しくありません。上新粉を使った団子や柏餅は、その代表例としてよく知られています。地域やお店によって配合はさまざまで、上新粉にもち粉などを合わせて食感を調整することもあるとされています。

上新粉の生地が和菓子に向いている理由は、先ほどのでんぷんの性質にあります。のびすぎず歯切れがよいので、串に刺したり、葉で包んだりしても形が崩れにくく、口の中でほどよく切れます。もち米の餅のようにのびる生地だと、こうした形のお菓子は扱いにくくなります。

家庭でよくある失敗は、上新粉の団子を作り置きして、翌日には硬くなってしまうことです。これもアミロースを含むうるち米の粉ならではの性質で、冷めると硬くなりやすいとされています。

上新粉のお菓子は、作ったその日のうちに食べきる量で作るのがコツです。硬くなったものは、蒸し直したり焼いたりして温め直すと、やわらかさが戻りやすくなります。食感の変化を前提に、食べるタイミングから逆算して量を決めましょう。

五平餅やきりたんぽは、ご飯をつぶして作る

粉にせず、炊いたうるち米のご飯をそのまま使う郷土料理もあります。五平餅やきりたんぽは、うるち米のご飯をつぶして形を整え、焼いて仕上げる料理として知られています。作り方や呼び名は地域や家庭によって違いがあります。

これらの料理は、まさに先ほど説明したうるち米の性質を生かしたものです。ご飯を完全につぶして餅にするのではなく、粒を残しながらまとめることで、香ばしく焼けた表面と、ご飯らしい食感が残る中身が両立します。うるち米ならではの、ほどよい粘りがちょうど生きる使い方といえます。

家で真似するときにありがちなのが、つぶしすぎて手や道具にべったりつき、成形しにくくなることです。また、冷めたご飯を使うと粘りが出にくく、まとまらずに崩れやすくなります。

コツは、炊きたての温かいご飯を使い、粒が半分ほど残る程度で止めることです。道具や手を水で軽くぬらしておくと、くっつきにくくなります。成形したら、表面を焼いて固めてからたれを塗ると、形が崩れにくくなります。

🍙 うるち米のご飯をつぶして焼くときの流れ
Step1:炊きたての温かいご飯を用意する(冷めたご飯は粘りが出にくい)
↓
Step2:水でぬらしたすりこぎで、粒が半分ほど残るまでつぶす
↓
Step3:温かいうちに形を整え、表面を焼いて固めてからたれを塗る

原材料表示を見れば、うるち米かもち米かがわかる

市販の餅や和菓子が、うるち米ともち米のどちらで作られているかは、原材料表示を見ればおおよそ判断できます。原材料名には、もち米、もち粉、上新粉、米粉などの名前が書かれているので、そこから原料の種類がわかります。

見分けが大事なのは、原料によって食感や硬くなりやすさが変わるからです。もち米やもち粉が中心なら、のびのある食感で、冷めても比較的やわらかさが保たれやすいと考えられます。上新粉が中心なら、歯切れがよく、時間がたつと硬くなりやすい傾向があります。

よくある勘違いは、餅という名前がついていれば、すべてもち米で作られていると思い込むことです。団子や一部の餅菓子のように、名前に餅とあってもうるち米の粉が使われている商品はあります。

食感の好みがはっきりしている人は、購入前に原材料名を一度確認する習慣をつけておくと選びやすくなります。複数の粉が書かれている場合は、組み合わせて食感を調整していると考えるとよいでしょう。

もち米で家庭の餅を作るなら、炊飯器も使える

のびる餅を家で作りたいなら、やはり原料はもち米が向いています。餅つきの道具がなくても、もち米を炊飯器で炊き、熱いうちにすりこぎなどでつく方法が家庭ではよく紹介されています。

もち米は、でんぷんのほぼすべてがアミロペクチンなので、熱いうちにつけばつくほどのびが出て、ひとつにまとまっていきます。ここで冷めてしまうと、でんぷんの老化が始まって生地が硬くなり、まとまりにくくなります。熱いうちに作業するのが大切なのは、このためです。

ありがちな失敗は、炊きあがったもち米をしばらく置いてからつき始めることや、もち米をうるち米と同じ水加減で炊いてしまうことです。もち米は炊き方の目安がうるち米と異なるので、炊飯器のおこわコースや取扱説明書の案内に従うのが確実です。

炊飯器での餅作りの具体的な手順は、こちらの記事で紹介しています。

あわせて読みたい
炊飯器餅はもち米2合で作れる|水は1合180~200mlが目安、熱いうちにつく理由 「お正月でもないけれど、少しだけお餅が食べたい」「餅つき機は持っていないけれど、炊飯器で作れないかな」。そう思ったことはありませんか。臼と杵がなくても、家庭...

1月に事故が集中?餅を安全に食べるための習慣

餅による窒息死亡事故の43%は1月に起きている

餅を語るうえで避けて通れないのが、のどに詰まらせる事故です。消費者庁は「餅による窒息死亡事故の43%が、餅を食べる機会が多い1月に発生していました。」と注意を呼びかけています(消費者庁「高齢者の窒息事故に注意」、2020年12月23日公表)。

同じ公表では、厚生労働省の人口動態調査に基づき、食物が原因の窒息で亡くなる65歳以上の人は年間3,500人以上、そのうち80歳以上は2,500人以上とされています。お正月に餅を食べる機会が増えることが、1月に事故が集中する背景にあると考えられます。

ここまで読んできた内容とつなげると、事故の起きやすさは餅の性質とも無関係ではありません。もち米の餅はアミロペクチンが中心で、よくのびて粘りが強い食べ物です。その粘りが、おいしさであると同時に、のどに詰まりやすい理由の一つにもなっています。

お正月に家族や親戚が集まる場面では、普段は餅を食べない人も口にする機会が増えます。食べる前に、この時期に事故が多いことを家族で共有しておくだけでも、注意のきっかけになります。

救急搬送の約9割以上が65歳以上の高齢者

東京消防庁のまとめでは、令和2年から令和6年までの5年間に、餅などをのどに詰まらせて救急搬送された人は338人で、その約9割以上が65歳以上の高齢者とされています(東京消防庁「餅などによる窒息事故に注意」、2025年12月12日更新)。

さらに同じページでは、過去5年間の餅などによる事故で、救急搬送された人の約7割が中等症以上と診断されたとしています。軽く済むことが少なく、重い結果につながりやすい事故だということがわかります。

家庭で気をつけたいのは、高齢の家族が一人で餅を食べる状況です。お正月の慌ただしさの中で、台所に立っている間や片付けの最中に、食卓で一人だけ餅を食べているということは起こりがちです。

高齢の家族と一緒に食べるときは、同じ食卓で声をかけ合いながら食べると安心です。地域の東京消防庁以外の消防本部でも同様の注意喚起を出していることがあるので、お住まいの地域の案内もあわせて確認しておきましょう。

小さく切って、ゆっくり噛む

事故を防ぐための習慣として、公的機関が共通して挙げているのが、餅を小さく切ることと、よく噛むことです。東京消防庁は「餅は小さく切って、食べやすい大きさにしましょう。」と案内しています(東京消防庁)。

小さく切るのが効果的なのは、一度に口に入る量が減り、噛む回数を確保しやすくなるからです。餅はのびがあるぶん、大きいまま口に入れると、噛み切れないまま飲み込もうとしてしまいがちです。また、急いで飲み込まず、ゆっくり噛んでから飲み込むことも、東京消防庁と消費者庁の両方が案内しています。

やりがちなのは、雑煮の餅を切り餅のままの大きさで椀に入れてしまうことです。焼き餅でも、そのままかぶりつくと一口が大きくなります。

家族に高齢の人や小さな子どもがいる場合は、調理の段階で、ひと口で無理なく食べられる大きさに切ってから出すのが手間のかからない対策です。食べる人に任せるより、出す側が大きさを決めておくほうが、習慣として続けやすくなります。

お茶で流し込まない——2つの機関の案内の違い

お茶や汁物の扱いについては、案内の表現が機関によって違って見えるので、整理しておきます。消費者庁は「よく噛まないうちにお茶などで流し込むのは危険です。」としています(消費者庁)。

一方で東京消防庁は、食べる前にお茶や汁物で喉を潤すよう案内しています。一見すると矛盾しているようですが、両者が想定している場面が違います。消費者庁の注意は、噛み切れていない餅を飲み物で押し流そうとする場面、東京消防庁の案内は、食べ始める前にのどを潤しておく場面のことです。

ありがちな危ない食べ方は、餅がのどにつかえそうになったときに、慌ててお茶で流し込もうとすることです。噛み切れていない大きさのまま飲み込むことにつながりかねません。

まとめると、食べる前に水分をとってのどを潤し、食べている途中は飲み物で流し込まずにしっかり噛む、という順番で考えると、二つの案内を両立できます。家族で食べる前に、この順番をひと言共有しておくとよいでしょう。

🌾 押さえておきたいポイント

餅は小さく切って出す/食べる前にお茶や汁物でのどを潤す/食べている途中は飲み物で流し込まず、ゆっくり噛んでから飲み込む/高齢の家族が一人で餅を食べる状況をつくらない。消費者庁と東京消防庁の案内をもとに整理しました。

切り餅とつきたて餅、保存の考え方はどう違う?

個包装の切り餅は扱いやすい

餅の保存は、市販の個包装の餅か、家庭でついた餅かで考え方が分かれます。農林水産省の広報誌では、「市販されている個別包装の餅は、長期保存できることが多く、それほど扱いに困ることはありません。」と紹介されています(農林水産省 広報誌aff 2020年1月号)。

個包装の餅が扱いやすいのは、一つずつ包装されていて、外の空気や手指に触れにくい状態で売られているからと考えられます。開けるまでは包装が守ってくれるので、家庭では表示された保存方法と期限を守ることが基本になります。

気をつけたいのは、外袋を開けたあとの扱いです。中の個包装が無事でも、外袋を開けたまま湿気の多い場所に置いておくと、包装の傷などに気づきにくくなります。また、個包装を一度開けたものは、包装されていない餅と同じように扱う必要があります。

保存の目安は商品ごとに違うので、パッケージに書かれた保存方法と期限を確認しましょう。開封後の扱いが書かれている場合は、その案内に従うのが確実です。

家庭でついた餅は、カビに注意が必要

一方、家庭でついた餅や、個包装されていない餅については注意が必要です。同じ広報誌は「個別包装されていない餅や、家庭でついた餅は、やや注意が必要です。」としています(農林水産省 広報誌aff)。

家庭の餅で気をつけたいのは、カビです。つきたての餅は水分を多く含み、作業の途中で空気や手、道具に触れる機会もあります。包装されずに置かれた状態が続くと、表面にカビが生えやすくなると考えられます。

台所でありがちな失敗は、つきたての餅をのし餅のまま常温で何日も置き、気づいたら表面に色のついた斑点が出ていたというケースです。お正月のように量が多いと、食べきれないまま置きっぱなしになりがちです。

家庭でついた餅は、食べきれる分だけを手元に残し、残りは早めに冷凍か水餅にしておくのが安心です。カビが生えてしまったものは、無理に食べずに処分しましょう。保存の手順は、次の二つの方法を参考にしてください。

⚠️ やりがちな失敗

つきたての餅をまとめて保存袋に入れて冷凍すると、餅どうしがくっついて一つの塊になり、使う分だけ取り出せなくなります。原因はラップで1個ずつ包む工程を省いたこと。冷凍前に1個ずつラップで包んでから、フリーザーパックに入れましょう。

冷凍は、1個ずつラップしてから保存袋へ

家庭でついた餅を保存する方法として、農林水産省の広報誌では冷凍の手順が紹介されています。ラップで1個ずつ包み、フリーザーパックに入れて冷凍庫で保存し、調理するときは室温で半解凍してから使う、という流れです。

1個ずつラップで包むのは、餅どうしがくっつくのを防ぎ、乾燥や冷凍庫内のにおい移りを抑えるためと考えられます。さらにフリーザーパックに入れることで、包みが二重になり、空気に触れにくくなります。

よくある失敗は、凍ったままの餅を焼こうとして、外側だけ焦げて中が硬いままになることです。半解凍してから調理するよう案内されているのは、中まで熱を通しやすくするためと考えられます。

なお、冷凍で保存できる期間について、今回確認した公的資料には具体的な数値の記載がありませんでした。冷凍したからといって品質がずっと変わらないわけではないので、袋に冷凍した日付を書いておき、早めに使いきることを心がけましょう。市販品はパッケージの表示に従ってください。

🍙 餅を冷凍するときの流れ
Step1:餅をラップで1個ずつ包む
↓
Step2:フリーザーパックに入れて冷凍庫で保存する(冷凍した日付を書いておくと便利)
↓
Step3:調理するときは室温で半解凍してから使う

出典:農林水産省 広報誌aff 2020年1月号

水餅は、毎日の水替えが欠かせない

冷凍のほかに、昔ながらの保存方法として水餅があります。農林水産省の広報誌では、食品保存容器に餅を入れ、ちょうど餅がつかるくらいの常温の水を加え、ふたを閉めて冷蔵庫か冷暗所で保存し、水は毎日取り替える、という手順が紹介されています。

水餅は、餅を水の中に沈めることで空気に触れにくくし、乾燥やひび割れを防ぐ方法と考えられます。冷凍と違って、取り出してすぐに調理しやすいのが利点です。

ただし、水に浸けておけば安心というわけではありません。いちばんやりがちなのは、水替えを忘れて何日もそのままにしてしまうことです。水が濁ったり、においが出たりしたまま使うのは避けたいところです。毎日取り替えるよう案内されているのは、水を清潔に保つためと考えられます。

水餅にするなら、毎日の水替えを続けられる量だけにしておくのが現実的です。忙しい時期や量が多いときは、手間の少ない冷凍を選ぶとよいでしょう。どちらの方法でも、食べる前には見た目やにおいを確かめる習慣をつけておくと安心です。

硬くなった餅はどう食べる?読者タイプ別の使い分け

硬くなった餅は、水分と熱でやわらかさが戻る

時間がたって硬くなった餅も、加熱すればやわらかさが戻ります。硬くなるのは、でんぷんが水を手放して並び直す老化のためでしたが、水分と熱を加えると、でんぷんがもう一度水を含んでやわらかい状態に戻りやすくなるとされています。

具体的には、焼く、煮る、蒸すといった方法があります。焼く場合は表面の水分が飛んで香ばしくなり、中がふくらんでやわらかくなります。煮たり蒸したりする場合は、外から水分が加わるので、全体がしっとりとやわらかく戻りやすくなります。

ありがちな失敗は、カチカチの餅を強い火でいきなり焼いて、表面が焦げたのに中は硬いままになることです。また、電子レンジで温めすぎると、ふくらんだあとに縮んで硬くなったり、容器にくっついたりすることがあります。

硬い餅を焼くときは、火を強くしすぎず、じっくり中まで温めるのがコツです。電子レンジを使う場合は、様子を見ながら少しずつ加熱しましょう。冷凍した餅は、先ほどのとおり半解凍してから調理すると、中まで熱が通りやすくなります。

雑煮・焼き餅・餅ピザ、加熱の仕方で食感が変わる

同じ餅でも、加熱の仕方で食感がはっきり変わります。煮る雑煮は全体がとろりとやわらかく、焼き餅は表面が香ばしく中がのびる、という違いがあります。フライパンで薄く広げて焼き、具をのせる餅ピザのようなアレンジは、表面がカリッとして中がもちっとした食感を楽しめます。

食感が変わるのは、水分の入り方と表面の焼け方が違うからです。煮ると外から水分が入り、でんぷんがやわらかくなりやすい一方、焼くと表面の水分が飛んで固まり、中に閉じ込められた水分で内側がふくらみます。

気をつけたいのは、雑煮のように汁の中でやわらかくなった餅ほど、のびて飲み込みにくくなることです。とろりとした食感はおいしさですが、高齢の家族や子どもが食べるときは、前の章で紹介したとおり、小さく切ってから椀に入れましょう。

餅ピザのように薄く広げる料理は、一口の大きさを調整しやすいのも利点です。切り分けるときに小さめにしておくと、食べやすく、安全面でも取り入れやすいアレンジになります。

読者タイプ別:もち米・上新粉・うるち米の選び方

ここまでの内容を、作りたいものや状況別に整理しておきます。どの材料が正解というより、目的に合わせて選ぶのがいちばんの近道です。

のびる餅が食べたい人は、もち米かもち粉を選びましょう。でんぷんのほぼすべてがアミロペクチンなので、餅らしいのびが出ます。手軽さを優先するなら、市販の個包装の切り餅がいちばん扱いやすい選択肢です。

団子や柏餅などの和菓子を作りたい人は、上新粉が基本です。歯切れのよい食感になり、形も崩れにくくなります。食感をやわらかくしたいときは、レシピの指定に沿ってもち粉を合わせることもあります。

手元にうるち米しかない人は、餅を再現しようとするより、炊きたてのご飯を半分ほどつぶして焼く料理に切り替えると、失敗が少なくなります。

高齢の家族と一緒に食べる人は、材料選びよりも、小さく切って出すことと、一緒の食卓で食べることを優先しましょう。持病や飲み込みに不安がある場合の食べ方については、医師や管理栄養士に相談してください。

Q 上新粉で白玉団子のような食感は出せますか?
A 上新粉はうるち米が原料なので、もち米由来の粉のようなのびは出にくく、歯切れのよい食感になりやすいとされています。のびのある食感にしたいときは、もち米由来の粉を選ぶか、レシピの指定に沿って粉を合わせましょう。
Q 冷凍した餅はどのくらい保存できますか?
A 今回確認した農林水産省の資料には、冷凍の保存期間の具体的な数値はありませんでした。冷凍した日付を袋に書いておき、早めに使いきるのが安心です。市販品はパッケージの保存方法と期限に従いましょう。
Q もち米はどこで多く作られているのですか?
A 米穀安定供給確保支援機構の資料(令和3年11月公表・令和2年産ベース)では、もち米の検査数量は上位10道県で全体の約8割を占めると説明されています。最新年の数値ではないため、目安として読んでください。

まとめ|でんぷんの違いを知れば、米と粉を選び分けられる

🍚 この記事の結論

うるち米をついても、もち米のようにのびる餅にはなりにくいです。餅を作るならもち米、団子なら上新粉と選び分けましょう。

✅ 要点チェック
  • ✔ でんぷんの差:うるち米は2対8、もち米はほぼ100%
  • ✔ うるち米の餅:のびにくく、粒感が残る仕上がりに
  • ✔ 粉の選び方:上新粉はうるち米、もち粉はもち米
  • ✔ 食べ方の注意:小さく切り、ゆっくり噛む
  • ✔ 保存:冷凍は1個ずつラップ、水餅は毎日水替え

うるち米と餅の関係は、でんぷんに含まれるアミロースがあるかないかで説明できます。まずは手元の粉や餅の袋の原材料名を見て、うるち米ともち米のどちらが原料かを確かめるところから始めてみましょう。作りたいものに合った材料がわかれば、のびる餅も、歯切れのよい団子も、ご飯をつぶして焼く料理も、それぞれのおいしさで楽しめます。

※記載の統計・案内は各機関の公表時点の内容です。最新情報は各機関の公式ページでご確認ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

お米の教科書編集部です。テーマに関する基礎知識や選び方を、公式情報など確認できる情報をもとに編集しています。掲載後も定期的に見直し、変更があれば更新します。

コメント

コメントする

目次