お米売り場に行くと、白米の隣に「七分づき」「胚芽精米」「無洗米」と、似たような袋がいくつも並んでいます。どれも同じお米のはずなのに、何が違うのか、炊き方を変える必要があるのか、迷ったことはありませんか。
結論から言うと、精米の種類は「玄米のぬか層と胚芽を、どこまで削ったか」と「表面に残る肌ぬかを取ったかどうか」の2つの軸で整理できます。ぬか層を全部取れば白米、途中で止めれば分づき米、胚芽を残せば胚芽精米、白米の表面の肌ぬかまで取り除けば無洗米です。削り方が違うので、水の吸い方も、炊飯器で合わせる目盛りも、保存のしかたも少しずつ変わってきます。
この記事では、農林水産省や神戸市の食品表示の解説、炊飯器メーカーの公式FAQといった一次情報をもとに、精米の種類ごとの違いを「なぜそうなるか」から説明します。袋の表示のどこを見ればいいか、どの種類がどんな暮らしに向くかまで、台所で迷わないための材料をそろえました。
・白米・分づき米・胚芽精米・無洗米と玄米の違いが、粒の構造から理解できる
・3分づき・5分づき・7分づきで、炊飯器の水位目盛とコースをどう選ぶか
・袋の「名称」「精米時期」と「新米」表示のルールの読み方
・精米の種類ごとの保存の目安と、暮らし方に合わせた選び方
精米の種類は5つ|ぬか層と胚芽をどこまで削るかで決まる

出発点はすべて「玄米」、そこから削り方で枝分かれする
精米の種類を理解するいちばんの近道は、どれも同じ玄米から作られていると知ることです。玄米は、収穫した籾(もみ)から籾殻を取り除いただけの粒で、表面にぬか層、粒の端に胚芽が残っています。この玄米を精米機にかけ、表面を削っていく作業が「精米(搗精)」です。
削る量を変えると、できあがるお米の名前が変わります。ぬか層を全部取り除けば白米、ぬか層を一部残せば分づき米、胚芽を残すように仕上げれば胚芽精米、白米の表面にわずかに残る肌ぬかまで取り除けば無洗米です。つまり「品種」の違いではなく、同じ品種でも削り方しだいでどの種類にもなり得る、ということです。
台所でありがちなのは、「七分づき」や「胚芽精米」を特別な品種だと思い込んでしまうこと。コシヒカリの七分づきもあれば、ななつぼしの胚芽精米もあります。袋を見るときは、銘柄名(品種)と、精米の種類(削り方)を分けて読むと混乱しません。品種の話は別の記事に譲り、ここでは削り方の違いに絞って整理していきます。
5種類を横並びにすると違いが一目でわかる
白米・分づき米・胚芽精米・無洗米・玄米の違いは、「ぬか層」「胚芽」「肌ぬか」の3つが残っているかどうかで説明できます。下の表は、農林水産省・神戸市の食品表示の解説・日立の炊飯器FAQに書かれている内容を、お米の教科書が横並びに整理したものです。
ポイントは、右に行くほどぬか層が多く残り、炊飯器でも専用の扱いが必要になること。逆に左に行くほど白米に近づき、白米と同じ炊き方でよくなります。無洗米は削る度合いとしては白米と同等で、そこからさらに表面の肌ぬかを取ったもの、と考えると位置づけがはっきりします。
| 種類 | ぬか層 | 胚芽 | 炊飯器の扱い(日立の例) |
|---|---|---|---|
| 白米(精米) | 全部取り除く | ほぼ取れる | 水位「白米」・コース「白米」 |
| 無洗米 | 白米の表面の肌ぬかまで除去 | ほぼ取れる | 水位「無洗米」・コース「白米」 |
| 胚芽精米 | 取り除く | 胚芽を含む粒が重量で80%以上 | 取扱説明書の指定に従う |
| 分づき米 | 一部を残す(3分・5分・7分) | 残りやすい | 3・5分は水位「分づき米」、7分は水位「白米」 |
| 玄米 | すべて残る | 残る | 水位「玄米」・コース「玄米」 |
「精米」という言葉が二通りに使われるから迷いやすい
意外とつまずきやすいのが、「精米」という言葉の意味の幅です。精米は「玄米を削る作業」を指すこともあれば、「削り終わったお米(白米)」そのものを指すこともあります。さらに食品表示の世界では、白米の袋の名称欄に「精米」と書かれるので、「精米=白米」の意味で使われる場面が多くなります。
この二重の意味のせいで、「精米の種類」と聞いたときに、白米のバリエーションの話なのか、削り方全般の話なのかがぼやけがちです。この記事では、削り方の違いとして5種類をまとめて扱い、玄米はその「出発点」として並べています。厳密には玄米は精米していないお米ですが、比べる基準として欠かせないからです。
台所でのコツは、袋を手に取ったら最初に名称欄を見ることです。「玄米」と書いてあれば削っていないお米、「精米」「うるち精米」なら白米、「胚芽精米」なら胚芽を残した白米、と表示のルールで区別されています。表示の詳しい読み方は、後半でまとめて説明します。
そもそも玄米と白米は何が違う?お米の粒の構造から見る
玄米は「籾殻を外しただけ」で、ぬか層と胚芽がまるごと残っている
玄米とは、籾殻を取り除いた状態の粒で、ぬか層と胚芽が残っているお米です。茶色っぽく見えるのは、粒の外側を包むぬか層の色。粒の一端にある小さな突起が胚芽で、ここが発芽すれば稲の芽になる部分です。
なぜこの構造が炊き方に影響するかというと、ぬか層は水を通しにくい外皮の役目をしているからです。白米は中身のでんぷん部分がむき出しなので水を吸いやすい一方、玄米は外皮に守られているぶん、内部まで水が届くのに時間がかかります。炊飯器に「玄米」コースが別に用意されているのは、この吸水と加熱の差を補うためと考えると納得がいきます。
やりがちな失敗は、玄米を白米と同じ感覚で炊いてしまうこと。白米コースで炊くと、外側だけ火が通って芯が残る、という結果になりがちです。玄米を炊くときは、まず炊飯器の取扱説明書で「玄米」の水位目盛とコースがあるかを確認しましょう。メーカーや機種によって案内は異なるので、手元の1台の指示に合わせるのがいちばん確実です。
ぬか層=玄米の表面を包む層。精米で削り取られる部分。
胚芽=粒の端にある、発芽すると芽になる部分。精米すると取れやすい。
搗精(とうせい)=玄米を削って精米する作業のこと。削る度合いを「搗精度」と呼ぶ。
肌ぬか=白米の表面にうっすら残る、粘り気のあるぬか。研ぐと研ぎ汁が白く濁る原因。
白米は「ぬか層の全部」を取り除いたお米
白米(精米)は、玄米のぬか層の全部を取り除いて精白したもので、籾殻・ぬか層・胚芽がほぼ取れた状態です。粒が白く見えるのは、内側のでんぷん部分が表に出ているから。ここまで削ると、水を吸いやすく、短い時間でふっくら炊けるようになります。
白米が日常のごはんとして広く食べられてきた理由は、この扱いやすさにあります。吸水が速く、炊きあがりが均一になりやすいので、炊飯器の標準コースで安定して炊けます。ぬか層の風味やかみごたえが少ないぶん、おかずの味を邪魔しない、という見方もできます。
一方で注意したいのは、白米の表面には肌ぬかがわずかに残っていることです。研がずに炊くと、この肌ぬかがにおいやべたつきの原因になります。白米を研ぐのは、汚れを落とすというより、この肌ぬかを落として炊きあがりを整えるため、と理解しておくと、研ぎすぎ・研ぎ足りなさの加減もつかみやすくなります。研ぎ方は「力を入れすぎない」が基本で、粒が割れると炊きあがりがべたつきやすくなります。

玄米と白米は、同じ田んぼで育った同じお米です。それなのに、色も硬さも炊き方もまるで違います。玄米を初めて炊いたら芯が残った、白米と同じつもりで水を入れたらボソボ…
玄米には5つの検査規格があり、精米の前提になっている
あまり知られていませんが、玄米は国の農産物検査で規格が決められています。農林水産省の農産物検査のページでは、「玄米には、『水稲うるち玄米』『水稲もち玄米』『陸稲うるち玄米及び陸稲もち玄米』『醸造用玄米』『飼料用玄米』の5つの検査規格があります」と説明されています。
この規格が精米の種類とどう関係するかというと、店頭に並ぶ白米・分づき米・胚芽精米・無洗米は、ほとんどがこの「水稲うるち玄米」を削って作られているからです。もち米を削れば「もち精米」になり、うるち米とは表示も別になります。酒造りに使う醸造用玄米や、家畜のえさ用の飼料用玄米は、家庭用の精米とは流通の道筋が異なります。
台所での具体的な場面でいえば、「赤飯用にもち米を買ったつもりが、うるち精米だった」という取り違えは、名称欄を見れば防げます。うるちかもちかは、炊き方も水加減もまったく変わる大きな違いです。精米の種類を選ぶ前に、まず「うるちか、もちか」を袋で確かめる習慣をつけておくと安心です。
白米と分づき米の違いは「どこで削るのをやめるか」

分づき米は白米と玄米の「途中」で止めたお米
分づき米とは、玄米のぬか層を全部は削らず、途中で精米を止めたお米です。どれだけ削ったかを「3分づき」「5分づき」「7分づき」のように数字で呼び分けます。数字が大きいほど多く削っていて、白米に近づきます。
なぜわざわざ途中で止めるのかというと、玄米と白米のちょうど間の食べ心地を選べるからです。玄米は吸水に時間がかかり、かみごたえも強め。白米は食べやすい反面、ぬか層の風味はほとんど残りません。分づき米は、その中間を好みで選べるのが利点です。精米機を置いている米屋やコイン精米機では、分づきの度合いを選べる場合があります。
気をつけたいのは、「何分づきか」は削った量の目安であって、店や精米機によって仕上がりに幅があることです。同じ「5分づき」でも、見た目の色や残り方が少しずつ違うことがあります。初めて買うときは少量から試し、炊きあがりの硬さを見て次回の水加減を調整すると失敗が少なくなります。
| 項目 | 3分づき | 5分づき | 7分づき |
|---|---|---|---|
| ぬか層の除去 | 約30% | 約50% | 約70% |
| 位置づけ | 玄米寄り | 玄米と白米の中間 | 白米寄り |
| 水位目盛(日立の例) | 「分づき米」 | 「分づき米」 | 「白米」 |
| 炊飯コース(日立の例) | 「白米」 | 「白米」 | 「白米」「極上もちもち」 |
3分づきは玄米寄り、ぬか層の約30%を取ったお米
3分づき米は、一般にぬか層の約30%を取り除いた状態とされ、胚芽部分は残りやすいお米です。見た目は玄米に近く、うっすら茶色みが残ります。玄米に比べると表面が少し削られているぶん、水が入りやすくなっています。
理屈としては、外皮の役目をしているぬか層が少し薄くなることで、吸水と加熱が玄米より進みやすくなります。そのため日立の炊飯器FAQでは、3分づきは「分づき米」の水位目盛で、炊飯コースは「白米」で炊く例が案内されています。玄米コースまでは必要ないけれど、白米と同じ水位では足りない、という中間の扱いです。
やりがちなのは、「玄米寄りだから」と玄米コースで炊いてしまうこと、あるいは逆に白米の水位で炊いて硬く仕上がることです。どちらも、ぬか層の残り具合と炊飯器の設定が合っていないのが原因です。手元の炊飯器に「分づき米」の目盛りがあるかを、まず内釜で確かめてみてください。目盛りがない機種の場合は、取扱説明書かメーカーのFAQで分づき米の扱いを確認しましょう。
5分づきは玄米と白米のちょうど中間
5分づき米は、ぬか層の約50%を取り除いた、玄米と白米のちょうど中間にあたるお米とされています。色はほんのり黄みがかったクリーム色で、ぬか層の風味を残しつつ、玄米より炊きやすいのが特徴です。
なぜ「中間」が選ばれやすいかというと、玄米の吸水の遅さと、白米の物足りなさの両方を和らげられるからです。日立の炊飯器FAQでも、5分づきは3分づきと同じく「分づき米」の水位目盛・「白米」コースで炊く例が示されています。日立のFAQには「3分づき、5分づきの場合、水位目盛を『分づき米』に合わせ『白米』で炊く」とあります。
具体的な場面でいえば、家族の中に白米派と玄米派がいるとき、5分づきは折り合いをつけやすい選択肢になります。ただし、ぬか層が半分残っているぶん、研ぎ方は白米ほど強くこする必要はありません。軽く水を替えながら汚れを流す程度にとどめると、残したぬか層の風味を落としすぎずに済みます。

7分づきは白米寄り、炊き方も白米とほぼ同じ
7分づき米は、ぬか層の約70%を取り除いた状態とされ、見た目も食べ心地も白米にかなり近いお米です。胚芽部分は一部残ります。分づき米の中ではいちばん白米に近いので、「白米からの最初の一歩」として選ばれやすい種類です。
白米に近いぶん、炊き方も白米寄りになります。日立の炊飯器FAQでは「分づき米は、精白米に近い7分づきの場合、白米の水位目盛で水加減し『白米』『極上もちもち』で炊いてください」と案内されています。3分づき・5分づきとは水位目盛が違う点に注意が必要です。
ここでありがちな失敗が、「分づき米だから」と7分づきまで「分づき米」の目盛りで炊いてしまうことです。7分づきはぬか層が少ないので、分づき米の目盛りで水を増やすと、やわらかめに仕上がることがあります。逆に、3分づきを白米の目盛りで炊くと硬くなりがちです。数字が大きいほど白米に近い、と覚えておき、7分づきは白米の目盛り、と切り替えるのがコツです。目盛りの設定は機種によって異なるので、最終的には手元の取扱説明書に合わせてください。
胚芽米と無洗米は何を残し、何を取り除いたお米か
胚芽精米は「胚芽を含む粒が重量で80%以上」という基準がある
胚芽精米(胚芽米)は、胚芽を残すように精米したお米で、食品表示上の基準が決まっています。神戸市の食品表示の解説では「うるち精米のうち、胚芽を含む精米の製品に占める重量の割合が80%未満のものは『うるち精米』又は『精米』と、80%以上のものは『胚芽精米』と表示します」と説明されています。
実は、ここに意外な落とし穴があります。「胚芽精米」と書かれていても、すべての粒に胚芽が残っているわけではありません。基準は「胚芽を含む粒が製品の重量の80%以上」なので、裏を返せば、胚芽の取れた粒が一部混ざっていても胚芽精米と表示できるのです。胚芽は粒の端にあって精米の途中で取れやすいため、こうした基準の決め方になっていると考えられます。
台所でのコツとしては、胚芽精米は研ぎ方を強くしすぎないこと。強くこすると、せっかく残った胚芽が取れてしまいます。袋に研ぎ方や水加減の案内がある場合は、それに従うのが確実です。なお、胚芽精米を栄養面の理由で選ぶ場合、体調や食事制限については医師・管理栄養士に相談してください。
無洗米は白米の表面の「肌ぬか」まで取り除いたお米
無洗米は、白米の表面にうっすら残る粘り気のある肌ぬかを、精米工場で取り除いたお米です。家庭で研ぐ必要がなく、水を入れてそのまま炊けるのが最大の特徴です。削る度合いとしては白米と同じ位置にあり、そこから表面の肌ぬかを落としたもの、と考えるとわかりやすいでしょう。
なぜ研がなくてよいかというと、白米を研ぐ目的そのものが、この肌ぬかを落とすことにあるからです。工場であらかじめ取り除いてあるので、家庭での研ぎの工程を省けます。その結果、研ぐ時間が短くなる、研ぎ汁を流さずに済むといった利点があります。
一方で、無洗米ならではの注意点もあります。白米は研ぐ間に少し水を吸いますが、無洗米は研がないぶん、その吸水がありません。また、肌ぬかがないぶん粒どうしのすき間が少なく、同じ計量カップでもお米が多めに入りやすいとされています。このため、白米の目盛りで炊くとやや硬めに仕上がることがあります。多くの炊飯器には無洗米用の水位目盛があるので、それを使うのが基本です。

無洗米を買ってみたものの、「本当に研がなくていいの?」「水はいつもと同じでいいの?」と、炊飯器の前で手が止まってしまう方は多いはずです。白米と同じ感覚で炊いたら…
胚芽精米と無洗米で迷いやすいポイント
胚芽精米と無洗米は、どちらも「白米に一手間加えたお米」ですが、加えている手間の方向がまったく逆です。胚芽精米は「残す」工夫、無洗米は「取り除く」工夫。この違いを押さえておくと、研ぎ方の判断も迷わなくなります。
具体的な場面でいえば、胚芽精米を無洗米と同じ感覚で「研がなくていい」と思い込むのは注意が必要です。胚芽精米の中には研ぎ方の指定があるものもあり、袋の表示を確かめないとわかりません。逆に、無洗米を白米と同じようにしっかり研ぐと、表面がこすれて割れやすくなり、うまみも流れやすくなります。
迷ったら、「袋の表示 → 炊飯器の取扱説明書」の順に確かめる、と決めておくと判断がぶれません。
精米の種類ごとの炊き方|水位目盛と炊飯コースの選び方
白米・無洗米は「白米」コースで、水位目盛だけ切り替える
白米と無洗米は、どちらも炊飯コースは「白米」で炊けます。違うのは水位目盛で、白米は「白米」、無洗米は「無洗米」の目盛りに合わせます。日立の炊飯器FAQでも、白米は水位「白米」・コース「白米」、無洗米は水位「無洗米」・コース「白米」と案内されています。
コースが同じでよい理由は、白米と無洗米は削る度合いが同じで、粒の中身の吸水や加熱の性質がほぼ変わらないからです。違いは研ぐかどうかと、それによる吸水量・計量カップに入る量の差だけ。そこを水位目盛で補う、というのが炊飯器側の考え方です。
やりがちな失敗は、無洗米を白米の目盛りで炊いて「硬い」「芯がある」と感じてしまうこと。原因は、研がないぶんの吸水が足りていないことです。逆に、研いだ白米を無洗米の目盛りで炊けば、水が多すぎてやわらかくなります。炊飯器の内釜には目盛りが何本も並んでいるので、炊く前に「今日のお米はどの種類か」を一度確認するだけで、こうしたずれは防げます。
| お米の種類 | 水位目盛 | 炊飯コース |
|---|---|---|
| 白米 | 白米 | 白米 |
| 無洗米 | 無洗米 | 白米 |
| 3分づき・5分づき | 分づき米 | 白米 |
| 7分づき | 白米 | 白米・極上もちもち |
| 玄米 | 玄米 | 玄米 |
※コース名・目盛りの有無はメーカーや機種により異なります。手元の取扱説明書で確認してください。
分づき米は「数字の大きさ」で目盛りを切り替える
分づき米の炊き方は、何分づきかによって水位目盛が変わります。日立の例では、3分づき・5分づきは「分づき米」の目盛り、7分づきは「白米」の目盛り。コースはいずれも「白米」系で炊く案内になっています。
理屈は、ぬか層の残り具合です。ぬか層が多く残る3分づき・5分づきは、白米より水を吸いにくいので、白米より多めの水が入る「分づき米」の目盛りを使います。7分づきはぬか層の多くが取れていて白米に近いので、白米と同じ水位で足りる、ということです。精米度が高いほど白米と同じ扱いに近づき、玄米に近いほど専用の扱いが必要になる、と覚えておくと応用がききます。
手元の炊飯器に「分づき米」の目盛りがない場合は、自己流で水を足す前に、メーカーの取扱説明書やFAQを確かめてください。メーカーごとに案内が違うことがあり、1社の方法がほかの機種にもそのまま当てはまるとは限りません。どうしても情報が見つからないときは、少量で試し炊きをして、硬さを見ながら次回の調整材料にするのが現実的です。
玄米・発芽玄米を白米に混ぜるときは「5割」が分かれ目
玄米は、水位目盛・炊飯コースとも「玄米」で炊くのが基本です。ぬか層がまるごと残っていて吸水と加熱に時間がかかるので、白米コースでは火の通りが足りなくなりやすいからです。日立のFAQでも、玄米は好みで硬さを選んで炊く案内になっています。
迷いやすいのが、白米に発芽玄米などを混ぜて炊く場合です。日立のFAQでは「発芽玄米は白米の5割未満の量を混ぜてください。5割以上の量を混ぜる場合は、お米の種類・水位目盛とも『玄米』で炊飯してください」と案内されています。つまり、白米が多ければ白米寄り、玄米側が多ければ玄米寄りの設定に切り替える、という考え方です。
やりがちなのは、配合を変えたのに設定を変えず、いつもの白米コースのまま炊いてしまうこと。混ぜる量が増えるほど、芯が残ったり、炊きムラが出たりしやすくなります。混ぜて炊くときは、「どちらが5割以上か」を先に決め、それに合わせて水位とコースを選ぶ、という手順を習慣にすると失敗が減ります。
失敗パターン:7分づきを分づき米の目盛りで炊いてやわらかくなる
精米の種類にまつわる炊き方の失敗で多いのが、「分づき米なら全部同じ目盛り」と思い込むケースです。とくに7分づきを3分づき・5分づきと同じ「分づき米」の目盛りで炊くと、白米に近いお米に対して水が多めになり、やわらかめ・べたつきぎみの炊きあがりになりがちです。
状況:いつも5分づきを「分づき米」の目盛りで炊いていて、7分づきに替えたときも同じ目盛りのまま炊いた。
原因:7分づきはぬか層の多くが取れていて白米に近いため、分づき米の目盛りでは水が多すぎる。
対策:7分づきは白米の目盛りに切り替える(日立の例)。逆に3分づき・5分づきを白米の目盛りで炊くと硬くなるので、袋の「○分づき」の数字を見てから目盛りを選ぶ。
この失敗の根っこにあるのは、「分づき米」という言葉がひとまとまりに見えてしまうことです。実際には、3分づきと7分づきでは削った量が大きく違い、水の吸い方も変わります。袋を替えたら、まず「何分づきか」の数字を見る。それだけで防げる失敗です。目盛りの判断に迷う場合は、炊く量を少なめにして試し、硬さを確かめてから本番の量に戻すと安心です。
袋の表示はどこを見る?名称・精米時期・新米の決まり
名称欄で「玄米」「精米」「胚芽精米」を見分ける
袋の表示でまず見るべきは「名称」の欄です。神戸市の食品表示の解説では「玄米は『玄米』、もち精米は『もち精米』と表示します。うるち精米のうち、胚芽を含む精米の製品に占める重量の割合が80%未満のものは『うるち精米』又は『精米』と、80%以上のものは『胚芽精米』と表示します」と説明されています。
この決まりがあるおかげで、名称欄を見れば、削っていない玄米か、白米か、胚芽を残した白米か、もち米かを確実に区別できます。パッケージの正面に大きく書かれたキャッチコピーやイメージ写真よりも、裏面の一括表示のほうが、ルールに基づいた情報として頼りになります。
ありがちな勘違いは、パッケージ正面の印象だけで選んでしまうことです。たとえば正面に胚芽の説明が大きく書かれていても、名称が「精米」なら、表示上は胚芽精米の基準(80%以上)を満たしていない、と読み取れます。逆に、分づき米や無洗米については、名称欄とは別に、袋の別の場所に「七分づき」「無洗米」などと書かれていることが多いので、正面と裏面の両方を見るのがコツです。
精米時期は「年月旬」か「年月日」で書かれている
次に見たいのが、精米した時期の表示です。神戸市の解説では「調整時期又は精米時期(品質事項)は、玄米は『調製時期』、精米は『精米時期』を表示します。調製時期(又は精米時期)は、年月旬又は年月日のいずれかを表示します」とされています。
「旬」とは、ひと月を3つに分けた区分で、上旬(1日~10日)、中旬(11日~20日)、下旬(21日~月末)を指します。「年月旬」で書かれていれば、その10日ほどの幅のどこかで精米された、という意味です。日付まで知りたい場合は、「年月日」で表示された商品を選ぶとはっきりします。
実は、精米時期は「賞味期限」ではありません。お米の袋に賞味期限が書かれていないことが多いのは、精米時期を表示するルールになっているからです。つまり、いつまでおいしく食べられるかは、精米時期を起点に、保存の条件から自分で判断する必要があります。玄米の場合は「精米時期」ではなく「調製時期」と書かれる点も、見落としやすいポイントです。
「新米」は収穫年の12月31日までに精米されたもの
新米かどうかも、表示のルールで決まっています。アイリスオーヤマの解説では「食品表示基準のルールにおいて、精米時期が収穫した年の12月31日以前であれば、年をまたいで販売されていても新米に該当します」と説明されています。
見分けるときに使うのは「産年」と「精米時期」の2つです。産年はお米が収穫された年のこと。たとえば令和8年産(2026年産)のお米なら、精米時期が2026年12月31日以前であれば新米として扱われます。つまり、新米かどうかは「収穫してからの日数」ではなく、「収穫した年のうちに精米・包装されたか」で決まっている、ということです。
ここで勘違いしやすいのが、「年が明けて店頭に並んでいたら新米ではない」という思い込み。精米時期が前年の12月31日以前なら、年明けに売られていても新米表示は可能です。反対に、同じ年に収穫したお米でも、年が明けてから精米したものは新米と表示できません。新米を選びたいときは、「新米」という文字だけでなく、産年と精米時期を見比べると納得して選べます。

「販売者」と「精米工場」の表示の違い
一括表示の最後のほうには、そのお米を誰が売っているかの欄があります。多くは「販売者」と書かれていますが、精米工場が表示する場合は、項目名が「精米工場」になります。神戸市の解説では、精米工場が表示する場合は項目名を「精米工場」とし、工場を所有する業者名と工場名、住所、電話番号を表示する、と説明されています。
この欄が役に立つのは、お米について問い合わせたいときです。炊き方の案内がない分づき米や胚芽精米で、どう炊けばいいか迷ったとき、表示されている連絡先に確認するのがいちばん確実です。精米した工場がわかれば、同じ工場のお米を選び続けることで、仕上がりのぶれを減らすこともできます。
表示の読み方の注意点としては、販売者の所在地と産地は別物だということ。販売者が都市部の会社でも、お米の産地は別の県、ということはよくあります。産地は「原料玄米」の欄で確認しましょう。名称・原料玄米・精米時期・販売者(精米工場)の4つをセットで見る習慣がつくと、精米の種類も含めて、袋の情報をひととおり読み取れるようになります。
保存と選び方|精米の種類で変わる向き不向き
白米の保存は「温暖期で約1ヶ月、冷涼期で約2ヶ月」が目安
精米したお米は、時間とともに少しずつ風味が落ちていきます。千葉県我孫子市の食育だよりでは「白米(精米)の保存期間は温暖期で約1ヶ月、冷涼期で約2ヶ月」と紹介されています。精米時期を起点に、季節に応じてこの目安を当てはめると、買う量を決めやすくなります。
なぜ季節で差が出るかというと、気温と湿度が高いほど、お米の表面で変化が進みやすいからです。精米したお米は、ぬか層という外皮がないぶん、外気の影響を受けやすい状態にあります。暑い時期ほど早めに食べきる、というのは、この構造から考えても筋が通っています。
具体的な選び方としては、夏場は家族が1ヶ月ほどで食べきれる量、冬場はやや多めでも、という調整が現実的です。大袋のほうが割安に見えても、食べきるまでに風味が落ちてしまえば意味がありません。精米時期の新しいものを、食べきれる量だけ買う。これが精米の種類を問わず共通する、いちばん効く保存のコツです。

分づき米や玄米は「ぬか層が残っている」ことを前提に保存する
分づき米は、白米より保存できる期間が短いとされています。ぬか層が残っているぶん、その部分の油分が空気に触れて変化しやすく、においの原因になりやすいと考えられるからです。分づき米は、白米以上に「少量を買って早めに食べきる」意識が大切になります。
玄米は、ぬか層がまるごと外皮として残っているので、精米したお米に比べると中身が守られている状態です。ただし、玄米であっても高温多湿の場所に置けば品質は落ちますし、虫がつくこともあります。精米済みのお米も玄米も、涼しく暗い場所に、気密性の高い容器に入れて保存するのが基本です。
ここで覚えておきたいのは、精米の種類によって「どれくらいもつか」の感覚が変わることです。白米と同じ感覚で分づき米を大量に買い置きすると、食べきる前ににおいが気になることがあります。分づき米を試すなら、まずは小さな袋で買い、自分の家庭で食べきるペースをつかんでから量を増やすと失敗しません。
失敗パターン:シンク下にお米を置いて、においや虫が出る
保存の失敗で典型的なのが、置き場所の選び方です。キッチンのシンク下は、お米を置くスペースとして使われがちですが、配管があって湿気がこもりやすく、温度も上がりやすい場所です。ここに袋のまま置いておくと、においがついたり、虫が出たりする原因になります。
状況:分づき米をまとめ置きし、シンク下に袋のまま入れていた。数週間後、ぬかのようなにおいが強くなった。
原因:シンク下は湿気と温度がこもりやすく、ぬか層が残る分づき米はその影響を受けやすい。袋のままでは周囲のにおいも移りやすい。
対策:気密性の高い容器に移し替え、涼しく暗い場所に置く。分づき米は少量ずつ買い、白米よりも早めに食べきる。
この失敗は、精米の種類によって被害の出方が違います。白米より分づき米、分づき米より玄米、と「ぬか層の残り具合」によって気をつけるポイントも変わってきます。とくにぬか層が残るお米は、置き場所の影響を受けやすいと考えておきましょう。容器に移すときは、古いお米を使い切ってから新しいお米を入れる、継ぎ足しをしない、という点も合わせて守ると安心です。
暮らし方別に見る、精米の種類の選び方
どの精米の種類がよいかは、正解が1つあるわけではなく、暮らし方によって向き不向きが分かれます。研ぐ手間をかけたくないのか、かみごたえや風味を楽しみたいのか、家族の好みはどうか。何を優先するかで、選ぶ種類は自然と決まってきます。
たとえば、共働きで朝の準備を少しでも短くしたい家庭なら、研がずに炊ける無洗米が候補になります。白米の食べやすさは保ちつつ、ぬか層の風味も少し欲しいなら7分づき。玄米に興味はあるけれど、いきなり玄米コースで炊くのは不安という人は、5分づきから始めると段階を踏みやすくなります。ふだんの白米に近い食べ心地のまま、表示の基準がはっきりしたお米を選びたいなら胚芽精米、という選び方もあります。
注意点として、精米の種類を替えるときは、炊き方もセットで替えることを忘れないでください。同じ品種でも、7分づきと5分づきでは目盛りが違い、無洗米と白米でも目盛りが違います。新しい種類に替えたら、最初の1回は取扱説明書を開いて目盛りとコースを確認する。それだけで、「思っていた炊きあがりと違う」という残念な結果をかなり防げます。
まとめ
次にお米を買うときは、まず裏面の名称欄と精米時期を見て、どの種類のお米かを確かめてみてください。そのうえで内釜の目盛りを合わせれば、精米の種類が変わっても炊きあがりで迷うことはぐっと減ります。
※炊飯器の目盛り・コース名は機種により異なります。最新情報は各メーカーの公式サイトや取扱説明書でご確認ください。

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