土鍋で鍋料理やごはんを楽しみたいけれど、キッチンのコンロはIH。お店で『IH対応』と書かれた土鍋を見つけても、本当にうちのIHで使っていいのか迷いますよね。実はその迷い、ちゃんと理由があるんです。
結論から言うと、ih 土鍋対応の表示は『鍋の側がIHに反応するように作られている』という意味です。あなたの家のIHヒーターが土鍋を受け入れるかどうかは、また別の話なんですよ。据え置き型のIHクッキングヒーターのメーカーには、IH対応の表示がある土鍋でも陶磁器は使わないよう案内しているところがあります。一方で、卓上IH調理器ではマーク付きの土鍋を使えると案内している例もあります。最終的な答えは、ヒーター側の取扱説明書に書いてあります。
この記事では、普通の土鍋がIHで温まらない理由、IH対応土鍋の仕組み、メーカーごとの案内の違い、鍋底の反りや径の確かめ方、発熱体を長持ちさせる扱い方、そして土鍋ごはんの考え方までを、メーカー公式の取扱説明書やFAQをもとに順番に解説します。買ってから使えないと分かる前に、ここで確認しておきましょう。
・普通の土鍋がIHで温まらない理由と、IH対応土鍋が温まる仕組み
・日立・三菱電機・パナソニックで土鍋の扱いがどう違うか
・鍋底の反り・径・厚さ・脚の有無の確かめ方
・空だき・吹きこぼれなど、発熱体を傷めないための注意点と土鍋ごはんの考え方
なぜ普通の土鍋はIHで温まらないのか

IHは「鍋そのもの」を発熱させる調理器です
まず押さえておきたいのは、IHは炎や熱い板で鍋を温めているわけではない、という点です。IH(電磁誘導加熱)は、トッププレートの下にあるコイルに電流を流して磁力の変化をつくり、その磁力によって鍋底の金属に電流を発生させ、その電流が流れるときの抵抗で鍋底そのものが発熱する仕組みとされています。つまり、熱を生むのはヒーターではなく鍋の底なんです。
ここがガスとの決定的な違いです。ガスなら炎が鍋の外側から熱を加えるので、素材が金属でも陶器でも、とりあえず温まります。IHでは、鍋底が電気を通し、磁力に反応する素材でないと、そもそも熱が生まれません。
台所でよくあるのが、IHに替えたばかりのご家庭で、手持ちの鍋をそのまま置いてスイッチを入れたら、エラー表示が出て加熱が止まったというケースです。これは故障ではなく、ヒーターが『この鍋は加熱できない』と判断しているだけのことが多いんですよ。
IHで使う鍋を選ぶときは、素材と鍋底の状態をセットで見るのがコツです。メーカーは使える鍋・使えない鍋の一覧を取扱説明書や公式ページに載せていますので、まずはそこを開いてみてください。
陶器の土鍋は電気を通さないから反応しません
普通の土鍋がIHで温まらないのは、陶磁器が電気を通さない素材だからです。IHは鍋底に電流を発生させて発熱させる方式なので、電流が流れない陶器の底には熱が生まれません。土鍋をIHの上に置いても、ヒーターから見れば何も置かれていないのとあまり変わらない状態なんです。
土鍋は粘土を焼き固めた器で、ゆっくり温まり、温まったら冷めにくいという性質が持ち味です。この性質は直火やガスの炎で外から包むように加熱するときに生きるもので、IHの加熱原理とはもともと相性がよくありません。
やりがちなのが、『しばらく置いておけばそのうち温まるだろう』とスイッチを入れたまま待ってしまうことです。待っても温まりませんし、機種によっては鍋なし検知で止まります。また、加熱できないからといってトッププレートの上で土鍋をずらしたり引きずったりすると、プレートを傷つける原因になります。
手持ちの土鍋がIH対応かどうか分からないときは、鍋の底や箱、付属の取扱説明書に対応熱源の表示があるか確認しましょう。表示がなければ、ガス火や電子レンジ向けの土鍋と考えるのが安全です。
IH対応土鍋は、鍋底の「発熱体」で温まります
では、IH対応の土鍋はどうやって温まるのか。答えは、鍋底に施された発熱体です。たとえば無印良品の『IH対応こなべ』の取扱説明書では、発熱体が本体外側の底面に焼き付けてあり、取り外して修理することはできないと説明されています(無印良品 IH対応こなべ 取扱説明書)。IHの磁力にはこの発熱体が反応して発熱し、その熱が土鍋の本体に伝わる、という二段構えになっているわけです。
伊賀焼の窯元である長谷園も、独自に開発したIH対応土鍋を案内しています。公式通販の製品一覧では、熱膨張率が伊賀土鍋と同じ肉厚なカーボン製の発熱体を鍋底に施していると説明されています。
ここで覚えておきたいのは、IH対応土鍋は『陶器の部分』と『発熱体の部分』が別の素材だということです。急な温度変化や汚れに弱いのは、たいていこの組み合わせ部分。発熱体が傷めばIHでは使えなくなります。
扱いのコツは、発熱体を土鍋の心臓部だと思って大事にすること。空だき・急冷・吹きこぼれ汚れを避けることが長持ちの基本になります。詳しくは後の章で順番に見ていきましょう。
発熱体:IH対応土鍋の外側底面に焼き付けられた、IHの磁力に反応して発熱する層。取り外して修理はできないと説明されている。
目止め:吸水性のある土鍋の細かい気泡を、おかゆのでんぷん質で埋めて水漏れを防ぐ下準備。
貫入(かんにゅう):釉薬の表面に入る細かなヒビ。萬古焼ごはん鍋の取扱説明書では使用上問題なしとされている。
『IH対応』表示でも安心できない?メーカー3社の案内の違い
日立は「IH表示があっても陶磁器は使わない」と案内
日立のIHクッキングヒーターは、陶磁器(土鍋など)について、IH関連のマークが付いているものや『IHで使える』と表示しているものでも使わないよう案内しています(日立 IHクッキングヒーター 使える鍋・使えない鍋)。同社のFAQでは、土鍋やガラス鍋、直火用魚焼き器は使えるかという問いに対して、答えは「使えません。」と明記されています(日立 IHクッキングヒーター よくあるご質問)。
理由として挙げられているのは、IHクッキングヒーターの故障や、鍋が割れる可能性です。土鍋側がIHに反応するよう作られていても、ヒーター側の設計や温度制御との組み合わせ次第でトラブルが起こりうる、という考え方だと読み取れます。
やりがちなのが、箱に『IH対応』と書いてあるのを見て、日立のビルトインIHで迷わず使ってしまうことです。使えてしまうこともあるでしょうが、メーカーが使わないよう案内している使い方をしている、という点は知っておくべきです。
日立のIHをお使いなら、まず取扱説明書の『使えない鍋』の欄を開いて、陶磁器の扱いを確認してください。メーカーの案内と異なる使い方で故障した場合の扱いも、気になる方は確認しておくと安心です。
三菱電機も「表示があっても使わない」と案内
三菱電機のIHクッキングヒーターの案内も、日立とほぼ同じ方向です。陶磁器(土鍋など)は『IHヒーターで使える』と表示されていてもIHヒーターでは使わないよう記載されていて、形状などによっては本製品が故障する、という説明があります(三菱電機 IHクッキングヒーター 使える鍋)。
なお、同じ表のIHヒーターではなくラジエントヒーターの欄には、「土鍋の底に脚のあるものは加熱できません。」「土鍋を引きずらないようにしてください。」という注意も書かれています(三菱電機 IHクッキングヒーター 使える鍋)。IHの欄では、陶磁器はそもそも使わない扱いです。
土鍋は重さがあるので、位置を直すときについ滑らせてしまいがちです。ざらついた土鍋の底でトッププレートをこすると、傷や割れの原因になるとされています。
三菱電機のIHをお使いなら、陶磁器は避けるのが基本です。ほかの鍋でも、動かすときは持ち上げて置き直す習慣をつけましょう。
パナソニックの卓上IHは「マークのある土鍋は使える」
一方、パナソニックの卓上IH調理器のページには、「CH-IH、IHマークのある市販の土鍋はお使い頂けます。」と書かれています(パナソニック 卓上IH調理器 使える鍋)。日立・三菱電機とは逆の案内に見えますよね。
ただし、この記載はあくまで卓上IH調理器のページのものです。同じメーカーでも、据え置き型やビルトイン型のIHクッキングヒーターの取扱説明書は別の製品の説明書で、同じ扱いとは限りません。卓上IHは食卓で鍋料理をする用途を想定した製品なので、土鍋を使う前提で設計されている、と考えると筋が通ります。
台所でよく起きる勘違いが、『パナソニックは土鍋OKらしい』と聞いて、キッチンに据え付けのパナソニック製IHでも同じだと考えてしまうことです。製品の種類が違えば、説明書も違います。
パナソニック製品を使っている方は、型番を確認したうえで、その型番の取扱説明書の『使える鍋』の項目を見てください。卓上IHで土鍋鍋をするなら、CH-IHまたはIHマークのある土鍋を選ぶのが前提になります。
| 項目 | 日立 | 三菱電機 | パナソニック |
|---|---|---|---|
| 対象の機器 | IHクッキングヒーター | IHクッキングヒーター | 卓上IH調理器 |
| 土鍋(陶磁器)の扱い | IH表示があっても使わない | IH表示があっても使わない | CH-IH・IHマークのある市販の土鍋は使える |
| 鍋底の反りの目安 | 焼き物調理は3mm未満、炊飯メニューは1mm以下 | 一般調理は3mm以下、揚げ物は0.5mm以下 | 約3mm以上の反りは使わない |
| 鍋底の径の目安 | 焼き物調理は12〜26cm、炊飯メニューは15〜17cm | 機種の取扱説明書で確認 | 12〜26cmが目安 |
実は「鍋の表示」より「ヒーターの説明書」が優先です
意外と知られていないけれど、IHで土鍋が使えるかどうかを決めるのは、土鍋の箱ではなくIHヒーターの取扱説明書なんです。土鍋の『IH対応』は、あくまで鍋の側がIHの磁力に反応できるという意味。ヒーターの側がその鍋を使ってよいと言っているかどうかは、まったく別に確認する必要があります。
上の比較表のとおり、メーカーや機器の種類によって案内が分かれています。どれか1社の案内を一般化して『IH対応土鍋なら大丈夫』『土鍋はIHでは全部ダメ』と決めつけるのは、どちらも正確ではありません。
やりがちなのは、土鍋の売り場で『IH対応』の文字だけを確認して買い、家に帰ってから据え置きIHの説明書を開いたら、陶磁器は使わないよう書いてあった、というパターンです。返品できないこともありますし、せっかくの土鍋が使えずにしまい込まれてしまいます。
買う前に、自宅のIHのメーカー名と型番を控えて、取扱説明書の『使える鍋・使えない鍋』のページを確認しましょう。説明書が手元になければ、メーカーの公式サイトで型番から検索できることが多いですよ。
鍋底の反り・径・脚:買う前に定規で確かめたい3点

反りの目安は3mm前後、炊飯メニューは1mm以下と厳しめ
IHで鍋を使うとき、見落とされやすいのが鍋底の反りです。IHは鍋底とトッププレートが密着していることを前提に加熱や温度の検知をしているので、底が反って浮いていると、うまく加熱できなかったり、温度を正しく測れなかったりします。
日立は、焼き物調理などの一般的な条件として、鍋底が平らなもの(鍋底の反りが3mm未満)を挙げています。一方で、炊飯メニューでは鍋底の反りが1mm以下と、ぐっと厳しい条件になっています(日立 IHクッキングヒーター 使える鍋の条件)。三菱電機は一般調理で反りや凹みが3mm以下、揚げ物では0.5mm以下と案内しています。
土鍋は窯で焼いて作るので、焼き上がりの段階で底にわずかな反りが出ることがあります。金属の鍋と同じ感覚で『底は平らなはず』と思い込むと、IHで温まり方にむらが出たり、加熱が止まったりする原因になります。
反りの許容範囲はメーカーや調理メニューで違います。自宅のIHの説明書で、使いたいメニューの条件を確認しておくのが確実です。
底径は12〜26cmが目安、メニューによって狭くなります
鍋底の径も、IHでは大事な条件です。IHのコイルは決まった大きさの範囲で磁力を出しているので、鍋底が小さすぎるとうまく反応せず、大きすぎると鍋底全体を均一に温めにくくなります。
日立の案内では、焼き物調理の条件として鍋底の径が12〜26cm、底の厚さ1mm以上とされています。湯沸かしは鍋底の径15〜20cm、炊飯メニューは鍋底の径15〜17cm、底の厚さ1.5〜2mmと、メニューごとに細かく条件が分かれています(日立 IHクッキングヒーター 使える鍋の条件)。パナソニックの卓上IHも、底径12〜26cmを目安としています。
やりがちなのが、土鍋の『直径○cm』という表示を鍋底の径だと思い込むことです。土鍋は口が広く底がすぼまった形が多いので、表示されている直径と、トッププレートに接する底の径は違います。
買う前に、実際にトッププレートに触れる面の径を確認しましょう。商品ページに底径の記載がなければ、販売元に問い合わせるか、売り場で定規を当てて確かめるのが安心です。
底に脚のある土鍋はIHに向きません
土鍋には、底に小さな脚(高台)が付いているものがあります。ガス火では、この脚が炎の熱を底全体に回しやすくしたり、テーブルに直接置けるようにしたりと、役割を果たしています。
ところがIHでは、この脚が問題になります。IHは鍋底がトッププレートに密着していることを前提に加熱や温度の検知をするので、脚で鍋底が浮く形はIHに向きません。なお三菱電機の案内で「土鍋の底に脚のあるものは加熱できません。」と書かれているのは、IHではなくラジエントヒーターの欄です。
台所でありがちなのが、ガス火時代から使っている脚付きの土鍋をIHの上に置き、温まらないので火力を上げてしまうケースです。そもそも加熱の仕組みに合っていないので、火力を上げても解決しません。土鍋を動かそうと引きずれば、プレートを傷める心配もあります。
IHで使う土鍋は、底が平らで、トッププレートにぴったり接する形を選ぶのが基本です。IH対応をうたう土鍋でも、底の形状は一度目で見て確かめておきましょう。
定規1本でできる、反りの確かめ方
反りの確認に特別な道具はいりません。土鍋を逆さにして、鍋底に定規をまっすぐ当て、横から目線を合わせて見るだけです。定規と鍋底のあいだにすき間ができていれば、その分だけ反っているということになります。
なぜこれが大事かというと、IHは鍋底の温度をトッププレート越しに測りながら火力を調整しているからです。底が浮いていると、実際の鍋底の温度と、ヒーターが感じている温度がずれてしまいます。炊飯メニューのように温度管理が細かい調理ほど、反りの条件が厳しく設定されているのはこのためだと考えられます。
やりがちな失敗は、底の真ん中だけを見て『平らだ』と判断することです。反りは中心が浮くこともあれば、縁が浮くこともあります。定規の向きを変えて、十字に2回当ててみると見落としが減ります。
すき間が気になる場合は、無理に使わないのが一番です。目で見て分かるほどの反りがあるなら、自宅のIHの条件から外れている可能性が高いと考えてください。
原因は、土鍋の『IH対応』を『どのIHでも使える』と読み違えること。据え置きIHのメーカーには陶磁器を使わないよう案内しているところがあり、炊飯メニューは鍋底の条件も厳しめです。対策は、買う前に自宅のIHの型番と取扱説明書を確認し、陶磁器の扱い・鍋底の径・反りの条件を控えてから売り場へ行くことです。
ih 土鍋対応の製品はどう選ぶ?表示・用途・サイズの見方
まずは鍋の表示を確認:CH-IH・SG-IHなどのマーク
IH対応の土鍋を選ぶとき、最初に見たいのが鍋や箱に付いている表示です。日立の案内ではSG-IHやSG-CH・IHといったマーク、パナソニックの卓上IHの案内ではCH-IHやIHマークが登場します。これらは、鍋の側がIHで使えるよう作られていることを示す表示です。
ただし前の章で見たとおり、マークが付いていても、据え置きIHのメーカーによっては陶磁器を使わないよう案内しています。マークは『候補に入れてよいかどうか』の入り口だと考えるのがちょうどいいんです。
やりがちなのが、パッケージの写真や商品名に『IH』の文字があるだけで安心してしまうことです。実際の取扱説明書を読むと、オールメタル対応型のIH調理器では使えない場合がある、200Vでは火力を絞る必要がある、といった条件が付いていることがあります。
選ぶときは、表示だけでなく取扱説明書(商品ページで公開されていることもあります)の『使用できる熱源』と『使用上の注意』まで目を通しましょう。対応熱源の欄に電磁調理器(IH)が含まれているかが確認ポイントです。
『土鍋』でも用途はいろいろ:炊飯不可の製品もあります
IH対応の土鍋と一口に言っても、鍋料理用、蒸し料理用、炊飯用と、用途は製品ごとに分かれています。ここを見落とすと、買ったあとで『ごはんは炊けない土鍋だった』ということになりかねません。
伊賀焼の長谷園は、公式通販のIH対応土鍋の一覧で「熱膨張率が伊賀土鍋と同じ肉厚なカーボン製の発熱体を鍋底に施しています。」と説明しています(長谷園 IH対応土鍋 製品一覧)。一覧には鍋物用の土鍋のほか、IH対応の蒸し鍋が何種類も並んでいます。炊飯に使えるかどうかは、製品ごとの取扱説明書で確かめる必要があります。
同じ窯元のIH対応土鍋でも、鍋物用・蒸し料理用など用途は製品ごとに分かれています。用途表示を確認しないまま炊飯に使うのは、メーカーの想定外の使い方になります。
土鍋ごはんが目的なら、取扱説明書や商品ページに炊飯の手順が載っているか、炊飯が禁止事項に入っていないかを確認してから選びましょう。
サイズは「人数」より「IHの条件」から逆算する
土鍋のサイズ選びは、ふつうは何人分の鍋料理をするかで考えますよね。でもIHで使うなら、もう一つ『自宅のIHの鍋底条件に収まるか』という物差しが加わります。
たとえば無印良品のIH対応こなべは約直径18cmのサイズです。日立の焼き物調理の条件は鍋底の径12〜26cmなので、底径がこの範囲に入っていれば条件の一つは満たすことになります。ただし前述のとおり、土鍋の直径表示は口の大きさで、底径とは違うので注意が必要です。
やりがちなのが、家族4人分の大きな土鍋を選んだら、底がIHの加熱範囲からはみ出して、縁のほうだけ温まりが遅いという状況です。逆に小さすぎる土鍋は、IHが鍋を検知しにくくなることがあります。
サイズを決めるときは、まず自宅のIHの説明書で使える鍋底の径を確認し、その範囲に入る製品の中から、人数に合う容量を選ぶ順番がおすすめです。卓上IHで鍋料理をするなら、卓上IHの説明書の条件を見てください。

IH対応土鍋を選ぶ順番は、①自宅のIHの説明書で陶磁器の扱いと鍋底条件を確認→②鍋の対応熱源の表示を確認→③用途(炊飯の可否)を確認→④底径が条件に入るサイズを選ぶ、の4段階。鍋の箱から見始めると順番が逆になり、使えない土鍋を買ってしまいがちです。
読者タイプ別:IHと土鍋の付き合い方
IHと土鍋の付き合い方は、台所の設備によって変わります。自分の状況に近いものから考えてみてください。
据え置き・ビルトインのIHだけの家なら、まずIHの取扱説明書で陶磁器の扱いを確認するのが先です。日立や三菱電機のように使わないよう案内している機種なら、土鍋はIHでは使わず、金属の鍋で代わりをするのが無難です。
卓上IHを持っている家なら、卓上IHの説明書で土鍋の扱いを見てください。パナソニックの卓上IHのように、CH-IHやIHマークのある市販の土鍋を使えると案内している製品なら、食卓での土鍋鍋が楽しめます。
ガスコンロもある家なら、土鍋はガス火で使うのがいちばん素直です。土鍋はもともと直火で使う道具として作られてきたので、IH対応にこだわらず、ガス火対応の土鍋を選ぶ選択肢も残ります。
オール電化で土鍋ごはんを炊きたい家なら、炊飯に使えると明記されたIH対応土鍋を選び、さらにIHヒーター側でも使えるかを確認する、という二重の確認が欠かせません。
IHで土鍋を使うとき、やってはいけない5つのこと
空だき・急冷は、鍋と発熱体の両方を傷めます
IH対応土鍋で、いちばん気をつけたいのが空だきと急冷です。無印良品のIH対応こなべの取扱説明書では、鍋の空だきや急冷はしないよう書かれていて、鍋や発熱体の破損の原因になると説明されています(無印良品 IH対応こなべ 取扱説明書)。
理由は、陶器と発熱体という2つの素材の組み合わせにあります。IHは鍋底を直接発熱させるので、中に何も入っていないと熱の逃げ場がなく、鍋底の温度が一気に上がります。陶器は急な温度変化に弱く、さらに発熱体との境目にも負担がかかります。熱い土鍋に冷たい水を入れたり、濡れた布巾の上に置いたりする急冷も同じ理屈で危険です。
やりがちなのは、『先に鍋を温めておこう』と空のままスイッチを入れること。金属の鍋の感覚で予熱をすると、土鍋では破損のきっかけになります。
IH対応土鍋は、必ず中身を入れてから加熱を始めましょう。使い終わったら、そのまま自然に冷めるのを待ってから洗うのが安全です。
原因は、IHが鍋底を直接発熱させる仕組みのため、空の土鍋は熱の逃げ場がなく鍋底の温度が急に上がること。陶器と発熱体の組み合わせに負担がかかり、破損の原因になると取扱説明書で注意されています。対策は、必ず具材やだしを入れてから加熱を始め、使用後は自然に冷ましてから洗うことです。
土鍋はIHの真ん中に置く、引きずらない
土鍋をIHのどこに置くかも、意外と大事なポイントです。無印良品のIH対応こなべの取扱説明書では、鍋はIH調理器の真ん中に置いて使うよう書かれていて、ずらして置いた場合は局部的に異常過熱して危険だと説明されています。
これは、IHのコイルが磁力を出している範囲と、発熱体の位置がずれると、発熱体の一部にだけ熱が集中してしまうからだと考えられます。陶器は熱が伝わるのがゆっくりなので、一部だけが熱くなると温度差が大きくなり、割れや発熱体の傷みにつながりやすくなります。
もう一つの注意が引きずり。三菱電機の案内(ラジエントヒーターの欄)にもあるとおり、土鍋をトッププレートの上で引きずると、プレートを傷つけたり割れの原因になったりします。鍋料理の途中で具材を足すとき、つい土鍋を手前に滑らせて寄せてしまうのは、ありがちな動きです。
土鍋を置くときはトッププレートの加熱範囲の印に中心を合わせ、動かすときは両手で持ち上げて置き直しましょう。ミトンを手元に用意しておくと、慌てて滑らせることが減ります。
200VのIHでは火力を「中」以下に
据え置きやビルトインのIHクッキングヒーターの多くは200Vで動いていて、卓上IHより火力が強めに設定されています。無印良品のIH対応こなべの取扱説明書では、200Vで使う場合は火力調整を必ず『中』以下にするよう書かれています。
ここにも、陶器と発熱体の性質が関わっています。強い火力で一気に加熱すると、鍋底の発熱体だけが急に熱くなり、陶器の本体との温度差が大きくなります。土鍋は温まるのに時間がかかる素材なので、火力を上げても全体がそのぶん速く温まるわけではなく、負担だけが大きくなりやすいんです。
やりがちな失敗は、『IHは沸騰まで時間がかかる』と感じて、つい火力を最大にしてしまうことです。同じ取扱説明書でも、他素材の鍋に比べて沸騰まで時間がかかる場合があり、IHはガスコンロより時間がかかる場合がある、と説明されています。時間がかかるのは土鍋の性質で、異常ではありません。
土鍋を使うときは、時間に余裕を持って中火以下でじっくり温めましょう。火力の上限は製品ごとに違うので、自分の土鍋の取扱説明書の数字に合わせてください。
油料理とオールメタル対応IHには使わない
IH対応土鍋には、使える料理の範囲にも制限があることがあります。無印良品のIH対応こなべの取扱説明書では、炒め物や焼き肉、天ぷら等の油料理には使わないよう書かれています。
油料理は水を使う料理に比べて鍋底の温度が上がりやすく、空だきに近い状態になりやすい調理です。水分があれば温度はおおむね沸点付近にとどまりますが、油だけだとそれ以上に温度が上がります。発熱体や陶器の本体にとって、負担の大きい使い方になるわけです。
もう一つの注意が、IH調理器の方式です。同じ取扱説明書では、オールメタル対応型のIH調理器では使えない場合があると案内されています。自宅のIHがどの方式かは、IHの取扱説明書や型番から確認できます。
やりがちなのは、鍋料理の締めに土鍋で焼きめしを作ろうと、油を引いて炒め始めてしまうことです。締めは雑炊やうどんのように汁気のあるものにしておくと、取扱説明書の範囲内で楽しめます。
吹きこぼれが命取り?発熱体を長持ちさせるお手入れ
発熱体に付いた汚れは、断線の原因になります
IH対応土鍋のお手入れで、いちばん気をつけたいのが吹きこぼれです。無印良品のIH対応こなべの取扱説明書では、発熱体に吹きこぼれた煮汁や醤油等の汚れが付着すると断線の原因となり、IH調理器で使えなくなる場合がある、と注意されています(無印良品 IH対応こなべ 取扱説明書)。
発熱体は鍋底の外側に焼き付けられた層なので、吹きこぼれた汁が直接かかる位置にあります。汚れが付いたまま加熱を繰り返すと、汚れが焦げついて発熱体に負担をかけていくと考えられます。
土鍋は熱をため込む素材なので、火力を下げてもしばらく沸騰が続き、吹きこぼれやすいという性質もあります。鍋料理でぐつぐつ煮立ってきたときに、目を離したすきに吹きこぼれる、というのはよくある場面です。
吹きこぼれを防ぐには、中身を入れすぎないこと、煮立ってきたら早めに火力を下げることが基本です。もし吹きこぼれたら、加熱を止めて鍋が冷めてから、鍋底とトッププレートの汚れを拭き取りましょう。
原因は、鍋底の発熱体に煮汁や醤油の汚れが付いたまま加熱を繰り返すこと。取扱説明書では断線の原因となり、IHで使えなくなる場合があると注意されています。対策は、中身を入れすぎず煮立ったら早めに火力を下げ、吹きこぼれたら冷めてから鍋底の汚れを落とすこと。発熱体は取り外して修理できないため、日々の拭き取りが寿命を左右します。
食洗機・金属たわしは使わない洗い方
洗い方にも、IH対応土鍋ならではの注意点があります。無印良品のIH対応こなべの取扱説明書では、食器洗い乾燥機は使えない(発熱体が劣化するため)とされ、研磨剤や金属たわしも使わないよう案内されています。
食器洗い乾燥機は、高温の湯と洗剤を勢いよく当て、さらに乾燥で温度を上げる仕組みです。陶器の本体は耐えられても、底に焼き付けた発熱体には負担になる、という考え方です。研磨剤や金属たわしは、発熱体の表面を削ってしまうおそれがあります。
やりがちなのが、焦げつきを落とそうとして、金属たわしでごしごしこすることです。土鍋の内側の焦げも、底の発熱体まわりの汚れも、強くこすって落とすのは避けたほうが安全です。
洗うときは、鍋が冷めてから柔らかいスポンジと台所用洗剤で手洗いし、底面まで乾かしてからしまいましょう。焦げつきが気になるときは、ぬるま湯につけて柔らかくしてから落とすと、こすらずにすみます。
目止めは要る?製品によって答えが違います
土鍋の扱いで必ず話題になるのが目止めです。目止めとは、土鍋の生地の細かな気泡を、おかゆのでんぷん質で埋めて水漏れを防ぐ下準備のこと。ところが、すべての土鍋に目止めが必要なわけではありません。
無印良品の萬古焼ごはん鍋(ガス火・電子レンジ対応)の取扱説明書では、吸水性がある生地のため、使い始めに必ずおかゆをたっぷり炊いて目止めを行うよう書かれています(無印良品 萬古焼ごはん鍋 取扱説明書)。手順は、鍋の8分目まで水を入れ、水量の5分の1のご飯を加えて吹きこぼれないよう弱火で炊き、火を止めてそのまま数時間置いて冷ましてから洗い、底面を上にして完全に乾かす、というものです。
一方、無印良品のIH対応こなべの取扱説明書では、この土鍋は吸水をほとんどしないため、使い始めに目止めをする必要はないとされています。同じ『土鍋』でも、生地の作り方によって答えが真逆になるわけです。
『土鍋は目止めが必要』と思い込んで、目止め不要の製品にまで手間をかけたり、逆に必要な製品で省いたりするのは、どちらも取扱説明書から外れた使い方です。手元の土鍋の説明書に書かれた方法に従いましょう。
発熱体はいつか寿命が来る、と知っておく
IH対応土鍋を長く使うために知っておきたいのが、発熱体の寿命です。無印良品のIH対応こなべの取扱説明書では、使用頻度や年月に関わらず、使用状況によっては発熱体が破損し、IHで使えなくなる場合があると説明されています。そして発熱体は取り外して修理することはできません。
つまり、普通の土鍋なら割れない限り使い続けられるのに対し、IH対応土鍋は『陶器は無事でも、IHでは使えなくなる』という終わり方があるんです。ここは金属の鍋や普通の土鍋にはない、IH対応土鍋ならではの性質です。
やりがちなのは、IHで温まらなくなったときに、ヒーターの故障を疑ってメーカーに問い合わせてしまうことです。ほかの金属鍋で正常に加熱できるなら、土鍋の発熱体の側に原因がある可能性が考えられます。
ちなみに無印良品のIH対応こなべは、対応器具としてガスコンロ・ハロゲンヒーター・電磁調理器・オーブン(蓋を外す)が表示されています。発熱体が傷んでも陶器が無事なら、ガスコンロなど他の熱源で使える製品もあるので、捨てる前に取扱説明書の対応熱源を見直してみてください。
IHで土鍋ごはんは炊ける?炊飯の可否と土鍋ごはんの基本
炊飯できるかは、土鍋とIHの両方の説明書で決まります
土鍋ごはんをIHで炊きたい、という方は多いですよね。結論から言うと、炊飯できるかどうかは、土鍋の取扱説明書とIHヒーターの取扱説明書の両方で確認する必要があります。
土鍋の側では、IH対応でも炊飯(空だきに近い使い方)を想定していない製品があります。炊飯は水分が減って最後に鍋底の温度が上がる調理なので、空だきに近い負担がかかるからだと考えられます。IHヒーターの側では、日立の炊飯メニューのように、鍋底の径15〜17cm、底の厚さ1.5〜2mm、反り1mm以下という厳しい条件があり、炊飯は専用の推奨鍋を使う前提で設計されています。ホーロー鍋は焦げ付きやすく使用できないとも書かれています。
やりがちなのが、IH対応の土鍋なら炊飯もできるだろうと考えて、炊飯に対応していない製品でごはんを炊いてしまうことです。焦げつきや破損の原因になりかねません。
土鍋ごはんが目的なら、炊飯の手順が取扱説明書に載っている土鍋を選び、さらに自宅のIHで陶磁器を使ってよいかを確認しましょう。どちらか一方でも『使わない』とあれば、IHでの土鍋炊飯は見送るのが安全です。
土鍋ごはんの基本は「浸水・水量・蒸らし」
ここからは、土鍋ごはんがどういう理屈でおいしく炊けるのかを見ておきましょう。参考にするのは、無印良品の萬古焼ごはん鍋(3合炊き・ガス火/電子レンジ対応)の取扱説明書です。IH対応の表示がない製品なので、手順はガス火のもの。IHにそのまま当てはめず、考え方として読んでください。
この取扱説明書では、お米を研いで20分以上水に浸けておき、水の量は米1合に対して水200mLを目安にする、とされています(無印良品 萬古焼ごはん鍋 取扱説明書)。浸水は、お米の中心まで水を行き渡らせるためのもの。浸水が足りないと、芯まで熱と水が届く前に表面だけが炊けてしまい、芯が残る原因になります。
炊き方は、中火で沸騰させ、蓋の穴から勢いよく蒸気が出たら火を止める、というものです。目安時間は1合約5〜8分、2合約7〜10分、3合約10〜15分で、コンロにより異なるとされています。火を止めた後は20分程度蒸らします。土鍋は火を止めても熱をため込んでいるので、この余熱で中までふっくら仕上がるわけです。

ガスの手順をIHに置き換えてはいけない理由
土鍋ごはんのレシピは、ほとんどがガス火を前提に書かれています。『中火で沸騰させて、蒸気が出たら火を止める』という手順を、IHでもそのまま使えばいいのでは、と思いますよね。でも、ここに落とし穴があります。
ガス火の中火とIHの中火は、同じ『中火』でも鍋に伝わる熱のかたちが違います。ガスは炎が鍋底から側面まで包むように熱を加えますが、IH対応土鍋は鍋底の発熱体だけが熱を生み、そこから陶器全体に伝わっていきます。無印良品のIH対応こなべの取扱説明書でも、IHはガスコンロより沸騰まで時間がかかる場合があるとされています。加熱時間の目安がそのまま当てはまらない理由はここにあります。
やりがちなのは、ガス火の目安時間どおりにIHで加熱して、まだ沸騰していないのに火を止めてしまうことです。逆に、時間がかかるからと火力を上げれば、200Vでは中以下という制限を超えてしまいます。
IHで土鍋ごはんを炊くなら、炊飯に対応したIH対応土鍋の取扱説明書に載っている手順と火力に従うのが基本です。レシピサイトのガス火の手順を流用しないようにしましょう。
水加減は、お米の状態でも変わります
土鍋でも炊飯器でも、水加減はごはんの仕上がりを左右します。萬古焼ごはん鍋の取扱説明書では米1合に対して水200mLが目安とされていますが、水位線はあくまで目安だとも書かれています。お米の状態によって、ちょうどよい水の量は少しずつ変わるからです。
たとえば新米は、収穫から時間がたっていない分、お米自体に水分が多めに残っているとされ、いつもと同じ水加減だとやわらかめに仕上がることがあります。無洗米は研ぐ手間がない一方で、同じカップで量ったときにお米の量が多めに入るため、水も少し多めにするのが基本です。
やりがちなのが、土鍋で炊いたら硬かった、やわらかかったという結果を、土鍋のせいだと決めつけてしまうことです。浸水時間が足りなかったのか、水の量が合っていなかったのか、お米の種類が違ったのか、原因を一つずつ切り分けてみると、次の一回の調整がしやすくなります。
水加減を変えるときは、一度に大きく変えず、少しずつ調整して自分の好みの硬さを探すのがコツです。

まとめ
土鍋の『IH対応』は、鍋の側の準備ができているという合図にすぎません。最初の一歩として、今日のうちに自宅のIHのメーカー名と型番を確認し、取扱説明書の『使える鍋・使えない鍋』のページを開いてみてください。そこに陶磁器の扱いと鍋底の条件が書いてあれば、どんな土鍋を選べばよいか、あるいはIH以外の熱源で土鍋を楽しむべきかが、はっきり見えてきますよ。
※製品の仕様や取扱いの案内は変わることがあります。最新情報は各メーカーの公式サイトでご確認ください。

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