おうちでういろうを作ってみたいけれど、米粉は何を買えばいいのか、上新粉と製菓用の米粉は違うのか、蒸し器がなくても作れるのか。材料は少ないのに、いざ作ろうとすると迷うところが意外と多いお菓子です。
結論からいうと、米粉のういろうは米粉・砂糖・水を混ぜて蒸すだけで作れます。京都市が公開しているレシピでは米粉48gを蒸し器の中火で約15分、堺市のレシピでは米粉50g・砂糖30g・水100mlを電子レンジ600Wで2分30秒~3分加熱する配合が紹介されています。そして、うまくいかないときの原因の多くは、粉の沈殿・水分量・加熱ムラという3つの理屈で説明できるんですよ。
この記事では、名古屋・山口・京都でういろうの粉が違う理由から、農林水産省の米粉の用途別基準を使った粉選び、蒸し器と電子レンジそれぞれの手順、固い・べたつく・ダマになるときの原因と直し方、保存のしかたまで、台所で使える順に整理します。
・ういろうの粉が地域で違う理由と、米粉で作る名古屋タイプの特徴
・上新粉と製菓用米粉の違い、用途別基準の1番が目印になる理由
・蒸し器と電子レンジ、2つの自治体レシピの配合と手順
・粉が沈む・固い・べたつくときの原因と、次に作るときの直し方
ういろうは何の粉で作る?名古屋・山口・京都で食感が違う理由

ういろうの材料は米粉だけではない、という前提から
まず押さえておきたいのは、ういろうという和菓子はひとつの決まった粉で作るものではない、という点です。ういろうは、米粉・小麦粉・わらび粉などに砂糖と水を混ぜて練り、蒸して仕上げるお菓子と紹介されています。つまり、どの粉を主役にするかで、同じ名前でも食感がまったく別物になるんですね。
粉が変わると食感が変わるのは、粉ごとにでんぷんの性質が違うからです。でんぷんは水と一緒に加熱されると糊化して、粘りと弾力のあるかたまりになります。このときの固まり方や伸び方が、お米のでんぷん、わらびのでんぷん、小麦粉とで異なるため、口当たりに差が出ます。
台所でやりがちなのは、レシピを探すときに粉の種類を見ずに作り始めてしまうことです。わらび粉を使うレシピの水加減で米粉を溶くと、生地がゆるすぎたり固すぎたりして、思った仕上がりになりません。米粉で作りたいなら、材料欄に米粉か上新粉と書かれたレシピを選ぶのが近道です。この記事は、米粉を使うういろうに絞って解説していきます。
米粉のういろうは名古屋タイプ。もちっと重たい食感の理由
米粉で作るういろうの代表として知られているのが、名古屋のういろうです。名古屋のういろうはうるち米の米粉を使うのが特徴で、餅のように弾力があり、ずっしりとした重厚感があると紹介されています。家庭で米粉から作ると、この名古屋タイプに近い仕上がりになります。
うるち米の粉でも弾力が出るのは、蒸すことで米粉のでんぷんが糊化し、砂糖と水を抱え込んだまま固まるからです。小麦粉のようにグルテンの網目でふくらませるお菓子ではないので、生地を捏ねる必要はありません。混ぜて、型に流して、蒸すだけ。手順が少ない分、配合と加熱の具合がそのまま食感に表れます。
名古屋のういろうが広く知られるようになった経緯として、昭和39年の新幹線開業当時に車内で販売されたことがきっかけになった、という話も紹介されています。お土産の定番として目にする機会が多いので、家庭で作るときもあのもちっとした重さをゴールにすると、配合の良し悪しを判断しやすくなります。
山口はわらび粉、京都は水無月。地域ごとの違いを一度に見る
一方、山口のういろうは米粉ではなくわらび粉を使い、わらび餅のような食感が特徴とされています。同じういろうでも、ぷるんとした透明感のある食感を目指すなら、米粉では再現しにくいわけです。
京都では、三角形にカットした白いういろうの上に甘く煮た小豆をのせた水無月という和菓子があり、毎年6月30日の夏越の祓で食べられると紹介されています。ベースの白いういろう部分は、米粉ういろうの作り方を覚えておくと応用できる部分です。
地域の違いを知っておくと、レシピ選びで迷いにくくなります。下の表で、粉と食感の傾向を一度に確認しておきましょう。
| 項目 | 名古屋 | 山口 | 京都(水無月) |
|---|---|---|---|
| 主な粉 | うるち米の米粉 | わらび粉 | 白いういろうが土台 |
| 食感の傾向 | 弾力があり、ずっしり重厚 | わらび餅のような食感 | ういろうに甘く煮た小豆をのせる |
| 家庭の米粉で再現 | しやすい | しにくい(粉が別) | 土台部分は応用できる |
上新粉と製菓用米粉、どちらを選べばもちっと仕上がる?
米粉はうるち米ともち米、さらに加熱の有無で分かれる
米粉を選ぶときは、原料のお米と、加熱しているかどうかの2点を見ると整理しやすくなります。農林水産省の資料では、米粉はうるち米ともち米から製造され、種類は大きくアルファ化米粉とベータ米粉に分けられると説明されています(農林水産省:米粉の特性)。
アルファ化米粉はあらかじめ加熱して糊化させた粉、ベータ米粉は加熱していない未糊化の粉です。ういろうは自分で蒸して糊化させるお菓子なので、使うのは基本的にベータ米粉、つまり加熱していない普通の米粉です。うるち米の未糊化米粉の代表が上新粉です。
やりがちなのは、和菓子コーナーで白玉粉やもち粉を手に取ってしまうこと。これらはもち米の粉なので、蒸すとういろうというよりお餅に近い、のびる食感になる傾向があります。名古屋タイプのずっしりした弾力を目指すなら、原材料がうるち米の粉を選ぶのが基本です。袋の原材料欄で、うるち米かもち米かを確認しましょう。
アミロースの量で、固さと粘りの傾向が変わる
同じうるち米の粉でも、仕上がりに差が出る理由のひとつがアミロースです。農林水産省の資料では、日本の一般的なうるち米はアミロース含有率17~23%程度の中アミロース米で、もち米は0%とされています。
お米のでんぷんはアミロースとアミロペクチンでできていて、アミロースが多いほど加熱後にしっかり固まり、粘りは控えめになる傾向があります。反対にアミロースが0%のもち米は、のびる粘りが出ます。ういろうの弾力は、この中間のバランスから生まれていると考えるとわかりやすいでしょう。
米粉麺に向く高アミロースの品種として、アミロース32%程度とされる亜細亜のかおりのような専門品種もあります。こうした粉でういろうを作ると、固く締まった食感になりやすいと考えられます。袋に麺用と書かれた米粉は、ういろうには避けておくのが無難です。
アミロース=お米のでんぷんを構成する成分のひとつ。多いと加熱後に固く締まり、少ないと粘りが出やすい傾向がある。
米粉の用途別基準=農林水産省が2017年3月29日(平成29年)に定めた、米粉を菓子・料理用(1番)、パン用(2番)、麺用(3番)に分ける基準。米粉製造業者の自主的な取組みを推進し、米粉の普及に向けた基準とされている。
袋の1番表示が目印。用途別基準の読み方
市販の米粉を選ぶときの手がかりになるのが、農林水産省の米粉の用途別基準です。この基準では米粉の主な用途を菓子・料理用、パン用、麺用に分類し、菓子・料理用(1番)はアミロース含有率20%未満、パン用(2番)は15%以上20%未満、麺用(3番)は20%以上とされています(農林水産省:米粉の用途別基準)。
ういろうは菓子なので、袋に1番や菓子・料理用と表示された米粉を選べば、基準の考え方に沿った選び方になります。パン用の2番を使っても作れないわけではありませんが、パン用は膨らみやすさを重視した粉なので、ういろうの口当たりがレシピと変わる可能性があります。
注意したいのは、この表示がすべての米粉に付いているわけではないことです。表示がない上新粉は、和菓子用として昔から使われてきた粉なので、ういろうにはなじみやすい選択肢です。表示がない製菓用米粉は、メーカーの説明で用途を確認しましょう。下の表は、農林水産省の公表値をもとに整理したものです。
| 区分 | アミロース含有率 | ういろうへの使いやすさ |
|---|---|---|
| 菓子・料理用(1番) | 20%未満 | 菓子用なので第一候補 |
| パン用(2番) | 15%以上20%未満 | 作れるが食感がレシピと変わることも |
| 麺用(3番) | 20%以上 | 固く締まりやすく不向き |
| 共通の基準 | 粒度は75μm以下の比率が50%以上、でんぷん損傷度10%未満(粒度はレーザー回析散乱式で測定) | |
出典:農林水産省「米粉の用途別基準」。使いやすさの欄は基準の区分からの編集部の整理です。
粒の細かさで、溶けやすさと口当たりが変わる
粉選びでもうひとつ見落とされがちなのが粒の細かさです。農林水産省の資料では、乾いたまま砕くドライミリングは粒度150-100μmと60μm以下の二峰分布で、でんぷん損傷度は約10%、水で軟らかくしてから砕くウェットミリングは粒度30-60μm、でんぷん損傷度5%以下と説明されています。
粒が粗かったり、でんぷんが傷ついていたりすると、水の吸い方が変わります。パナソニックの解説でも、米粉は製品によって粒子の大きさが異なり、吸水率に差が出るとされています(パナソニック:米粉の失敗の原因)。同じ48gでも、粉の銘柄を変えると生地のゆるさが変わるのはこのためです。
上新粉はやや粒が粗めのものもあり、製菓用の微細な米粉に比べると舌ざわりに粒感が残ることがあります。なめらかさを優先するなら製菓用の細かい米粉、昔ながらの素朴な歯ごたえなら上新粉、と使い分けるのもひとつの考え方です。銘柄を変えたら、最初の1回は水を少しずつ足して、生地の状態を目で確かめましょう。
米粉の粒の細かさや用途別の選び方は、ケーキや焼き菓子でも同じ考え方が使えます。

2つの自治体レシピで見る、米粉ういろうの基本配合

京都市のレシピは黒砂糖入り、蒸し器で約15分
家庭で作る配合の基準として、自治体が公開しているレシピは心強い材料です。京都市が公開している黒砂糖入りのういろうのレシピでは、4人分で米粉48g(大さじ6)、砂糖18g(大さじ2)、黒砂糖12g(大さじ1強)、黒砂糖用の水30cc、さらに粉用の水を加えて混ぜ、蒸し器で約15分蒸す手順になっています(京都市:ういろう(黒砂糖)レシピPDF)。
このレシピのよいところは、おかず用カップに1人分ずつ流して蒸す点です。小分けにすると熱が中心まで早く届くので、約15分という短めの時間で火が通りやすくなります。大きな型でまとめて蒸すより、失敗の幅が小さいやり方です。
注意したいのは、粉用の水が適量となっていて、具体的な量が書かれていないことです。ここを自己流で一度に入れてしまうと、ゆるすぎる生地になりがちです。粉用の水は少しずつ加え、粉っぽさが消えて、すくうとトロリと落ちる状態を目安に止めましょう。黒砂糖液はそのあとで加えるので、最初から生地をゆるめすぎないのがコツです。
堺市のレシピは米粉・砂糖・水だけ、電子レンジで仕上げる
もうひとつの基準が、堺市のレシピです。紙カップ4個分で米粉50g、砂糖30g、水100mlを混ぜ、電子レンジ600Wで2分30秒~3分加熱する配合が紹介されています。材料が3つだけで、蒸し器がなくても作れるのが特徴です。
京都市のレシピと見比べると、米粉の量はほぼ同じなのに、砂糖が多めで、水の量がはっきり示されています。米粉より水のほうが多い配合なので、混ぜた直後の生地はかなりさらっとした状態になります。これで大丈夫なのは、加熱するとでんぷんが糊化して水を抱え込み、固まるからです。
やりがちな失敗は、さらさらの生地を見て不安になり、米粉を足してしまうことです。粉を増やすと加熱後に固く締まった食感になりやすくなります。まずはレシピどおりの分量で1回作り、仕上がりを見てから次回の調整を考えましょう。電子レンジは機種によって加熱ムラが出るので、2分30秒で一度様子を見る段取りにしておくと安心です。
| 項目 | 京都市(4人分) | 堺市(紙カップ4個分) |
|---|---|---|
| 米粉 | 48g(大さじ6) | 50g |
| 砂糖 | 砂糖18g(大さじ2)+黒砂糖12g(大さじ1強) | 30g |
| 水 | 黒砂糖用30cc+粉用は適量 | 100ml |
| 加熱 | 蒸し器・中火で約15分 | 電子レンジ600Wで2分30秒~3分 |
| 向いている人 | 黒糖の風味を楽しみたい人・蒸し器がある人 | 道具を増やさず手早く作りたい人 |
米粉と水の割合が、もちもち感を決める
2つのレシピを読み比べてわかるのは、ういろうの食感を決めているのが、米粉と水の割合だということです。パナソニックの解説では、米粉の生地は水分が多すぎるとさらさらで粘りが弱く、少なすぎるとパサパサで硬くなるとされています。
ういろうでも同じことが起きます。水が多いと、蒸し上がりがやわらかすぎて型から出すときに崩れたり、表面がべたついたりします。水が少ないと、糊化に使える水が足りず、もちもちではなく固く締まった仕上がりになります。砂糖も水を抱え込む性質があるので、砂糖を減らすと同じ水の量でも少し固めに感じることがあります。
そこで、最初は自治体レシピの配合をそのまま使い、2回目以降に好みに寄せていくのがおすすめです。やわらかくしたいなら水を少しずつ、固くしたいなら水を控えめに。いきなり大きく変えず、1回に変えるのは1か所だけにすると、何が効いたのかがわかります。生地がゆるすぎる場合は、米粉を小さじ1杯ずつ加えて調整する方法が紹介されています。
ういろうの作り方:蒸し器で失敗しない手順と、それぞれの理屈
黒砂糖は先に溶かす。ダマを防ぐ混ぜる順番
京都市のレシピの手順は、黒砂糖と水を弱火で加熱して溶かし、別のボウルで砂糖と米粉をよく混ぜ、そこへ粉用の水を加えて混ぜ、最後に黒砂糖液を少しずつ加えて塊がないようにする、という流れです(京都市:ういろう(黒砂糖)レシピPDF)。
この順番には理由があります。黒砂糖は粒が不ぞろいで溶けにくいので、粉と一緒に混ぜると溶け残りやすくなります。先に水で溶かして液体にしておけば、生地に均一に混ざります。また、砂糖と米粉を乾いた状態で先に混ぜておくと、粉同士がくっつきにくくなり、水を入れたときのダマを防げます。
やりがちなのは、黒砂糖液を一度に流し入れてしまうことです。濃い液が一か所に入ると、その部分だけ粉が固まって塊になります。少しずつ加えて、そのつど泡立て器でぐるぐる混ぜるのがコツです。黒砂糖液は熱いままだと粉が部分的に固まることがあるので、少し冷ましてから加えると安心です。
カップに流すときも混ぜ続ける。米粉は沈むから
京都市のレシピには、生地が沈まないように混ぜながら1人分ずつカップに入れる、という一文があります。ここがういろう作りでいちばん見落とされやすいポイントです。
米粉は水に溶けるのではなく、細かい粒が水の中に散らばっているだけの状態です。時間がたつと粒が底に沈み、上は水っぽく、下は粉が濃い生地に分かれてしまいます。この状態で流すと、最初のカップと最後のカップで米粉の量が変わり、固さがばらばらになります。1つのカップの中でも、底に粉が溜まって二層になることがあります。
コツは、カップに流す直前に毎回ひと混ぜすることです。おたまやスプーンで流すなら、すくう前に底からかき混ぜる。電話に出たり、蒸し器の準備をしたりして生地を置いた後は、必ず混ぜ直してから流しましょう。生地を作るのは蒸し器の湯が沸いてからにすると、待ち時間が短くなり沈殿も起きにくくなります。
中火で約15分。強火にしないほうがいい理由
京都市のレシピでは、蒸すときの火加減は中火、時間は約15分とされています。早く仕上げたくて強火にしたくなりますが、ここは中火を守るのがおすすめです。
強火で蒸すと蒸気の勢いが強くなり、蓋の裏にたくさん水滴がつきます。この水滴が生地の上に落ちると、表面に穴があいたり、そこだけ水っぽくべたついたりします。また、外側だけ先に固まって、中心との火の通り方に差が出やすくなります。中火で安定した蒸気を当てると、カップ全体に均一に熱が入ります。
水滴対策としては、蓋を布巾で包んでおくのが和菓子作りでよく使われる方法です。布巾が水滴を吸ってくれるので、表面がきれいに仕上がります。ただし、布巾の端がコンロの火に近づかないよう、蓋の上でまとめて結んでおきましょう。蒸し上がりの目安は、白っぽく濁っていた生地が半透明に変わり、竹串を刺しても生の生地がついてこない状態です。
原因:生地を作ってから流すまでに時間があき、米粉が底に沈んだまま流した。米粉は水に溶けず沈殿するため、最初と最後のカップで粉の量が変わります。
対策:蒸し器の湯を先に沸かし、生地はできたらすぐ流す。おたまですくう前に毎回底からひと混ぜする。
蒸し上がったら粗熱をとる。熱いうちに切らない理由
蒸し上がった直後のういろうは、やわらかく、べたつきやすい状態です。カップのまま蒸し器から出して、粗熱がとれるまで置いておきましょう。
熱いうちは、糊化したでんぷんがまだ水をたっぷり含んで流動性があるため、触ると指につきやすく、形も崩れやすくなります。少し冷めるとでんぷんが落ち着いて、弾力のある食感に変わっていきます。名古屋タイプのずっしりした歯ごたえは、この冷める過程で出てくるものです。
型で大きく蒸した場合は特に、熱いうちに切ると断面がつぶれてしまいます。切るときは包丁を水でぬらすか、包丁の代わりに糸やラップを使うと、生地がくっつきにくくなります。なお、大きな型で蒸すと中心まで火が通るのに時間がかかるので、カップ用のレシピの約15分をそのまま当てはめず、型で蒸すことを前提にしたレシピの時間に従ってください。
蒸し器がなくても大丈夫?電子レンジで作るときの注意点
600Wで2分30秒~3分。一度止めて様子を見る
蒸し器がない家庭なら、堺市のレシピのように電子レンジで作る方法があります。紙カップ4個分の生地を、電子レンジ600Wで2分30秒~3分加熱するのが目安とされています。
電子レンジは、食品に含まれる水を直接温める仕組みです。蒸し器のように外側から蒸気でじっくり温めるのとは違い、場所によって温まり方に差が出やすいのが特徴です。庫内の中央と端、カップの外側と中心で、火の通り方が変わることがあります。
だからこそ、いきなり3分かけるのではなく、2分30秒でいったん止めて様子を見るのがおすすめです。全体が半透明になっていれば完成、中央に白い部分が残っていれば、短い時間ずつ追加します。加熱しすぎると、水分が飛んで固くなったり、表面が乾いてゴムのような食感になったりします。足りない分を少しずつ足すほうが、取り返しのつかない失敗を避けられます。
ラップのかけ方と容器で、仕上がりが変わる
電子レンジで作るときは、ラップのかけ方も仕上がりを左右します。ラップをかけずに加熱すると、表面の水分が蒸発して乾き、固い膜ができやすくなります。
ういろうはでんぷんの糊化に水が欠かせないお菓子なので、表面の水分が飛ぶと、そこだけ十分に糊化せず食感が悪くなります。ふんわりとラップをかけると、容器の中に蒸気がこもり、蒸し器に近い状態で加熱できます。ぴったりかけると蒸気の逃げ場がなく、ラップが膨らんで破れたり、取るときに熱い蒸気でやけどをしたりする原因になります。
容器は電子レンジ対応のものを使いましょう。紙カップは、電子レンジ使用可と表示されているものを選んでください。アルミのおかずカップは電子レンジでは使えません。蒸し器用にアルミカップを用意していた場合は、電子レンジに切り替えるときに容器も替える必要があります。取り出すときは容器が熱くなっているので、ミトンを使うと安心です。
蒸し器と電子レンジ、どちらを選ぶかの考え方
蒸し器と電子レンジは、どちらが正解というより、目的で選ぶのが合理的です。食感の安定を優先するなら蒸し器、手軽さを優先するなら電子レンジと考えるとわかりやすいでしょう。
蒸し器は蒸気で外側から均一に熱を入れるので、生地全体が同じように糊化し、なめらかで弾力のある仕上がりになりやすい方法です。一方で、湯を沸かす時間や、蓋の水滴対策などの手間がかかります。電子レンジは数分で仕上がる手軽さがある反面、加熱ムラが出やすく、加熱しすぎると固くなりやすい点に注意が必要です。
はじめて作るなら、少量で失敗しても惜しくない電子レンジで一度試し、ういろうの生地の状態や蒸し上がりの見た目をつかむのもよい方法です。家族の分をまとめて作る、来客に出すなど、仕上がりをそろえたいときは蒸し器を使う、と場面で使い分けてみてください。どちらの方法でも、生地を混ぜ直してから流すことと、加熱しすぎないことは共通のポイントです。
固い・べたつく・ダマになる…うまくいかないのはなぜ?
固くなる原因は水不足と加熱しすぎ
米粉のういろうが固くなってしまう原因は、主に水分不足と加熱しすぎの2つです。パナソニックの解説でも、米粉の生地は水分が少なすぎるとパサパサで硬くなるとされています(パナソニック:米粉の失敗の原因)。
でんぷんが糊化してもちもちになるには、十分な水が必要です。水が足りないと、でんぷんの一部が十分に膨らまず、締まった食感になります。粉の銘柄を変えたときは特に注意が必要で、吸水量の多い米粉だと、同じ水の量でも生地が固くなります。加熱しすぎの場合は、生地の水分が飛んでしまうことが原因です。電子レンジでは特に起きやすい失敗です。
対策は、次に作るときに水を少しずつ増やすか、加熱時間を短めにして様子を見ることです。また、冷蔵庫に入れたあとに固くなるのは、作り方の失敗ではなく、でんぷんが冷えて固くなる性質によるものです。これは保存の章で説明します。
べたつく・形が崩れる原因は水の多さと、グルテンがないこと
反対に、蒸し上がりがべたつく、型から出すと崩れるという場合は、水が多すぎるか、加熱が足りないことが考えられます。水分が多すぎるとさらさらで粘りが弱くなるとされているので、生地がゆるすぎたまま蒸すと、まとまりのない仕上がりになります。
もうひとつの理由として、米粉には小麦粉に含まれるグルテンがない、という性質があります。米粉だけで作るとまとまりにくく崩れやすくなるとされています。パンや焼き菓子では卵などのつなぎを加えて補う方法がありますが、ういろうは蒸して糊化したでんぷんそのものが形を保つお菓子です。だからこそ、水の量と加熱の度合いがそのまま形の保ちやすさに影響します。
対策としては、生地がゆるいと感じたら米粉を小さじ1杯ずつ加えて調整する方法が紹介されています。蒸し上がり後にべたつく場合は、中心が半透明になっているかを確認し、白い部分が残っていれば加熱を追加しましょう。粗熱をとる前に触ってべたついているだけなら、冷めると落ち着くことも多いので、少し待ってから判断してください。
原因:米粉の銘柄を変えた。米粉は製品ごとに粒子の大きさが異なり、吸水率に差が出るとされています。吸水量の多い粉だと、同じ水の量では足りなくなります。
対策:銘柄を変えた最初の1回は、水を少しずつ加えながら生地のとろみを目で確認する。うまくいった粉の銘柄と水の量はメモに残しておく。
ダマになる原因は混ぜる順番と、液体の入れ方
生地にダマが残る原因の多くは、混ぜる順番と、液体を一度に入れることです。米粉は乾いた状態で水が一気にかかると、表面だけが濡れて中が乾いたままの小さな塊になりやすい粉です。
京都市のレシピで、砂糖と米粉を先によく混ぜてから水を加え、黒砂糖液は少しずつ加えて塊がないようにする、という順番になっているのは、このダマを防ぐためと考えられます。砂糖の粒が米粉の粒の間に入ることで、粉同士がくっつきにくくなります。
もしダマができてしまったら、目の細かいざるでこすと、なめらかな生地に戻せます。ざるの上に残った塊はスプーンの背で押しつぶしながら通しましょう。最初から失敗を減らすなら、水は2〜3回に分けて加え、そのつどよく混ぜて粉っぽさをなくしてから次を加えます。泡立て器を使うと、スプーンより短時間で均一に混ぜられます。
実は、米粉はういろうに向いている粉でもある
米粉でお菓子を作ると、グルテンがないから難しい、という話をよく聞きます。たしかにパンや焼き菓子では、ふくらみや形を保つのにグルテンが役立つため、米粉だけで作るのに工夫が要ります。でも、意外と知られていないけれど、ういろうに関してはその心配がほとんどありません。
農林水産省の資料では、米粉はグルテン形成がないため粘度を安定的に保つことが可能とされ、米粉パンの加水量は100%前後と、小麦粉パンの約60%より多くなると説明されています(農林水産省:米粉の調理特性)。つまり米粉は、水をたっぷり加えたゆるい生地にしても、捏ねる必要がなく、混ぜるだけで扱える粉なんですね。
ういろうはもともと米粉を主役にした和菓子で、捏ねずに混ぜて蒸すだけ。米粉の性質がそのまま活きるお菓子です。米粉のお菓子作りに苦手意識がある人ほど、ういろうから始めると、米粉の吸水や糊化の感覚をつかみやすいでしょう。焼き菓子に挑戦するのは、その後でも遅くありません。

作ったういろうと残った米粉、どう保存してどう楽しむ?
冷蔵庫で固くなるのは、でんぷんが冷えて締まるから
手作りのういろうは、作った日のうちに食べるのがいちばんもちもちした食感を楽しめます。冷蔵庫に入れると固くなってしまうのは、作り方の失敗ではなく、でんぷんの性質によるものです。
糊化したでんぷんは、冷えると水分を手放して元の固い状態に戻ろうとする性質があります。これを老化と呼び、冷蔵庫くらいの温度で進みやすいとされています。ご飯を冷蔵庫に入れると固くなるのと同じ理屈です。ういろうも、冷蔵庫に入れると時間とともに弾力が失われ、ぼそっとした食感になる傾向があります。
手作りのういろうは保存料を使っていないので、長く置かずに早めに食べきるのが基本です。食べきれない分は乾燥しないようにラップで包み、衛生面を考えて冷蔵庫で保存し、なるべく早く食べましょう。固くなった場合は、電子レンジで短時間温めると、でんぷんが再び水を抱え込んでやわらかさが戻ることがあります。温めすぎると乾いて固くなるので、少しずつ様子を見てください。
残った米粉は湿気と温度に気をつけて保存する
ういろうを作ると、米粉の袋が半端に残ることがよくあります。米粉の保存は、まず袋の表示に従うのが基本です。そのうえで、お米の保存についての考え方が参考になります。
農林水産省は、お米の保存は低温(10~15℃)で湿気が少なく直射日光をさけた場所で保存することが推奨されているとしています(農林水産省:お米の保存について)。米粉はお米を細かく砕いたもので、表面積が大きい分、湿気や空気の影響を受けやすいと考えられます。空気に触れて酸化しないよう、清潔な密閉容器に入れて保管するのが基本です。
冷蔵庫の野菜室に入れる場合は、湿度が高めなので、密閉容器に入れるか、袋をさらに厚手のビニールで包むとよいとされています。シンク下やコンロのそばは、湿気と温度の変化が大きいので避けましょう。袋のまま輪ゴムで留めるだけだと、隙間から湿気が入り、粉が固まったり、においが移ったりする原因になります。
お米や米粉を袋のまま保存するときの置き場所や容器の選び方は、こちらで詳しく紹介しています。

手作りのういろうはその日のうちに食べるのが基本。冷蔵庫で固くなるのはでんぷんの老化によるもので、短時間の温め直しでやわらかさが戻ることがあります。残った米粉は密閉容器に入れ、湿気と温度変化の少ない場所で保存しましょう。
家族構成や場面で変える、ういろうの楽しみ方
ういろうは配合がシンプルな分、場面に合わせてアレンジしやすいお菓子です。読者のタイプ別に、取り入れ方の例を挙げてみます。
はじめて和菓子を作る人は、堺市のレシピのように米粉・砂糖・水の3つだけで、電子レンジで少量作るのが入りやすい方法です。失敗しても量が少なく、ういろうの生地の状態をつかむ練習になります。家族でおやつを作りたい人は、京都市のレシピのように1人分ずつカップに流すやり方が向いています。カップごとに取り分けられ、子どもと一緒に流す作業も楽しめます。
季節の行事を楽しみたい人は、6月30日の夏越の祓に合わせて、白いういろうに甘く煮た小豆をのせる水無月に挑戦してみるのもよいでしょう。小麦を控えたい事情がある人は、米粉のお菓子を選ぶ場面もあると思いますが、米粉の製品によっては製造工程で小麦が混ざる可能性もあります。次の項目で表示の見方を確認しておきましょう。
ノングルテン米粉の表示は、何を示しているのか
米粉の袋に、ノングルテン米粉という表示を見かけることがあります。これは日本米粉協会による認証で、農林水産省の米粉のページでは、サンプル検査によりグルテン含有が1ppm以下であること、および同じ製造工場で当該製品の安定生産が確認された米粉に認証マークが付与されると説明されています(農林水産省:米粉の利用拡大)。
あわせて、ノングルテン米粉を主原料にした加工品には、ノングルテン米粉加工品使用ロゴマークがあり、その認証の要件として、ノングルテン米粉が主原料であること、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理、日本米粉協会主催の講習会の受講が挙げられています。製造工程の管理については、JAS 0014というノングルテン米粉の製造工程管理の規格があります。
ここで注意したいのは、この表示はグルテン含有量と製造管理の基準を示すものであって、食べる人の体質に対して安全を保証するものではない、という点です。米粉で作るからといって、誰にとっても問題がないとは言い切れません。体調や食事制限については医師・管理栄養士に相談してください。表示は、粉選びの判断材料のひとつとして読むのが正しい使い方です。
ういろうの作り方と米粉選びのまとめ
ういろうは、捏ねずに混ぜて蒸すだけで仕上がる、米粉の性質がそのまま活きる和菓子です。固い・べたつく・ダマになるといった失敗も、水分量・加熱・混ぜ方の理屈がわかれば、次に作るときに直せます。最初の一歩として、手元の米粉の袋を見て、うるち米の粉かどうか、菓子用の表示があるかを確認してから、京都市か堺市のレシピどおりに少量作ってみてください。
※米粉の表示や公的機関の情報は更新されることがあります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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