おこわや栗ご飯を作ろうとして、もち米を炊飯器で炊いたら、べちゃっと水っぽくなった。反対に芯が残って硬かった。そんな経験はありませんか。もち米は見た目こそうるち米とよく似ていますが、粘りのもとになるでんぷんの中身が違います。そのため、いつもの白米と同じ感覚で水を入れると、仕上がりがずれやすいんです。
先に結論をお伝えします。炊飯器でもち米を炊くときの水は、1合(180ml)あたり180〜200mlが目安とされています。洗米は手早く済ませ、白米モードで炊き、炊き上がったら蒸らしを待たずに釜の底からほぐす。この流れが基本です。浸水については、不要とする説、15〜30分とする説、30分〜1時間とする説があり、ここは理由を知ったうえで選ぶのがおすすめです。
この記事では、もち米とうるち米の性質の違いから始めて、水加減・浸水・炊飯コースの選び方、メーカーごとの取扱説明書の読みどころ、品種、おこわやおにぎりへの使い方まで、なぜそうするのかを順番に説明していきます。
・もち米が白米と同じ水加減だとべちゃつきやすい理由
・1合に水180〜200mlの目安と、目盛りの使い方
・浸水が不要〜1時間まで説が割れる理由と、自分に合う選び方
・白米モード・おこわコースの使い分けと、炊き上がり後のほぐし方
粘りの正体はアミロペクチン|うるち米と同じ感覚で炊くとべちゃつく理由

もち米のでんぷんは、ほぼアミロペクチンだけでできている
もち米とうるち米のいちばんの違いは、でんぷんの組み合わせです。もち米は炊くと粘りが出るアミロペクチンがほぼ100%なのに対し、うるち米はアミロペクチンが8割ほど、アミロースが2割ほどで構成されていると説明されています。水稲には、うるち、もち、醸造用の3種類があるとされ、もち米はこのうち粘りの性質(糯性)を持つ米です。
アミロースは粘りを抑え、粒をほぐれやすくする方向に働く成分です。うるち米のごはんが一粒ずつほどけるのは、このアミロースが一定量含まれているから。もち米にはそれがほとんどないため、炊くと粒どうしがくっつき、もちもちした粘りの強い食感になります。粘りが強く、独特の甘みがあるのがもち米の持ち味です。
台所でやりがちなのは、「お米はお米」と考えて、白米のときと同じ水位線まで水を入れてしまうこと。粘りの強い米に水が多すぎると、粒の形が保てず、全体がのり状にまとまりやすくなります。
まずは、もち米は白米と別物の米として扱い、水加減も浸水も「もち米用」に考え直す。ここが失敗しないための出発点です。袋の表示で、うるち精米かもち精米かも確認しておきましょう。
アミロペクチン=枝分かれの多い構造のでんぷんで、炊くと粘りを生む成分。アミロース=まっすぐに近い構造のでんぷんで、ごはんをほぐれやすくする方向に働く成分。もち米はアミロペクチンがほぼ100%、うるち米はアミロペクチン8割ほど・アミロース2割ほどと説明されています。糯(もち)性=このアミロースをほとんど持たない性質のこと。

水との付き合い方も、うるち米とは違う
もち米は、うるち米とは水との関わり方も違うとされています。アミロースは水に溶けやすいでんぷんで、アミロースを含むうるち米のほうが水を吸収しやすく、もち米はそうではない、という説明があります。一方で、もち米は水分を抱え込む力(水分保持力)が高い、とも説明されています。
この二つを合わせると、もち米は「たくさん水を吸わせて膨らませる米」ではなく、「少なめの水でも粘りが出て、しっとり仕上がる米」と考えるとわかりやすくなります。白米の水量は、炊き上がりにちょうどよい硬さになるよう、米が吸う水と蒸発する水を見込んで決められています。もち米に同じ量を当てはめると、吸いきれなかった水が粒のまわりに残り、べたつきの原因になります。
やりがちな失敗は、硬くなるのが怖くて「念のため少し多め」に水を入れることです。白米なら多少やわらかくなる程度で済む場面でも、もち米は粘りが強いぶん、べちゃつきが目立ちやすくなります。
迷ったら、水は控えめの側から始めるのがコツです。目安の範囲の少ないほうで一度炊き、硬さを見て次回に調整すると、自分の炊飯器に合う量が見つけやすくなります。
白米モードで炊けるのに、水加減だけは別に考える理由
炊飯器でもち米を炊くとき、コースは白米モードを使う方法が広く紹介されています。蒸し器で蒸すと手間がかかりますが、炊飯器なら白米モードで炊くことができる、という案内です。ここで勘違いしやすいのが、「白米モードで炊く=白米と同じ水量でよい」と思ってしまうことです。
炊飯器の白米モードは、加熱の強さや時間の流れを決めているだけで、水の量までは決めてくれません。水量を決めているのは、内釜の目盛りか、こちらが計量カップで入れた水です。内釜の白米用の目盛りは、うるち米の白米を前提に作られています。そこへもち米を入れて同じ線まで水を足せば、加熱の流れは白米モードのままでも、水だけが多すぎる状態で炊くことになります。
よくあるのは、もち米2合を入れて内釜の「2」の線まで水を入れ、白米モードで炊いて、やわらかすぎる仕上がりになるケースです。モードの選び方は合っていても、水の量が合っていなかったわけです。
取扱説明書に、もち米やおこわ用の水量・目盛りの記載がある機種は、その記載を優先してください。記載がなければ、目盛りではなく計量カップで水を量って入れる方法が確実です。
もち米の炊き方 炊飯器での基本は洗米・白米モード・すぐほぐすの3つ
全体の流れを先に押さえる
炊飯器でもち米を炊く手順は、うるち米と大きくは変わりません。違うのは、洗米を手早く済ませること、水を控えめに量ること、炊き上がったらすぐほぐすことの3点です。この3点が、それぞれ粘りの強さと関わっています。
洗米を長引かせると、表面の割れた粒から崩れやすくなり、粘りが余計に出ます。水を多くすると、前の章で説明したとおりべちゃつきます。炊き上がりを放置すると、粘りの強いもち米は粒どうしがくっついて固まりやすくなります。どれも「粘りが強い」という一つの性質から来ている失敗です。
手順を丸暗記するより、「粘りが出すぎないように、手早く・控えめに・すぐほぐす」と覚えておくと、量や機種が変わっても応用がききます。
下の流れを一度通して読んでから、浸水の有無だけ自分の都合に合わせて選んでください。浸水の選び方は、このあとの章で詳しく説明します。
洗米は4回・1分以内で手早く終わらせる
もち米の洗米は、合計4回で1分以内にとどめ、手早くすすぎ洗いをする方法が紹介されています。白米のように何度も力を入れて研ぐ必要はありません。
理由は、もち米の粒の性質にあります。洗米中、米は水に触れた瞬間から表面が水を吸い始めます。もち米は粘りの強いでんぷんでできているため、表面が水を含んだ状態で長くこすると、粒の表面が崩れやすく、崩れた部分がそのまま粘りになります。洗う時間が長いほど、炊き上がりがべたつく方向に寄っていくわけです。
やりがちなのは、とぎ汁が透明になるまで何度も水を替えてしまうことです。透明になるまで洗うと、そのぶん時間がかかり、粒の表面も傷みます。白米を研ぐ感覚で「しっかり研ぐほどおいしくなる」と考えていると、もち米では逆効果になりやすいんです。
コツは、最初の水はすぐ捨てること、手は軽く回す程度にすること、合計4回・1分以内を目安に切り上げることです。多少にごりが残っていても、そこで終えてかまいません。洗い終えたら、ざるで水気を切ってから次の工程へ進みます。
コースは白米モード、具材入りならおこわ・炊込み
白いもち米だけを炊く場合は、白米モードで炊く方法が一般的に紹介されています。一方で、具材を入れて炊くときは、おかゆ・炊込み・おこわといったコースを使うよう案内している機種があり、もち米でおこわを作る場合は専用のコースが推奨されている、という情報もあります。
コースを分ける理由は、具材の有無で釜の中の状態が変わるからです。具材や調味料が入ると、熱の伝わり方や水分の出入りが白いお米だけのときと変わります。おこわコースや炊込みコースは、そうした条件を前提に加熱の流れが組まれている、と考えるとわかりやすいでしょう。
よくある失敗は、しょうゆやだしを入れた具材入りのもち米を、白米モードで炊いてしまうことです。底が焦げやすくなったり、芯が残ったりする原因になります。
手元の炊飯器のメニュー表示を一度確認してみてください。おこわコースがあれば具材入りはそちら、なければ炊込みコース、白いもち米だけなら白米モード、と覚えておくと迷いません。早炊きのような時短コースは、取扱説明書でもち米に使えるかを確認してから使いましょう。
蒸らしは待たずに、炊き上がったらすぐほぐす
もち米を炊飯器で炊く場合、蒸らしはなしでよいとする案内があります。炊き上がりの合図が鳴ったら、ふたを開けて釜の底からまんべんなく空気を入れるようにほぐすのが基本です。
ここにも粘りの強さが関わっています。炊き上がった直後のもち米は、粒の表面に水分と粘りがある状態です。そのまま置いておくと、粒どうしがくっついたまま冷めていき、塊になりやすくなります。早めにほぐして余分な水蒸気を逃がすと、粒の輪郭が残り、ふっくらした仕上がりに近づきます。
やりがちなのは、白米のくせで「しばらく蒸らしてから開けよう」と放置することです。また、しゃもじで上から押しつぶすように混ぜるのも、粒をつぶして粘りを強める原因になります。
コツは、しゃもじを水でぬらしてから、内釜の側面に沿って底まで差し込み、底の米を持ち上げて返すように動かすことです。切るように混ぜ、こねないこと。ほぐしたあと保温を続ける場合も、時間がたつと乾きやすいので、食べる分は早めに取り分けておきましょう。
水は1合に180〜200ml|白米の目盛りに合わせると失敗しやすいわけ

目安は1合に180〜200ml、迷ったら少ないほうから
もち米1合(180ml)あたりの水は、180〜200mlが目安とされています。もち米1カップに対して水約180mlを使う方法が一般的と紹介される一方、もち米は水分保持力が高く、最適な加水率は1合に190〜200mlとする説明もあります。
幅があるのは、どんな仕上がりを目指すかで最適な量が変わるからです。180ml寄りにすると粒感が残りやすく、おこわや具材を混ぜるご飯に向いた歯ごたえになります。200ml寄りにすると、しっとりやわらかい方向に寄ります。浸水の有無や、米が新しいか古いかでも、ちょうどよい量は少しずつ動きます。
やりがちな失敗は、毎回量を変えてしまい、何がよかったのかわからなくなることです。また、料理用の計量カップと炊飯器付属の1合カップを取り違えると、米の量そのものがずれてしまいます。
はじめての炊飯器で炊くなら、1合あたり180mlから始めるのがおすすめです。硬いと感じたら次回は190ml、さらに足りなければ200mlと、一度に一段階ずつ増やしていくと、自分の好みと炊飯器のくせが把握しやすくなります。
内釜の白米用目盛りを使わず、計量カップで量る理由
白米を炊くとき、多くの人は内釜の目盛りに合わせて水を入れていると思います。ところが、もち米ではこの目盛りに頼らないほうが失敗しにくくなります。
白米用の目盛りは、うるち米の白米を、その炊飯器の白米コースで炊いたときにちょうどよくなるように付けられています。前の章で説明したように、もち米はでんぷんの組成も水との関わり方も違うため、同じ線まで入れると水が多めになりやすいのです。目盛りは、あくまで「その米」と「そのコース」のための目安だと考えてください。
よくあるのは、無洗米用や玄米用など複数の目盛りがある内釜で、どの線を使えばいいか迷った末に、白米の線に合わせてしまうケースです。もち米専用の線がない限り、どれを選んでもずれる可能性があります。
確実なのは、米を入れた内釜に、計量カップで量った水を注ぐ方法です。2合なら1合ぶんの量を2回、という具合に、合数ぶん繰り返せば計算もいりません。取扱説明書にもち米・おこわ用の目盛りや水量の記載がある場合は、その記載を優先してください。
状況:もち米2合を内釜に入れ、白米の「2」の線まで水を入れて白米モードで炊いたら、粒がつぶれて全体がのり状になった。
原因:白米用の目盛りはうるち米を前提にしたもの。アミロペクチンがほぼ100%のもち米には水が多すぎた。
対策:目盛りではなく計量カップで1合あたり180〜200mlを入れる。まずは180mlから試し、好みに合わせて一段階ずつ増やす。

うるち米を混ぜる・浸水して水を切るときの考え方
水加減で迷いやすいのが、うるち米を混ぜて炊く場合と、浸水後に水を切る場合です。どちらも、水の量を「もち米の分」と「それ以外の分」に分けて考えると整理できます。
うるち米を混ぜる場合、うるち米の部分はうるち米の水加減、もち米の部分はもち米の水加減で考えるのが基本です。もち米の割合が増えるほど、全体の水は控えめな方向に寄ります。浸水については、たっぷりの水につけたあと水気を切って炊く方法と、炊くときの分量の水にそのままつけておく方法があります。水を切る方法なら、浸水で吸った水が米に入っているぶん、炊くときの水は目安の少ない側から試すのが無難です。
やりがちなのは、浸水でたっぷり吸水させたうえに、さらに多めの水で炊いてしまうことです。結果として二重に水を足した状態になり、べたつきます。
コツは、どちらの方法で浸水するかを先に決めておくこと。分量の水につける方法なら、その水ごと炊くので水量はそのまま。水を切る方法なら、炊く水を控えめに。この切り分けだけで、仕上がりのぶれが小さくなります。
浸水は不要?30分?1時間?説が3つに割れる理由と選び方
公開されている案内を並べると、浸水時間はここまで違う
もち米の浸水時間は、調べると案内がばらばらで迷う人が多いところです。そこで、公開されている情報に出てくる目安を、お米の教科書で並べてみました。
| 案内の種類 | 浸水 | 水の扱い |
|---|---|---|
| 炊飯器・浸水なし派 | 不要 | 手早く洗って白米モードで炊く。1合に190〜200mlとする説明あり |
| 炊飯器・短時間浸水派 | 15分〜30分 | ひたるくらいの水につけ、水気を切ってから炊く |
| じっくり浸水派 | 30分〜1時間程度 | でんぷん粒を適度に膨らませ、もっちり感とふっくら感を両立させる狙い |
| 日立の電子レンジレシピ | 30分〜1時間 | 分量の水につけて十分吸水。2カップ(4人分)で280〜320ml |
| 古米の場合 | 長めに30分 | 乾燥が進んだ米は吸水に時間がかかるため長めにする |
並べてみると、「不要」から「1時間」まで幅があることがわかります。ただ、どれかが間違っているというより、炊く道具と、水を切るかどうかの前提が違うのが割れる理由です。電子レンジのように加熱時間の短い調理では、加熱前に吸水を済ませておく必要が大きくなります。炊飯器は機種によって、加熱の初めに米に水を吸わせる工程を含むものがあるため、浸水なしでも炊けるという案内が成り立ちます。
自分に合う方法を選ぶコツは、まず「炊飯器で、水を切らずに炊くなら浸水なし〜短時間」から始めることです。
実は、もち米の吸水は情報源によって正反対に説明されている
意外と知られていないのですが、もち米が水を吸いやすいかどうかは、情報源によって説明が逆になっています。アミロースは水に溶けやすいでんぷんなので、アミロースを含むうるち米のほうが水を吸いやすく、もち米はそうではない、という説明がある一方、もち米は白米より吸水しやすいため、30分〜1時間程度じっくり浸水させるとよい、とする説明もあります。
正反対に見えますが、台所での結論は同じ方向を向いています。どちらの説明でも、「炊くときの水は白米より控えめでよい」ことになるからです。吸水しにくい米なら、そもそも多くの水を必要としません。吸水しやすい米なら、浸水で必要な水を先に吸わせてしまえば、炊く水を増やす必要はありません。
やりがちな失敗は、「吸水しやすいなら長く浸せば浸すほどいい」と考え、何時間もつけたうえに多めの水で炊くことです。水の総量が増え、べたつきにつながります。
理屈が割れているところは、仕上がりで判断するのがいちばんです。まずは浸水なしか15分程度で炊き、粒の硬さを見て浸水を延ばすか、水を一段階増やすかを決めましょう。どちらか一方だけを変えると、原因がつかみやすくなります。
古米・寒い時期は長めに、新しい米は短めに
浸水時間を選ぶときの目安になるのが、米の状態です。古米の場合は浸水を長めにして30分ほど、という案内があります。
精米してから時間がたった米や、前年に収穫された米は、乾燥が進んで水を吸うのに時間がかかる傾向があります。乾いた粒に急に熱を加えると、中心まで水が届かないまま表面だけ先に火が通り、芯が残る原因になります。浸水を長めにとるのは、中心まで水を届かせるための下準備です。一方、新しい米はもともと水分を含んでいるため、長く浸すと吸いすぎてやわらかくなりやすい点に注意が必要です。
よくあるのは、季節や米の新しさに関係なく、毎回同じ時間だけ浸水して「今回は硬い」「今回はやわらかい」と仕上がりがぶれるケースです。原因は浸水時間が米の状態に合っていないことにあります。
袋に表示されている精米年月日を見て、時間がたっているなら長めの30分、精米したてなら浸水なしか15分程度、と使い分けてみてください。水温が低い時期は吸水がゆっくりになるので、同じ米でも少し長めにとると安定します。
浸水した水ごと炊くか、切ってから炊くかを決めておく
浸水には大きく二つのやり方があります。たっぷりの水につけたあとざるで水気を切り、改めて水を量って炊く方法と、炊くための分量の水にそのままつけておき、その水ごと炊く方法です。もち米をひたるくらいの水に15分〜30分つけて水気を切る方法が紹介される一方、日立の電子レンジレシピでは、炊く前に分量の水に30分〜1時間ほどつけて十分吸水させる、という手順になっています。
水を切る方法は、浸水の時間を気にせず水加減を炊くときに決め直せるのが利点です。分量の水につける方法は、水の総量が最初から決まっているので、量り直しの手間がありません。どちらにも理屈があります。
失敗しやすいのは、二つのやり方を混ぜてしまうことです。分量の水につけておいたのに、その水を捨ててから新しい水を入れ直す、あるいは切ったはずの米に浸水の水が多く残っている、などです。
炊飯器で炊くなら、まずは水を切る方法がわかりやすいでしょう。ざるに上げたら軽く振って水気を切り、内釜に移してから計量カップで1合あたり180〜200mlを入れれば、浸水の長さに関係なく水加減をそろえられます。

お米を研いだら、すぐに炊飯ボタンを押していいのか、それとも30分ほど待つべきなのか。料理本や家族によって言うことが違うので、毎回なんとなく決めている人も多いと思…
象印・タイガー・パナソニック・日立で何が違う?取扱説明書の読みどころ
メーカーごとに案内が違う前提で、自分の機種の記載を探す
もち米の炊き方は、炊飯器のメーカーや機種によって案内が異なります。1社の方法がそのまま別の炊飯器に当てはまるとは限りません。白米モードで炊ける、浸水は不要、蒸らしはなし、といった方法は広く紹介されていますが、最終的に優先すべきなのは、手元の炊飯器の取扱説明書です。
理由は、炊飯器ごとに加熱の流れや内釜の目盛りの付け方が違うからです。同じ白米モードでも、浸し・加熱・沸騰維持・蒸らしの時間配分は機種によって異なります。そのため、もち米を炊くときに水を何ml入れるのがよいかも、機種によって少しずつ変わり得ます。
やりがちなのは、ネットで見つけた別メーカーの手順をそのまま試し、うまくいかずに「もち米は炊飯器に向かない」と思ってしまうことです。合っていなかったのは米ではなく、手順と機種の組み合わせだった、ということがよくあります。
取扱説明書では、メニュー一覧の「もち米」「おこわ」の項目、水加減の表、使えないコースの注意書きの3か所を確認してください。紙の説明書が手元にない場合は、象印・タイガー・パナソニック・日立など、各メーカーのサポートページで型番から探せることが多いです。
おこわコースがある機種は、具材入りのときに出番がある
パナソニック製の炊飯器には、おこわ専用のコースがある機種があります。白米モードでも炊飯は可能ですが、具材を入れて炊くときはおかゆ・炊込み・おこわのコースを使うよう案内されており、もち米でおこわを作る場合は専用のコースを使うことが推奨されている、と紹介されています。
コースが分かれているのは、白いもち米だけを炊く場合と、具材や調味料を入れる場合とで、釜の中の条件が変わるからです。調味料が入ると米の吸水の進み方が変わり、具材からは水分が出ます。専用コースは、そうした違いを見込んで加熱の流れが組まれていると考えられます。
よくある失敗は、せっかくおこわコースがあるのに気づかず、栗や山菜を入れたもち米を白米モードで炊いてしまうことです。仕上がりにむらが出たり、底が焦げやすくなったりします。
メニューボタンや液晶の表示を一度確認し、おこわコースがあれば具材入りのときに使ってみてください。そのとき、水加減もおこわコース用の記載があればそちらに合わせます。コースと水加減は、取扱説明書の同じページで対になって案内されていることが多いので、セットで見るのがコツです。
圧力IH・土鍋圧力IHなど、加熱方式で仕上がりは変わる
タイガーの炊飯器には、圧力IH式や土鍋圧力IH式など複数の加熱方式があり、機能によって調理時間や火力が異なるとされています。白米モードで炊ける機種がある一方で、機種によって異なる場合がある、という点も押さえておきたいところです。
加熱方式が違えば、同じ水量でも炊き上がりの硬さや粘りの出方が変わります。圧力をかける方式は、沸点を上げて米の中心まで熱を通しやすくする仕組みです。同じ1合あたり180mlでも、圧力をかける炊飯器と、かけない炊飯器では、やわらかさの感じ方が違うことがあります。
やりがちな失敗は、以前使っていた炊飯器でうまくいった水量を、買い替えた新しい炊飯器にそのまま当てはめることです。加熱方式が変わると、同じ水加減でも硬すぎたりやわらかすぎたりします。
炊飯器を買い替えたら、もち米の水加減はいったんリセットして、目安の範囲の少ない側から試し直しましょう。タイガーの機種について紹介されている水の目安は1合あたり180〜190ml程度ですが、機種による差があるので、取扱説明書に記載があればそちらを優先してください。
もち米の炊き方は、メーカー・機種・加熱方式で案内が異なります。ネットの手順はあくまで出発点にして、取扱説明書の「もち米」「おこわ」の記載、水加減の表、使えないコースの注意書きを優先しましょう。買い替えたら水加減は試し直しが基本です。
日立の電子レンジレシピから読み取れる、浸水と水量の考え方
炊飯器ではありませんが、メーカーが公開しているもち米の調理例として参考になるのが、日立の電子レンジ(オーブンレンジ)のレシピです。ここでは、もち米を炊く前に分量の水に30分〜1時間ほどつけて十分吸水させること、水の量はもち米2カップ(4人分)で280〜320mlが目安であることが示されています。
この案内から読み取れるのは、加熱前に十分吸水させる手順のときは、加える水の量そのものは控えめになる、ということです。分量の水に長くつけて米に吸わせておけば、加熱中に足りなくなる心配が減ります。前の章で触れた、浸水と水加減を合わせて考える方法の具体例といえます。
ただし、これは電子レンジ用の手順です。電子レンジと炊飯器では加熱の仕組みも時間も違うため、この水量を炊飯器にそのまま当てはめるのはおすすめしません。よくある失敗は、調理器具の違いを見落として、別の器具の数値を流用してしまうことです。
炊飯器で炊くときは、浸水や水量の考え方だけを参考にし、具体的な量は炊飯器の取扱説明書か、1合あたり180〜200mlの目安から始めて調整してください。
わたぼうし・こがねもち・ときめきもち…品種で何が変わる?
北海道・宮城・新潟と、もち米にも産地ごとの品種がある
うるち米にコシヒカリやななつぼしがあるように、もち米にも品種があります。北海道でははくちょうもち、きたゆきもち、風の子もち、宮城県ではみやこがねもち、新潟県ではわたぼうしやこがねもちといった品種が知られています。
品種が違うのは、それぞれの土地の気候で育てやすく、収穫が安定するように選ばれ、育成されてきたからです。寒さに強い、倒れにくい、病気に強いといった栽培上の特性は、品種ごとに違います。どの品種もアミロペクチンが主体の「もち」であることは共通しているので、炊飯器での炊き方の基本は変わりません。
やりがちなのは、品種名だけで「この品種はやわらかいはず」「あの品種は硬いはず」と決めつけて、水加減を大きく変えてしまうことです。品種による違いは、水加減の基本を崩すほど大きいものではありません。
袋の表示で、品種名・産地・精米年月日を確認したら、炊き方はまず基本どおりに。同じ品種を続けて使うなら、そのうえで好みに合わせて水を一段階ずつ調整していくと、品種ごとのくせもつかみやすくなります。品種別の作付の動向は、米穀安定供給確保支援機構などが公表している資料で確認できます。
ときめきもちは、栽培上の特性で選ばれた東北向けの品種
品種の説明を読むときに知っておきたいのは、品種紹介には「食べたときの特徴」だけでなく「育てるときの特徴」が多く書かれている、という点です。たとえばときめきもちは、東北農業試験場により育成された、耐倒伏性およびいもち病圃場抵抗性に優れる良食味水稲糯品種と紹介されています(農研機構の資料)。
耐倒伏性は稲が倒れにくい性質、いもち病圃場抵抗性は田んぼでいもち病にかかりにくい性質のことです。どちらも収穫を安定させるための特性で、台所での炊き方を直接変えるものではありません。一方で、良食味という評価があることから、食味にも配慮して育成された品種だとわかります。
よくある誤解は、品種紹介に書かれた栽培上の長所を、そのまま「おいしさ」や「炊きやすさ」と読み替えてしまうことです。倒れにくい、病気に強いという情報は、農家にとっての長所だと区別して読みましょう。
品種の公式紹介を読むときは、育成元・育成の目的・食味の評価という3つの観点で拾うと、どんな位置づけの品種なのかが整理できます。
赤米のもち品種もある|夕やけもちと赤飯
もち米は白いものばかりではありません。夕やけもちは2006年に育成された赤米のもち品種で、赤飯や加工用にも使える品種として紹介されています。
赤飯といえば、一般にはもち米と小豆やささげで色をつけて作りますが、赤米のもち品種は、米そのものに色があるのが特徴です。もち性であることは白いもち米と同じなので、粘りの強さという性質は共通しています。色のついた品種を使うときも、炊飯器で炊く基本の考え方は、ここまで説明してきたものと変わりません。
やりがちなのは、色のついた米を見て「玄米のように長く浸水しないといけない」と考え、極端に浸水時間を延ばしてしまうことです。精米の度合いによって吸水のしやすさは変わるので、袋の表示や販売元の案内を確認するのが先です。
赤米のもち品種を使うときは、袋に書かれた炊き方の案内を優先し、なければ白いもち米と同じく1合あたり180〜200mlの目安から始めて、硬さを見ながら調整してください。
| 主な品種と産地 | 北海道(はくちょうもち・きたゆきもち・風の子もち)、宮城県(みやこがねもち)、新潟県(わたぼうし・こがねもち)、東北向け(ときめきもち)、赤米もち(夕やけもち)など |
| 食感・味の傾向 | アミロペクチンがほぼ100%で、もちもちして粘度が高い。粘りが強く、独特の甘みがあるとされる |
| 向いている料理・食べ方 | おこわ(栗・山菜・きのこ・桜など)、栗ご飯、さつまいもご飯、かぼちゃご飯、おにぎり、赤飯 |
| 炊き方のコツ | 洗米は4回・1分以内、水は1合に180〜200ml、白米モード(具材入りはおこわ・炊込み)、炊き上がったらすぐ釜底からほぐす |
おこわ・栗ご飯・おにぎりへ|具材を入れるときに変えるべきこと
おこわは「炊く」でも「蒸す」でも作れる米飯
おこわは、もち米を炊いたり蒸したりする米飯のことで、もち米独特の甘みとモチモチした食感が特徴とされています。具材は野菜・魚・肉などさまざまで、季節ごとに栗おこわ、山菜おこわ、きのこおこわ、桜おこわといった種類があります。
もともとおこわは蒸して作るものという印象が強いかもしれませんが、もち米は蒸し器を使わなくても炊飯器で炊くことができます。蒸す方法は、下から上がる蒸気で米に水分を与えながら加熱するため、水の量を調整しやすいのが特徴です。炊飯器で炊く方法は、最初に入れた水の量で仕上がりがほぼ決まるため、水加減がより大切になります。
やりがちなのは、具材から出る水分を計算に入れずに、白いもち米と同じ量の水で炊いてしまうことです。きのこや山菜のように水分の多い具材を入れると、そのぶん全体がやわらかくなりやすくなります。
コツは、調味料や具材の水分も「水の一部」と考えることです。しょうゆやだしを加える場合は、その分を含めて目安の水量になるようにし、具材は米の上にのせて、混ぜずに炊くとむらが出にくくなります。炊き上がってからさっくり混ぜ合わせましょう。
栗・さつまいも・かぼちゃは、具材の性質で扱いを変える
もち米を使った混ぜご飯には、栗ご飯、さつまいもご飯、かぼちゃご飯などがあります。どれも甘みのある具材で、もち米のもちもちした食感とよく合う組み合わせです。
ただ、具材の性質はそれぞれ違います。栗は火が通るまでに時間がかかり、さつまいもとかぼちゃは加熱するとやわらかく崩れやすい。かぼちゃは水分も多めです。こうした違いがあるため、同じ水加減・同じ切り方で入れても、仕上がりが変わってきます。
やりがちな失敗②は、具材入りのもち米を白米モードで炊き、さらに具材を米に混ぜ込んでしまうケースです。混ぜ込むと、具材の重さで米が押しつぶされたり、熱の伝わり方が偏ったりして、芯が残る部分とやわらかすぎる部分が出やすくなります。
状況:栗やさつまいもをもち米に混ぜ込み、調味料も入れて白米モードで炊いたら、底がやわらかすぎ、上のほうに芯が残った。
原因:具材と調味料で釜の中の条件が変わったのに、白いお米用のコースで炊いた。混ぜ込んだことで熱と水の行き渡りも偏った。
対策:具材は米の上に広げてのせ、混ぜずに炊く。コースはおこわ・炊込みを選び、炊き上がってからさっくり混ぜる。
具材の大きさをそろえ、米の上に平らに広げるのが基本です。崩れやすいさつまいもやかぼちゃは大きめに切ると形が残りやすくなります。
もち米おにぎりは、手を水でぬらしてやさしくまとめる
もち米は、おにぎりにすることもできます。粘りが強いので形がまとまりやすく、具材を混ぜたおこわを握るのも向いています。
一方で、粘りが強いということは、手やラップにくっつきやすいということでもあります。炊き上がったばかりのもち米は表面に水分と粘りがあるため、そのまま握ろうとすると手に張りつき、何度も触るうちに粒がつぶれていきます。粒がつぶれると、食感が重くなり、もちに近い状態になってしまいます。
やりがちなのは、うるち米のおにぎりと同じように、ぎゅっと強く握ってしまうことです。もち米は軽くまとめるだけで形が保てるので、強く握る必要はありません。
コツは、手を水でぬらしてから握るか、ラップを使って包むようにまとめること。塩をつける場合は、手水に溶かして使うと全体に行き渡りやすくなります。握る回数を少なくして、粒の形を残すように意識してみてください。

はじめての人・おこわを作りたい人・お弁当派で、選び方を変える
もち米の炊き方は、目的によって選ぶ手順が少しずつ変わります。台所での使い方に合わせて、出発点を決めておきましょう。
はじめてもち米を炊く人は、手早く洗って浸水なし、1合あたり180mlの水で白米モード、炊き上がったらすぐほぐす、という最小構成から始めるのがおすすめです。手順が少ないぶん、仕上がりを見て水を一段階ずつ調整しやすくなります。おこわや栗ご飯を作りたい人は、おこわコースか炊込みコースがあるかを先に確認し、具材は上にのせて混ぜずに炊く方法を基本にしましょう。古米を使うときや、しっとり仕上げたいときは、浸水を30分ほどとる方法が合っています。
お弁当やおにぎりに使いたい人は、粒感が残る仕上がりのほうが扱いやすいので、水は目安の少ない側を選ぶのがコツです。やわらかすぎると、詰めたり握ったりするときにつぶれやすくなります。
どの場合も、変えるのは一度に一つだけ。水か浸水か、どちらかを動かして仕上がりを比べると、自分の炊飯器と好みに合った炊き方が見つかります。
まとめ|もち米の炊き方 炊飯器で押さえる5つのポイント
もち米がべちゃついたり硬くなったりする原因の多くは、アミロペクチンがほぼ100%という性質を忘れて、白米と同じ感覚で水を入れてしまうことにあります。最初の一歩として、次にもち米を炊くときは内釜の目盛りを使わず、計量カップで1合あたり180mlの水を入れて白米モードで炊いてみてください。その仕上がりを基準に、水か浸水のどちらか一つだけを調整していけば、自分の炊飯器に合う炊き方が見えてきます。
※炊飯コースや水量の案内は機種ごとに異なります。最新の情報は各メーカーの取扱説明書・サポートページでご確認ください。

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