炊飯器のふたを開けたとたん、ぬかっぽいような、古い紙のような、少しすえたようなにおいがする。お米を替えたわけでもないのに、なぜか最近のご飯が米くさい。そんな違和感は、においに気づいたタイミングを振り返るだけで、原因のおおよその見当がつきます。
結論からいうと、ご飯がにおう原因は大きく4つです。精米してから時間がたった米の劣化と置き場所、研ぎきれずに残ったぬか、長すぎる保温や保温を切ったままの放置、そして炊飯器の内ぶたやパッキンの汚れ。農林水産省は精米後においしく食べられる目安を1か月くらいとしていて、象印やタイガーの取扱説明書には避けたい保温時間がはっきり書かれています。どれも、理由がわかれば今日から直せるものばかりです。
この記事では、においの出方から原因を見分ける方法、米の置き場所と容器の選び方、ぬかを残さない研ぎ方、古くなった米の炊き方、メーカーごとの保温時間の違い、炊飯器の手入れまで、なぜそうなるのかという理屈と一緒に順番に見ていきます。
・においに気づいたタイミングで分かる、4つの原因の見分け方
・精米後の劣化を遅らせる置き場所と容器の選び方
・ぬか臭さを残さない研ぎ方と、古くなった米を炊くときのコツ
・象印・タイガーの取扱説明書に書かれた保温時間の違いと炊飯器の手入れ
米くさいと感じたら、まず「いつにおうか」で原因を見分ける

袋を開けた時点でにおうなら、置き場所と精米後の時間を疑う
炊く前の生米の段階でにおいがするなら、原因はご飯ではなくお米そのものの状態にあります。真っ先に見直したいのは、どこに置いていたかと、精米してからどれくらいたっているかの2点です。
お米は袋に入れておけば外の空気から守られている、と思われがちですが、そうではありません。農林水産省は米袋について、「お米はこの穴から呼吸し、外の湿気や臭いにふれ、味が落ちる原因となります。」と説明しています(農林水産省「aff」記事)。売り場で見かけるお米の袋には小さな穴があいていて、まわりの空気と少しずつ行き来しているんですね。
台所でありがちなのは、シンク下やコンロの横、洗剤や調味料のそばに袋ごと置いておくケースです。湿気と熱がこもりやすく、においの強いものも近くにあるので、お米がそのにおいを拾ってしまいます。
袋を開けて鼻を近づけ、ぬかっぽさとは違う洗剤や油のようなにおいを感じたら、置き場所が原因の可能性が高いと考えてください。あわせて袋の精米時期の表示も確認しておくと、劣化の進み具合の見当がつきます。
炊きたての時点でにおうなら、研ぎ残しと乾燥を疑う
生米ではそれほど気にならないのに、炊きあがった瞬間にぬかっぽいにおいが立つなら、研ぎ方とお米の乾燥具合を見直します。
象印は、ご飯のにおいの原因について「お米の表面に付着したぬかや不純物もにおいの原因になります。」と案内しています(象印「暮らしのかくし味」)。精米しても表面にはぬかが薄く残っていて、それが研ぎ足りないまま加熱されると、においとして立ちのぼるわけです。
もう一つの原因が乾燥です。パナソニックは、乾燥したお米を普段どおりに炊くと芯が硬くなったりパサついたりするうえに、臭みが出ることがあると説明しています。精米から日がたって乾いたお米は、同じ水加減で炊いても仕上がりが変わってしまうんです。
炊きたてのにおいが気になる場合は、まず研ぎ方を見直し、それでも残るなら精米時期を確認して、古くなっている米向けの炊き方に切り替える、という順番で手を打つと原因を絞りやすくなります。
保温して時間がたってからにおうなら、保温の時間と使い方を疑う
炊きたてはおいしいのに、夜や翌朝になると嫌なにおいがしてくる。このパターンは、お米ではなく保温の時間や使い方に原因がある場合がほとんどです。
国民生活センターが2018年6月に公表した炊飯器の商品テストでは、長時間保温したご飯のにおいについて「24時間保温時点のご飯からは多数の好熱性細菌が検出され、腐敗臭の原因は、好熱性細菌が増殖したためと考えられました。」とまとめています(国民生活センター)。保温中の温かい釜の中でも、熱に強いタイプの細菌は増えることがあるんですね。
やりがちなのは、炊いたご飯を翌日の夜まで保温しっぱなしにしたり、電気代を気にして保温を切ったまま釜に入れておいたりするケースです。後者は意外な落とし穴なので、保温時間の章でくわしく取り上げます。
保温してからにおう場合は、炊飯器の取扱説明書の保温の項目を開いて、何時間以上の保温を避けるよう書かれているかを一度確かめてみてください。機種によって目安が違います。
どのお米で炊いてもにおうなら、炊飯器そのものを疑う
銘柄を替えても、新しい袋を開けても、炊いたご飯が同じようににおう。そんなときは、お米ではなく炊飯器の側に原因が残っている可能性があります。
パナソニックは炊飯器のにおいについて、「炊飯器の嫌なニオイは雑菌などが原因。」と説明しています(パナソニック「炊飯器のにおい」)。内釜は毎回洗っていても、内ぶたやパッキン、蒸気口のように取り外して洗う部分に汚れが残っていると、炊くたびにそのにおいがご飯に移ってしまいます。
よくあるのは、内釜だけ洗って内ぶたは月に一度程度、という使い方です。内ぶたには炊飯中の蒸気やおねばが当たるので、汚れがたまりやすい場所なんですね。
炊飯器が原因かどうかを確かめるには、内ぶたやパッキンを外して鼻を近づけてみるのが手っ取り早い方法です。においがあれば、手入れの章の手順で洗って乾かしてから、もう一度炊いてみてください。
| 気づいたタイミング | 考えられる主な原因 | 最初に見直すこと |
|---|---|---|
| 袋を開けたとき | 置き場所のにおい移り・湿気、精米後の劣化 | 置き場所と精米時期の表示 |
| 炊きたて | 研ぎ残したぬか・不純物、お米の乾燥 | 研ぎ方と水加減 |
| 保温して時間がたってから | 長時間保温、保温を切ったままの放置 | 取扱説明書の保温時間 |
| どのお米でも同じ | 内ぶた・パッキンの汚れ、雑菌 | 取り外せる部品の洗浄と乾燥 |
精米した日から始まる劣化——時間がたつと何が変わるのか
精米した直後から、お米の水分は少しずつ抜けていく
お米は精米したその日から、ゆっくり状態が変わりはじめます。においと食感の両方に影響するのが、水分が抜けていく乾燥です。
パナソニックは「お米に含まれる水分は、精米した直後から徐々に失われていき、乾燥が進むほどパサつきが増えて味も落ちていきます。」と説明しています(パナソニック「古米の炊き方」)。玄米のうちはぬかの層が中を守っていますが、精米でその層を削ると、むき出しになった表面から水分が出ていきやすくなるんですね。
乾燥が進んだお米は、同じ水加減で炊いても中心まで水が行き渡りにくく、芯が残ったりパサついたりしがちです。そこに臭みが重なると、なんだか米くさいご飯、という印象になります。
精米後の乾燥は止められませんが、遅らせることはできます。湿気の多い場所は避けつつ、袋の口を開けっぱなしにしない、乾燥しやすい冷蔵庫では密閉できる容器を使う、といった保存の工夫が効いてくるのはこのためです。
古米っぽいにおいは、表面に残るぬかの変化が一因とされる
精米から日がたったお米や、前の年のお米を炊いたときに感じる独特のにおい。一般に、お米の表面に残るぬかの成分が時間とともに変化することが、このにおいの一因とされています。
ぬかは油分を含む層なので、空気や温度、湿気の影響を受けやすい部分です。精米したての表面はきれいでも、時間がたつにつれて表面に残ったぬかの状態が変わり、炊いたときのにおいとして現れやすくなる、と考えると理屈がつながります。
実際、パナソニックは古米のにおいが気になる場合の対策として、研ぐ回数を増やすことを挙げています。においのもとが表面にあるからこそ、研いで落とすことが対策になるわけです。
ここでやりがちなのが、においを消そうとして力いっぱいゴシゴシ研ぐことです。乾燥して割れやすくなったお米を強くこすると粒が欠け、かえって炊きあがりがべたつく原因になります。回数は増やしても、力は入れすぎない。この加減は研ぎ方の章でくわしく紹介します。
袋の「精米時期」を見れば、残りのおいしい期間が読める
お米が今どれくらい劣化しているかを知る手がかりが、袋に書かれた精米時期の表示です。においが気になったら、まずここを確認してみてください。
消費者庁の食品表示に関する資料では、玄米及び精米の表示事項として、原料玄米(産地、品種、産年)、内容量、調製時期、精米時期又は輸入時期、食品関連事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号が挙げられています(消費者庁 資料)。精米時期は年月日のほか、年月と上旬・中旬・下旬の旬で表示することもできます。
見落としがちなのは、お米の袋に賞味期限が書かれていないことです。そのため、いつまでに食べればいいのかを判断する起点は精米時期になります。旬表示の場合は、その旬の最初の日から数えておくと安心です。
買うときは、家の消費ペースで食べきれる量かどうかを、精米時期と合わせて考えるのがコツです。量の多い袋を選ぶなら、次の章で紹介する小分け保存を前提にしましょう。
精米時期=玄米を精米した時期を示す表示。消費者庁の資料では、年月日、または年月と上旬・中旬・下旬の旬で表示する形が示されています。お米の袋には賞味期限の表示がないため、劣化の進み具合を読む起点になります。
「1か月くらい」はおいしく食べるための目安と考える
精米後どれくらいで食べきればいいのか。目安になるのが、農林水産省の示す期間です。
農林水産省は子ども向けの相談窓口で、「精米して時間がたつほど味が落ちるので、1か月くらいが目安になります。」と答えています(農林水産省「消費者の部屋」)。ここでいう目安は、おいしく食べるための期間として示されたものです。
ただし、これは置き場所が適切な場合の話です。高温多湿の場所に置いていれば、1か月を待たずににおいや味の変化が出てきますし、反対に冷蔵庫で保存していれば変化はゆるやかになります。精米時期だけでなく、どこに置いていたかもあわせて判断してください。
注意したいのは、においの種類です。ぬかっぽい古米のにおいではなく、かび臭さや、粒どうしが固まっている、色が変わっているといった変化があれば、劣化ではなくカビの可能性があります。その場合は研いでも炊いても食べられないので、見分け方を確認しておきましょう。

においを移さない置き場所は?温度・湿気・容器の3条件

精米した白米は、10~15℃で湿気と直射日光を避ける
お米の置き場所を選ぶときの条件は、温度・湿気・光の3つです。この3つがそろうと、においも劣化も進みにくくなります。
農林水産省は、「精米した白米は、低温(10~15℃)で湿気が少なく直射日光をさけた場所で保存します。」と案内しています(農林水産省「消費者の部屋」)。温度が高いほど、湿気が多いほど、お米の状態は変わりやすいということですね。
家の中で考えると、10~15℃を一年中保てる常温の場所はそう多くありません。冬場の北側の部屋なら近い環境になりますが、夏場の台所はまず無理です。窓際の明るい棚や、冷蔵庫の側面・上部のように放熱で温まる場所も、条件から外れてしまいます。
季節によって置き場所を変えるのも一つの方法です。涼しい時期は常温の冷暗所、暑くなってきたら冷蔵庫へ、と切り替えるだけで、においの出方は変わってきます。置き場所の候補を探すときは、温度計をしばらく置いてみると判断しやすくなります。
袋の小さな穴が、まわりのにおいを取り込む入口になる
お米の袋をそのまま置いておくと、袋の外のにおいがお米に移ることがあります。原因は、袋にあけられた小さな穴です。
農林水産省は、売られているお米の袋には小さな穴があり、お米はこの穴から呼吸して外の湿気や臭いにふれ、味が落ちる原因になると説明しています。袋に入っているから密閉されている、というわけではないんですね。
台所で問題になりやすいのは、洗剤やゴミ箱、灯油、香りの強い調味料の近くです。お米はまわりのにおいを拾いやすいので、炊いたときに米くさい、というより何か別のにおいが混じっていると感じたら、置き場所のまわりに何があるかを見回してみてください。
袋のまま置くなら、少なくともにおいの強いものからは離すこと。できれば、においを通しにくい密閉容器や食品保存袋に移し替えるのが確実です。
シンク下は配管まわりの湿気がこもりやすく、洗剤類も一緒に置かれがちな場所です。袋の小さな穴から湿気とにおいが入り、生米の段階でにおいがつく原因になります。対策は、密閉できる食品保存袋に移し、10~15℃に近い涼しい場所か冷蔵庫・野菜室へ移すこと。お米と洗剤を同じ収納に入れないことも大切です。
食品保存袋に小分けして、冷蔵庫や野菜室で保管する
においと劣化をまとめて防ぐなら、小分けと密閉、そして低温の組み合わせが効きます。
農林水産省は、購入後はチャックで密閉できる食品保存袋に小分けして、冷蔵庫や野菜室で保管することを勧めています。密閉すれば外のにおいと湿気を遮れて、冷蔵庫なら10~15℃より低い温度で保てるので、劣化の進み方がゆるやかになります。
小分けにする理由は、開け閉めの回数を減らすためです。大袋のまま毎回口を開けると、そのたびに空気が入れ替わり、袋の中に湿気が入ります。数回分ずつに分けておけば、まだ使わない分は封をしたままにできます。
移し替えるときは、容器や袋が乾いているかを必ず確認してください。洗ったばかりで水気が残った容器に入れると、それ自体がにおいやカビの原因になります。古いお米が残っている米びつに新しいお米を継ぎ足すのも、古い粒やぬかが底に残るので避けたいところです。

お米を買ってきたら、袋の口をクリップで留めて台所の隅へ置いておく。多くの家庭で見かける光景です。でも、ふとした拍子に「このまま袋で置いておいて本当に大丈夫なのか…
意外と見落とすのが、冷蔵庫の中での乾燥
冷蔵庫に入れておけば安心、と思いがちですが、冷蔵庫には冷蔵庫の注意点があります。それが乾燥です。
農林水産省は冷蔵庫を理想の保存場所としながらも、乾燥しやすいのでペットボトルに入れるか野菜室で保存するよう案内しています。冷蔵庫の中は湿度が低く保たれているので、口の開いた袋のまま入れておくと、精米後の乾燥がかえって進んでしまうんですね。
乾燥したお米は、前の章で見たとおり、炊いたときにパサつきや臭みが出やすくなります。においを防ぐつもりで冷蔵庫に入れたのに、袋の口が開いていたせいで別の原因を作っていた、というのは避けたいところです。
ペットボトルを使うなら、中をよく洗ってから完全に乾かしてから入れること。注ぎ口が狭いのでじょうごがあると楽です。野菜室に入れる場合も、密閉できる袋に入れておけば、野菜のにおいがお米に移るのも防げます。
研ぎ方でにおいは変わる?ぬか臭さを残さない洗い方
表面に残ったぬかや不純物は、炊くとにおいになる
研ぐ目的は、お米の表面に残ったぬかや不純物を落とすことです。ここが不十分だと、炊いたときにぬか臭さとして出てきます。
象印は、ご飯がにおうときの対策として「洗米をしっかり行い、ぬかや不純物をしっかり取り除きましょう。」と案内しています(象印「暮らしのかくし味」)。精米のときに大部分のぬかは削られていますが、粒の表面や溝にはわずかに残っていて、それを落とすのが研ぐ作業の役目です。
やりがちなのは、忙しい朝に水を一度注いで軽くかき混ぜただけで炊いてしまうケースです。濁った水がまだ白いまま炊飯すると、そのぬかがご飯にとどまり、炊きあがりのにおいにつながります。
目安は、水を替えたときの濁りが薄くなってくるかどうか。完全に透明になるまで研ぐ必要はありませんが、最初の白く濁った状態のまま炊くのは避けましょう。なお、無洗米はこのぬかをあらかじめ取り除いたお米なので、研ぎ方の考え方が変わります。
最初に注いだ水は、すぐに捨てる
研ぎ方で一番大事なのは、実は最初の一手です。お米に初めて水を注いだら、手早くかき混ぜてすぐに捨てます。
パナソニックは古米の炊き方の説明の中で、最初に入れた水はすぐに捨てるよう案内しています。乾いたお米は最初に触れた水をよく吸い込むので、ぬかが溶け出した濁った水に長くつけておくと、そのぬか臭い水をお米が吸ってしまうからです。
よくある失敗が、水を注いでから計量カップを片づけたり、炊飯器の準備をしたりして、しばらく放置してしまうことです。この数十秒の間にも、お米はどんどん水を吸っています。においの原因を自分からお米の中に入れてしまう形になるんですね。
最初の水は、注いだらサッと混ぜて即座に捨てる。これだけ意識すれば、残りの研ぎ方がいつもどおりでも、炊きあがりのぬか臭さはかなり変わってきます……と言いたいところですが、効果の大きさは米の状態によるので、まずは試してみてください。乾燥した古いお米ほど、この最初の一手の差が出やすいはずです。
古米っぽいにおいが気になるなら、研ぐ回数を増やしてもいい
精米から日がたったお米や古米のにおいが気になるときは、研ぐ回数を増やすのが一つの方法です。
パナソニックは「古米の匂いが気になる場合には、研ぐ回数を増やしてもいいでしょう。」と案内しています(パナソニック「古米の炊き方」)。においのもとは表面に残ったぬかにあるとされるので、研ぐ回数を重ねることで表面のぬかを落とし、においを和らげるという考え方です。
ここで注意したいのは、回数を増やすことと、力を入れることは別だという点です。においを落としたい一心でぎゅっと握るように研ぐと、乾燥してもろくなった粒が割れ、炊いたときに割れた部分からでんぷんが溶け出してべたつきます。
回数を増やすときも、指を立ててお米の中をくるくると回すように、粒どうしを軽くこすり合わせる程度にとどめましょう。研ぎ終わりは、水を替えてすすぐ工程を一度多めに入れると、落としたぬかが残りにくくなります。
乾燥したお米は割れやすいので、力を入れずに研ぐ
古くなったお米や乾燥したお米は、研ぐ力を弱めるのが基本です。においを落とすことと、粒を守ることの両方を考えます。
パナソニックは、乾燥したお米は割れたり欠けたりしやすいため、やさしく研ぐよう案内しています。水分が抜けたお米は内部にすき間ができてもろくなっていて、強い力が加わると簡単にひびが入ってしまうんですね。
割れた粒は、炊くときに割れ目から水が急に入り込み、表面が崩れてべたつく原因になります。においを消すために強く研いだのに、今度は食感が悪くなった、というのはよくある失敗です。泡立て器で研ぐ方法を見かけることもありますが、乾燥したお米には力が強すぎる場合があります。
やさしく研ぐコツは、手のひらで押しつけないこと。指先を軽く開いて、水の中でお米を泳がせるように混ぜるイメージです。研ぎ終わったら、ざるに長時間上げっぱなしにせず、すぐに水加減して浸水へ進みましょう。
古くなったお米・乾燥したお米はどう炊けばいい?
芯・パサつき・臭みが同時に出るのは、水が中まで届かないから
古くなったお米を炊くと、においだけでなく食感も変わります。この2つは別々の問題に見えて、根っこは同じ乾燥です。
パナソニックは「乾燥したお米は、普段の炊き方で炊くと芯が硬くなったり、パサつきや臭みが出ることがあります。」と説明しています(パナソニック「古米の炊き方」)。お米は水を吸ってから加熱されることで、中のでんぷんがやわらかくなります。乾燥したお米はいつもと同じ水加減・同じ時間では中心まで水が行き渡らず、その部分が芯として残るわけです。
ここでやりがちなのが、においと硬さの両方が気になるからと、精米時期を確かめずに炊飯器の故障や銘柄のせいにしてしまうことです。まずは袋を確認して、精米からどれくらいたっているかを見てみてください。
原因が乾燥だとわかれば、対策は水を補うことに集約されます。研ぎ方でにおいのもとを落とし、水加減と浸水で水分を補う。この2本立てで考えると、古くなったお米でも食べやすく炊けます。
水はいつもより、やや多めにする
乾燥したお米を炊くときは、水加減をやや多めにするのが基本です。足りなくなった水分を、炊く段階で補うという考え方です。
パナソニックは古米の炊き方として、やや水を多めにすると食感がやわらかくなると案内しています。乾いたお米は炊いている間にも多くの水を吸おうとするので、いつもの目盛りどおりだと水が足りず、硬くパサついた仕上がりになりやすいんですね。
反対に、新米のように水分を多く含んだお米で同じように水を増やすと、今度はべたつきます。水を多めにするのは、あくまで乾燥が進んだお米向けの調整だと考えてください。
増やし方のコツは、いきなり大きく変えないことです。内釜の目盛りの線より気持ち上に合わせるところから始めて、炊きあがりの硬さを見ながら次回に調整していきます。どのくらい増やすかはメーカーや機種によって案内が違うので、手元の取扱説明書に古米や乾燥米の項目があれば、そちらを優先しましょう。
事前の浸水で、中心まで水を届けてから炊く
水加減と並んで効くのが、炊く前の浸水です。乾燥したお米ほど、炊飯の前にしっかり水を吸わせておく意味があります。
パナソニックは、事前に浸水させると食感がやわらかくなると案内しています。お米が水を吸う速さには限りがあるので、加熱が始まる前に中心まで水を行き渡らせておけば、芯が残りにくくなり、パサつきや臭みも出にくくなります。
やりがちなのは、炊飯器に浸水の工程が組み込まれているからと、乾燥したお米でも研いだ直後にすぐ炊きはじめることです。普段のお米ならそれで十分でも、乾燥が進んだお米では吸水が追いつかないことがあります。
浸水の時間は季節の水温で変わり、炊飯器の機種によっても案内が異なります。研ぎ終わったお米を水加減した状態で置いておき、粒全体が白く不透明になっているかを目で確かめてから炊きはじめると判断しやすくなります。夏場に長く置く場合は、冷蔵庫に入れておくと安心です。
炊き方を変えてもにおうなら、お米の状態を見直す
研ぎ方を変えても、水加減と浸水を工夫しても、まだにおいが残る。その場合は、炊き方ではなくお米そのものの状態を見直す段階です。
これまで見てきた対策は、ぬかの残りや乾燥によるにおいに効くものです。置き場所で拾ってしまった洗剤や灯油のようなにおいは、研いでも抜けにくいことがあります。また、かび臭さや、粒が固まっている、色がついているといった変化は、劣化ではなくカビのサインかもしれません。
よくある失敗が、もったいないからと、においの強いお米を炊き込みご飯やチャーハンでごまかして食べきろうとすることです。ぬかっぽい古米のにおいなら味付けで気にならなくなることもありますが、カビが疑われるお米は調理方法に関係なく食べないでください。
判断に迷ったら、生米の状態で色・におい・固まりを確かめるのが確実です。原因が置き場所だったなら、次に買うお米からは保存の章の方法に切り替えて、同じことが起きないようにしましょう。
保温は何時間まで?取扱説明書と公的資料を並べると見える差
象印は、24時間(高め保温では12時間)以上の保温を避けるよう案内
保温したご飯のにおいを防ぐには、まず手元の炊飯器が何時間までの保温を想定しているかを知ることです。答えは取扱説明書に書かれています。
象印の炊飯ジャーの取扱説明書では、24時間(高め保温では12時間)以上の保温は避けるよう案内されています(象印 取扱説明書)。保温の温度設定を高めにすると、そのぶん避けたい時間が短くなっているのがポイントです。
一方で、においや味の面とは別に、省エネの観点からの目安もあります。省エネ製品情報ガイドの炊飯器の資料には「ご飯を炊飯器で保温するには、4時間までが目安です。」とあります(省エネ製品情報ガイド)。製品によって保温中の消費電力が違うため、時間も製品によって異なるとされています。
つまり、取扱説明書の時間は上限、省エネガイドの時間は電気を無駄にしない目安、と役割が違うんですね。においを防ぐ意味でも、上限ぎりぎりまで粘るより、早めに食べきるか冷凍に回すほうが安心です。
タイガーは、12時間以上の保温やしゃもじを入れたままの保温を避けるよう案内
保温時間の目安は、メーカーや機種によって違います。1社の数字をほかの炊飯器にそのまま当てはめないことが大切です。
タイガーの家庭用マイコン炊飯ジャーの取扱説明書では、してはいけないことの欄に、12時間以上の保温、しゃもじを入れたままの保温、冷やごはんの保温が挙げられています(タイガー 取扱説明書)。時間だけでなく、保温中の使い方まで具体的に書かれているのが特徴です。
冷やごはんの保温は、意外とやってしまいがちな使い方です。一度冷めたご飯を炊飯器に戻して保温しても、炊きたての状態には戻らず、においや黄ばみの原因になりやすいんですね。残ったご飯を冷蔵庫から出して炊飯器に足す、という使い方は避けましょう。
自分の炊飯器の保温時間がわからない場合は、取扱説明書の保温の項目か、注意事項のページを確認してください。取扱説明書が手元になくても、多くのメーカーは型番で取扱説明書を公開しています。
| 資料 | 書かれている内容 | 時間の扱い |
|---|---|---|
| 象印 炊飯ジャー取扱説明書 | 保温を使わずになべの中で保存するといやなにおいの原因になる | 24時間(高め保温では12時間)以上は避ける |
| タイガー 家庭用マイコン炊飯ジャー取扱説明書 | しゃもじを入れたままの保温、冷やごはんの保温を避ける | 12時間以上の保温は避ける |
| 国民生活センター 商品テスト(2018年6月) | 腐敗臭の原因は好熱性細菌の増殖と考えられた | 24時間保温時点で多数検出 |
| 省エネ製品情報ガイド(炊飯器) | 省エネの観点からの保温の目安(製品により異なる) | 4時間までが目安 |
国民生活センターのテストでわかった、長時間保温のにおいの正体
長く保温したご飯のにおいは、単なる風味の劣化だけではありません。国民生活センターの商品テストが、その正体を示しています。
国民生活センターは2018年6月に公表した炊飯器の商品テストで、24時間保温したご飯から多数の好熱性細菌が検出され、腐敗臭の原因は好熱性細菌の増殖と考えられたとしています(国民生活センター)。あわせて、取扱説明書にも24時間以上の保温はしないとの記載があったことに触れています。
保温中の釜の中は温かいので、菌は増えないと思われがちです。でも、熱に強い性質を持つ細菌もいて、長時間の保温ではそうした細菌が増えることがある、ということなんですね。保温を長く続けたご飯のにおいが、すえたような、すっぱいようなにおいになるのはこのためです。
保温してからのにおいが気になったら、時間の上限を守るのはもちろん、毎回の保温がどれくらい続いているかを見直してみてください。朝炊いて夜まで、夜炊いて翌朝まで、という使い方が続いているなら、食べる分以外は早めに冷凍に回すのが手です。
意外と知られていない、保温を切って釜に置くほうがにおう理由
電気代がもったいないからと、保温を切ってご飯を炊飯器の中に置いたままにしていませんか。実は、この使い方がにおいの原因になることがあります。
象印の取扱説明書には、「差込みプラグを抜いた状態、または、保温を取り消した状態で保温機能を使わずになべの中でご飯を保存するといやなにおいの原因になります。」と書かれています(象印 取扱説明書)。保温を切った釜の中は、温度が少しずつ下がりながら湿気もこもるので、ご飯にとって条件のいい場所とはいえないんですね。
象印は暮らしの情報ページでも、保温終了後にそのまま放置すると雑菌が繁殖しやすく、イヤなにおいの原因になることがあると案内しています。省エネのつもりが、においの近道になっていたわけです。
炊飯器の中に置くなら保温を使う、保温を使わないなら早めに取り出して冷ます。この二択で考えるとわかりやすくなります。取り出したご飯の扱い方は、別の記事でくわしく紹介しています。
省エネのつもりで保温を切り、ご飯を釜に入れたままにすると、象印の取扱説明書ではいやなにおいの原因になると案内されています。対策は、釜に置くなら保温を使い、取扱説明書の上限時間より前に食べきること。食べきれない分は早めに取り出して冷まし、冷凍に回しましょう。

夕飯の残りのご飯をラップで包んで、そのまま台所に置きっぱなし。翌朝それに気づいて、これは食べても平気なのかと手が止まった経験はありませんか。ラップでぴったり包ん…
炊飯器が米くさいときは?内ぶた・パッキン・しゃもじを見直す
炊飯器の嫌なにおいは、雑菌などが原因とされる
お米を替えても同じにおいがするなら、炊飯器の中ににおいのもとが残っている可能性があります。パナソニックはその原因を雑菌などとしています。
パナソニックは炊飯器のにおいについて、「炊飯器の嫌なニオイは雑菌などが原因。」と説明し、内ふたやパッキンなど汚れが残りやすい部分も洗って、しっかり乾燥させることを対策に挙げています(パナソニック「炊飯器のにおい」)。炊飯中は蒸気やおねばが部品のすき間に入り込むので、内釜だけ洗っていても汚れが残りやすいんですね。
やりがちなのは、内釜はきれいに洗っているのに、内ぶたは汚れが見えないからと拭くだけで済ませてしまうことです。見た目はきれいでも、パッキンの溝や蒸気口の裏側に汚れがたまっていることがあります。
においが気になったら、取扱説明書で取り外せる部品を確認し、全部外して見てみてください。においのする部品があれば、そこが原因の候補です。取り外し方は機種ごとに違うので、無理に引っ張らず説明書どおりに外しましょう。
内ぶたやパッキンまで洗って、しっかり乾かす
炊飯器のにおい対策は、洗うことと乾かすことの2つで1セットです。どちらか片方だけでは、においが残りやすくなります。
パナソニックが乾燥まで含めて対策としているのは、洗ったあとに水気が残っていると、そこがまた雑菌の増えやすい場所になるからです。湿ったままの内ぶたを本体に取り付けてふたを閉めると、次に炊くまでの間ずっと湿気がこもった状態になります。
よくある失敗が、夜に部品を洗って、すぐ本体に戻してふたを閉めてしまうことです。洗ったのににおいが取れない、と感じる場合は、乾燥が不十分なことが原因になっているかもしれません。
洗ったあとは、部品を布巾で拭いてから風通しのよい場所でしばらく乾かし、本体に戻すのは完全に乾いてからにしましょう。使わない時間帯は、本体のふたを少し開けておくのも湿気をこもらせない工夫になります。手入れの頻度や洗剤の使い方は、メーカーによって案内が異なるので取扱説明書を確認してください。
しゃもじを入れたまま保温・保管しない
炊いたご飯をよそったあと、しゃもじを釜の中に入れたままふたを閉める。手軽ですが、においの原因になる使い方です。
象印は、しゃもじなどのプラスチック製品を入れたまま保温・保管すると、プラスチックのにおいがご飯に移ったり、雑菌の繁殖を招いたりすることがあるとして、「保温・保管時には、内釜に何も入れないようにしましょう。」と案内しています(象印「暮らしのかくし味」)。タイガーの取扱説明書でも、しゃもじを入れたままの保温は避けることに挙げられています。
しゃもじは手や口に触れたご飯粒がつきやすい道具なので、それを温かい釜の中に入れておくと、においや雑菌のもとを釜の中に持ち込むことになります。ご飯の表面がしゃもじの部分だけ変色していた、という経験があれば、それがサインです。
しゃもじは使ったらすぐ取り出し、洗ってから置き場所に戻すのが基本です。しゃもじ立てを使うなら、炊飯器の横に置けば取り出しの手間も気になりません。
暮らし方別、においを出さないご飯の回し方
においを防ぐコツは、生活のリズムに合わせてご飯の流れを決めておくことです。家族の人数や食べる時間によって、向いている回し方が変わります。
ひとり暮らしで炊く回数が少ない人は、お米の劣化に注意が必要です。大きな袋を買って長く置くより、精米後1か月くらいで食べきれる量を選び、食品保存袋に小分けして冷蔵庫に入れておくと、においが出にくくなります。炊いたご飯も、食べる分以外はすぐに冷凍に回すと保温時間を気にせずに済みます。
共働きで朝に炊いて夜も食べる家庭は、保温時間が長くなりがちです。取扱説明書で自分の炊飯器の保温の上限を確認し、夜までに上限を超えそうなら、炊きあがったら朝の分以外を冷凍する、という流れにしてみてください。
家族が多く毎日たくさん炊く家庭は、炊飯器の部品の汚れがたまりやすいので、内ぶたやパッキンの手入れを習慣にするのが近道です。どの家庭でも、保温を切ったまま釜に置く使い方だけは避けましょう。
炊飯器のにおい対策は、内ぶたやパッキンなど取り外せる部品まで洗い、しっかり乾かしてから戻すことが基本です。保温中・保管中は内釜にしゃもじなどを入れず、保温を切ったまま釜にご飯を置かないようにしましょう。部品の外し方や洗い方は、取扱説明書の手入れのページで確認できます。
まとめ:においに気づいたタイミングから原因をたどる
ご飯のにおいは、袋を開けたとき、炊きたて、保温後、どのお米でも同じ、という気づいたタイミングで原因がほぼ分かれます。今日できる最初の一歩は、台所にあるお米の袋の精米時期を見て、置き場所がシンク下やコンロのそばになっていないかを確かめること。そのうえで、次に炊くときは最初の水をすぐ捨てるところから試してみてください。
※保温時間や手入れの方法は機種によって異なります。最新の情報は各メーカーの取扱説明書・公式ページでご確認ください。

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