玄米を炊いたら芯が残った、ボソボソして飲み込みにくかった、逆にべちゃっとしてしまった。玄米を炊き始めたばかりのころは、こうした迷いが出やすいものです。白米と同じ感覚で水を入れると、玄米はまず思いどおりに炊けません。原因の多くは、水の量と水を吸わせる時間にあります。
先に結論をお伝えします。玄米の水加減は、炊飯器の内釜に刻まれた玄米用の目盛り(水位線)に合わせるのが基本です。白米より水を多く入れるのは、玄米が硬く、表面のぬか層が水を通しにくいためです。浸水させる場合は最低でも2〜3時間、寒い季節は5〜6時間以上が目安とされています。玄米メニューを備えた炊飯器なら、吸水の工程がコースに組み込まれている機種もあります。
この記事では、象印・タイガー・パナソニック・東芝・日立・三菱電機の6社が公開している取扱説明書や解説ページを並べて、水加減の示し方の違いを整理しました。あわせて、農林水産省の解説をもとに「なぜ芯が残るのか」を理屈から説明します。洗い方や量り方、白米との混ぜ炊き、分づき米や発芽玄米との違いまで扱いますので、自分の炊飯器での答えを見つける手がかりにしてください。
・玄米の水加減を内釜の玄米用目盛りで決める理由と、白米より水が多く要るわけ
・6社の取扱説明書で、水位目盛・炊飯容量・炊き上がり時間がどう違うか
・浸水2〜3時間(冬5〜6時間以上)が必要な理由と、芯が残る仕組み
・白米との混ぜ炊き、分づき米、発芽玄米で水加減がどう変わるか
玄米の水加減は内釜の玄米目盛りが答え|白米の線で炊くと硬くなる理由

目盛りどおりに入れれば、大きく外すことはない
玄米の水加減で迷ったら、まず内釜の側面を見てください。玄米コースのある炊飯器なら、白米の線とは別に玄米用の目盛りが刻まれているはずです。その線まで水を入れるのが、どのメーカーにも共通する基本の答えです。
タイガーは玄米の炊き方の解説で「玄米用の目盛りを目安に水を入れます。」と案内しています(タイガー魔法瓶の解説ページ)。パナソニックも「水の量は、炊飯器に記載されている玄米用の目盛り位置まで水を入れましょう。」と書いています(パナソニックの解説ページ)。目盛りは、その炊飯器の玄米コースの加熱の流れに合わせて、メーカーが水の量を決めた線です。一般的な「水は何倍」という数字よりも、手元の機種の線のほうが当てになるのはこのためです。
台所でやりがちなのが、玄米を量ったあと、いつもの癖で白米の線に合わせてしまうことです。玄米は白米より多くの水を必要とするので、白米の線では水が足りず、硬い炊き上がりになりやすくなります。合数を揃えたつもりでも、線を見間違えれば結果は変わります。
水を入れるときは、内釜を平らな台に置いてから、真横から目線を合わせて線を確認しましょう。斜め上からのぞき込むと、水面と線の位置がずれて見えます。合数は、内釜に入れた玄米と同じ数字の玄米の線を選ぶのが基本です。
白米より水が多く要るのは、ぬか層が水を通しにくいから
玄米の目盛りが白米の線より高い位置にあるのには、はっきりした理由があります。玄米はぬか層と胚芽を残したままのお米なので、白米より硬く、水が中まで入りにくいのです。
タイガーは「玄米は硬く、また食物繊維が含まれているため、白米に比べて水を多めにする必要があります。」と解説しています(タイガー魔法瓶の解説ページ)。農林水産省の解説でも、玄米は精白米より長い時間炊飯する必要があり、硬い食感を感じる傾向もあるとされています(農林水産省「お米の機能性」)。ぬか層が残っているため、白米と同じ炊き方では硬くなりやすいとされています。
白米は精米の段階でぬか層が削られ、でんぷんの多い胚乳がむき出しになっています。水に浸ければ表面からすぐに吸い込みます。玄米は、その外側を水を通しにくい層が覆っている状態です。同じ時間、同じ量の水では、中心まで水が届く前に加熱が始まってしまいます。水を多めにし、時間をかけて吸わせる必要があるのはこのためです。
なお、ここで触れている食物繊維はあくまで炊き方の理由としての話です。玄米の栄養面については、この記事では扱いません。水加減を考えるうえで覚えておきたいのは、玄米は水が入りにくいお米だという一点です。
目盛りの名前と位置はメーカーごとに違う
玄米の目盛りは、どの炊飯器でも同じ高さにあるわけではありません。名前も位置も、メーカーや機種ごとに違います。自分の内釜の表示を、取扱説明書と照らし合わせて読むのが確実です。
パナソニックはFAQで「「玄米」の線に合わせて入れてください。」と案内しています(パナソニックFAQ「玄米の炊き方」)。象印の取扱説明書では玄米の水位目盛、日立の取扱説明書では健康メニュー表に玄米の目盛を使う指定があり、分づき米には別に分づき米の目盛が用意されています。東芝は白米と玄米を混ぜる場合に混合の水位目盛を使うよう案内しています。同じ玄米でも、どの線を使うかの指定は機種によって分かれています。
やりがちなのは、別のメーカーの炊飯器で覚えた水加減を、買い替えた炊飯器にそのまま持ち込むことです。前の機種で「玄米の線より少し上」が好みだったとしても、新しい機種では線の位置そのものが違うことがあります。
買い替えたら、最初の一回は取扱説明書の指定どおりの線で炊いてみましょう。好みに合わせて調整するのは、その炊き上がりを確かめてからでも遅くありません。
水位目盛(水位線)=内釜の内側に刻まれた、お米の種類と合数ごとの水の量を示す線。白米・無洗米・玄米・おかゆなどで線が分かれ、メーカーや機種で名前と位置が異なります。
ぬか層=玄米の外側を覆う層。精米で削ると白米になります。玄米は水を通しにくいこの層が残っているため、吸水に時間がかかります。
6社の取扱説明書を並べると?水加減は数値ではなく線で示されている
象印とタイガーは、目盛りと吸水の工程をセットで案内している
象印とタイガーの資料を読むと、水加減の線と、玄米に水を吸わせる工程がセットで説明されているのがわかります。水の量だけでなく「どう吸わせるか」まで含めて、ひとつの炊き方として設計されています。
象印の炊飯ジャーの取扱説明書では、玄米の炊飯容量が1.0Lタイプで1〜4合、1.8Lタイプで2〜8合と示されています(象印 取扱説明書PDF)。玄米活性メニューは「なべ内の温度を約40℃で2時間維持しますので」と説明され、炊き上がりまで約3時間5分〜3時間10分かかります。タイガーは、玄米メニューには吸水の工程が含まれているため、吸水させずにすぐスイッチを入れて炊けると解説しています(タイガー魔法瓶の解説ページ)。
ここで起きやすい勘違いが、「玄米メニューで炊けば水加減は適当でいい」と考えてしまうことです。メニューが吸水を受け持ってくれても、水の量そのものは目盛りで決めなければなりません。線より少ない水では、吸水の工程を経ても吸う水が足りません。
象印・タイガーの炊飯器を使っている場合は、取扱説明書のメニュー一覧で、玄米のメニュー名と、それに対応する水位目盛を一緒に確認しておきましょう。
パナソニックと東芝は、玄米の線と混合の目盛りを使い分けている
パナソニックと東芝の資料では、玄米だけを炊くときと、白米と混ぜるときの扱いがはっきり分かれています。同じ「玄米を含むごはん」でも、使う線が違うということです。
パナソニックのFAQでは、玄米の線に合わせて水を入れること、炊飯容量の目安は5.5合炊きで1〜3合、1升炊きで1〜7合であること、炊飯時間は機種により異なり最大約120分であることが案内されています(パナソニックFAQ「玄米の炊き方」)。東芝は、白米と玄米を混ぜて炊く場合、洗米してから内釜の混合の水位目盛に合わせて水を入れるよう案内しています(東芝ライフスタイルの解説ページ)。
見落としやすいのは、5.5合炊きの炊飯器で玄米を炊ける量です。白米なら5.5合まで炊ける機種でも、パナソニックのFAQでは玄米の目安が1〜3合とされています。家族分をいつもの合数で入れると、玄米では容量の範囲を超えてしまいます。
パナソニックの炊飯器を使っている人は、玄米の線と炊飯容量の両方を、東芝の炊飯器を使っている人は混合の目盛りがあるかどうかを、まず内釜で確かめておきましょう。
日立と三菱電機は、型番ごとに容量と目盛りの位置を明記している
日立と三菱電機の取扱説明書は、型番ごとのメニュー表に、玄米の水位目盛・炊飯容量・炊き上がり時間を細かく載せています。自分の型番の表を読めば、ほぼすべての答えがそこにあります。
日立のIH炊飯器RZ-EG10Jの取扱説明書では、玄米は玄米の目盛を使い、炊飯容量は1.0Lタイプで1.0〜4.0カップ、1.8Lタイプで2.0〜7.0カップ、炊き上がりの目安は65〜100分とされています(日立 取扱説明書PDF)。三菱電機のIH炊飯器NJ-XWA10Jの取扱説明書では、玄米・健康玄米の炊飯容量が0.18〜0.54L (1〜3合)で、玄米3カップの例では水位目盛の玄米の3に水加減するよう示されています(三菱電機 取扱説明書PDF)。
ありがちな失敗は、カップと合を混同することです。取扱説明書の「カップ」は、炊飯器に付属している計量カップのことを指しています。家庭にある別の計量カップで量ると、目盛りとの対応がずれてしまいます。
日立・三菱電機の炊飯器を使う場合は、付属の計量カップで量り、メニュー表の玄米の行と水位目盛の列を指でたどって確認すると、迷いがなくなります。
| メーカー | 水加減の示し方 | 玄米の炊飯容量・時間 | 浸水・洗い方の記載 |
|---|---|---|---|
| 象印(炊飯ジャー取扱説明書) | 玄米の水位目盛。炊きこみご飯は玄米3カップで玄米の水位目盛3まで | 1.0Lタイプ1〜4合/1.8Lタイプ2〜8合。玄米活性は約3時間5分〜3時間10分 | もみ殻などを取り除く程度に洗う。玄米活性は約40℃で2時間維持 |
| タイガー(公式解説) | 玄米用の目盛りが目安。白米メニューなら白米の水より多めに | 取得した解説に記載なし | 玄米メニューは吸水工程込み。浸水するなら最低2〜3時間 |
| パナソニック(FAQ・解説) | 玄米の線に合わせる。白米・無洗米・雑穀は混ぜない | 5.5合炊き1〜3合/1升炊き1〜7合。最大約120分 | 最低2〜3時間、冬場5〜6時間以上。もみ洗いは内鍋で行わない |
| 東芝(公式解説) | 白米と混ぜる場合は混合の水位目盛 | 取得した解説に記載なし | ひたし時間は白米の4倍。真空で吸水させる機種あり |
| 日立(RZ-EG10J取扱説明書) | 玄米の目盛。分づき米は分づき米の目盛でコースは玄米 | 1.0Lタイプ1.0〜4.0カップ/1.8Lタイプ2.0〜7.0カップ。65〜100分 | 取得した資料に記載なし |
| 三菱電機(NJ-XWA10J取扱説明書) | 水位目盛の玄米。3カップなら玄米の3に水加減 | 0.18〜0.54L (1〜3合) | 取得した資料に記載なし |
自分の答えは取扱説明書のメニュー表に書いてある
6社を並べてわかるのは、玄米の水加減を「米1に対して水いくつ」という数字で示しているメーカーは見当たらず、どこも内釜の線で示しているということです。つまり、自分の炊飯器での正解は、自分の取扱説明書にしか書かれていません。
線で示す理由は、炊飯器ごとに内釜の形や加熱の仕方、コースの流れが違うからだと考えられます。同じ1合でも、どれだけ水を足せばちょうどよく炊けるかは、内釜の広さや加熱方式で変わります。メーカーはそれを見越して、機種ごとに線を刻んでいます。
やりがちなのは、取扱説明書をなくしてしまい、ネットで見かけた一般的な水の倍率で炊いてしまうことです。機種に合わない水の量で炊けば、芯が残ったり、べたついたりする原因になります。
取扱説明書が手元にない場合は、炊飯器本体に貼られた銘板で型番を確かめ、メーカーのサポートページで同じ型番の取扱説明書を探しましょう。今回参照した象印・日立・三菱電機のように、PDFで公開しているメーカーもあります。見るべきは、メニュー表の玄米の行、水位目盛の欄、炊飯容量の欄の3か所です。
なぜ玄米の浸水は2〜3時間も必要なのか

白米の目安は30〜60分、玄米は白米の4倍かかる
白米の浸水は、短い時間で済みます。農林水産省の解説では、うるち米は吸水曲線をもとに最低30分、できれば60分の浸漬が必要とされています(農林水産省「お米の特性」)。水温30℃以下での吸水率は20〜25%程度とされています。これは白米の話で、玄米はさらに時間がかかります。
東芝は「玄米は吸水しにくいので、ひたし時間は白米にくらべて4倍かかります。」と解説しています(東芝ライフスタイルの解説ページ)。前の章で触れたように、玄米はぬか層が水の入り口をふさいでいるような状態です。白米なら表面のどこからでも水が入るのに対し、玄米は入り口が限られているため、中心まで水が届くのに時間がかかります。
白米の感覚で「30分浸けたから大丈夫」と思って玄米を炊くと、表面は柔らかくても中に硬さが残ることがあります。白米の目安をそのまま玄米に当てはめると、時間が足りなくなるのです。
玄米メニューのない炊飯器や、白米メニューで炊く場合は、浸水時間を白米とは別物として考えてください。タイガーとパナソニックは、玄米の浸水を最低でも2〜3時間としています。
冬は5〜6時間以上、夏は冷蔵庫で浸す理由
玄米の浸水時間は、季節で変えるのが基本です。パナソニックは「浸水時間の目安は、最低でも2~3時間、冬場の場合には5~6時間以上の浸水が理想です。」と案内しています(パナソニックの解説ページ)。
季節で差が出るのは、水温によって吸水の速さが変わるからです。水が冷たいと、お米が水を吸う速さは落ちます。冬の水道水は冷たく、台所の室温も低いため、同じ2〜3時間では中心まで水が届きにくくなります。冬場に長めの時間が示されているのは、このためです。
一方で、夏は気温が高く、水に長く浸けておくと傷みやすくなります。タイガーは浸水について「(※夏場は冷蔵庫、涼しい時期は常温で浸水させてください。)」と添えています(タイガー魔法瓶の解説ページ)。夏に何時間も常温の台所に置きっぱなしにするのは避けたいところです。
夏はボウルにラップをかけて冷蔵庫へ、春や秋の涼しい時期は常温で、冬は時間を長めに取る。この3つの使い分けを覚えておけば、季節が変わっても対応できます。冷蔵庫で浸水させた場合は水温が低いぶん、吸水がゆっくり進む点も頭に入れておきましょう。
浸水が足りないと、なぜ芯が残るのか
芯が残る原因は、加熱が始まる前に、お米の中心まで水が届いていないことです。白米でも玄米でも、この仕組みは同じです。
農林水産省は「加熱前の予備浸水で十分吸水させないと、米粒表層部の組織のでんぷんが先に糊化し、米粒中心部への水の浸透や熱の伝導が妨げられ、芯のある飯になります」と説明しています(農林水産省「お米の特性」)。外側のでんぷんが先に糊のように変わると、それが壁になって、中心へ水も熱も入りにくくなります。最初の吸水が足りないと、あとから挽回しにくいということです。
玄米の場合は、ぬか層がもともと水を通しにくいので、この失敗がより起きやすくなります。白米メニューで炊く日に浸水を短く切り上げると、外は柔らかいのに中が硬い、ちぐはぐな炊き上がりになりがちです。
芯が残ったときは、水の量よりも先に、浸水時間とコースを疑ってみてください。玄米メニューを使ったか、白米メニューならどのくらい浸けたかを振り返ると、原因が見つかりやすくなります。
状況:朝、白米と同じように30分ほど浸けてから白米メニューで玄米を炊いたら、外は柔らかいのに中に硬い芯が残った。
原因:玄米はぬか層が水を通しにくく、東芝の解説ではひたし時間が白米の4倍かかるとされています。吸水が足りないまま加熱すると、外側のでんぷんが先に糊化して中心へ水と熱が届きません。
対策:白米メニューで炊くなら最低2〜3時間、冬場は5〜6時間以上浸けます。時間が取れない日は、吸水工程を含む玄米メニューを使いましょう。
玄米モードがある炊飯器なら浸水はいらない?
タイガーの玄米メニューは、吸水の工程をコースに含んでいる
玄米メニューのある炊飯器なら、事前の浸水を省ける機種があります。タイガーはその代表的な例として、玄米メニューの仕組みを公開しています。
タイガーは、玄米メニューには吸水の工程が含まれているため、吸水させずにすぐにスイッチを入れて炊くことができると解説しています(タイガー魔法瓶の解説ページ)。前の章で説明した長い浸水の役割を、炊飯器が引き受けてくれるということです。洗って目盛りまで水を入れたら、そのままスイッチを入れられます。
ただし、これは玄米メニューを選んだ場合の話です。急いでいるときに、白米の早炊きや普通のコースで玄米を炊いてしまうと、吸水の工程が入らず、硬い炊き上がりになります。コースの選び間違いは、水加減の間違いと同じくらい結果を左右します。
スイッチを入れる前に、表示がきちんと玄米のメニューになっているかを確認する習慣をつけましょう。前回白米を炊いたときの設定が残っていることもあります。
象印の玄米活性メニューは約40℃で2時間保ってから炊く
象印の炊飯ジャーの取扱説明書には、玄米活性というメニューが載っています。浸水を炊飯器の中で管理し、温度を保ってから炊く仕組みです。
取扱説明書では「なべ内の温度を約40℃で2時間維持しますので」と説明されており、炊き上がりまでは約3時間5分〜3時間10分かかります(象印 取扱説明書PDF)。冷たい水で何時間も浸けておく代わりに、ぬるい温度を保つことで、季節に左右されにくい形で水を吸わせていると読み取れます。
このメニューで気をつけたいのは、所要時間の長さです。玄米活性は3時間を超えるため、夕食の直前に思い立ってスイッチを入れても間に合いません。パナソニックのFAQでも玄米の炊飯時間は機種により最大約120分、日立RZ-EG10Jでは65〜100分とされ、玄米はどのメーカーでも白米より時間がかかります。
玄米を炊く日は、取扱説明書でコースの所要時間を確かめ、食べる時刻から逆算して炊き始めましょう。予約機能が玄米メニューで使えるかどうかも、機種ごとに取扱説明書で確認しておくと安心です。
それでも硬いと感じたら、2時間ほど吸水させてみる
玄米メニューを使い、目盛りどおりに水を入れても、炊き上がりが硬いと感じることはあります。その場合は、水を増やす前に、事前の吸水を足してみるのがひとつの方法です。
タイガーは、玄米メニューで炊いて硬いと感じた場合には、事前に2時間ほど吸水させてみるとよいと案内しています(タイガー魔法瓶の解説ページ)。玄米は、同じ品種や産地でも、乾き具合や保存状態によって水の吸い方が変わります。コースの吸水工程だけでは足りないお米もあるということです。
硬さを感じたときにやりがちなのが、いきなり目盛りより大きく水を足すことです。吸水が足りていないのが原因なら、水を増やしても中心の硬さは残り、表面だけが柔らかくべたつく結果になりかねません。
まずは水は目盛りのまま、事前吸水を加えて炊いてみる。それでも好みより硬ければ、次に目盛りからほんの少し水を足す。このように一度に一つずつ変えると、何が効いたのかが分かりやすくなります。
生活のリズム別、玄米の炊き方の使い分け
玄米の炊き方は、家庭の生活のリズムに合わせて選ぶと続けやすくなります。正解は一つではなく、どの工程を炊飯器に任せ、どの工程を自分で受け持つかの違いです。
初めて玄米を炊く人は、玄米メニューと玄米の目盛りの組み合わせから始めましょう。取扱説明書どおりの炊き上がりを一度知っておくと、その後の調整の基準ができます。朝のうちに準備できる人は、出かける前に浸水させておき、帰宅後に炊く流れが組めます。ただし夏はタイガーの案内どおり冷蔵庫で浸水させてください。
柔らかめが好きな人は、玄米メニューでも事前に2時間ほど吸水させてみる方法が合います。玄米メニューのない炊飯器を使っている人は、白米メニューで水を多めにし、浸水を最低2〜3時間、冬は5〜6時間以上取るのが基本です。時間に追われがちな人は、所要時間の長い玄米活性のようなメニューは休日に回し、平日は吸水工程込みの通常の玄米メニューを使うなど、コースを使い分けるのも手です。
どの使い方でも、水の量は目盛り、吸水は時間かコースで確保する、という二本立ては変わりません。このどちらかが欠けたとき、炊き上がりは崩れます。
玄米コースがない炊飯器・鍋で炊くときの水の考え方
白米メニューで炊くなら、水は白米の量より多めにする
玄米メニューがない炊飯器でも、玄米が炊けないわけではありません。ただし、白米の線のままでは水が足りないので、白米より多めの水にする必要があります。
タイガーは、白米メニューで玄米を炊く場合は、白米メニューの水の量より多めにするよう解説しています(タイガー魔法瓶の解説ページ)。あわせて、玄米の場合は最低でも2〜3時間は浸けておくよう案内しています。白米メニューには玄米向けの吸水工程が含まれていないため、水の量と浸水時間の両方を自分で補う必要があるわけです。
ここで「多めとは具体的にどのくらいか」が気になると思いますが、メーカーの解説には、白米メニューで炊く場合の玄米の水の数値は示されていません。内釜の形や加熱の仕方で適量が変わるためだと考えられます。ネットで見かけた倍率をそのまま当てはめると、機種によってはべたつくことがあります。
白米メニューで炊くときは、まず白米の線より少し多めの水から始め、炊き上がりを見て次回に調整してください。浸水時間を十分に取ることのほうが、水を大きく増やすことよりも芯を防ぐ効果を期待できます。
玄米で炊ける量は、白米より少なく決められている
玄米を炊くときは、水加減と同じくらい「何合まで炊けるか」に注意が必要です。多くの炊飯器で、玄米の炊飯容量は白米より少なく設定されています。
例えばパナソニックのFAQでは、5.5合炊きの玄米の目安は1〜3合、1升炊きでは1〜7合です(パナソニックFAQ「玄米の炊き方」)。三菱電機NJ-XWA10Jの取扱説明書でも玄米・健康玄米は0.18〜0.54L (1〜3合)と示されています(三菱電機 取扱説明書PDF)。象印の1.0Lタイプは1〜4合、日立RZ-EG10Jの1.0Lタイプは1.0〜4.0カップと、上限は機種によって違います。
なぜ玄米だけ上限が低いのか、その理由は今回参照した資料には明記されていません。いずれにしても、メーカーが定めた範囲を超えて炊くと、目盛りの線そのものが用意されていない領域に入ってしまいます。家族分を一度に炊こうとして、白米と同じ合数を入れるのは避けましょう。
家族の人数が多い家庭では、玄米を2回に分けて炊く、あるいは取扱説明書で玄米の上限を確かめたうえで量を決めるのが安全です。炊く前に容量表を見ておけば、内釜に玄米を入れてから慌てずに済みます。
土鍋や鍋には目盛りがない、だから浸水と火加減で補う
土鍋や鍋で玄米を炊くときは、内釜のような水位目盛がありません。水の量は自分で量って決め、吸水は浸水時間で、炊き上がりは火加減で整える必要があります。
鍋炊きでも、玄米が水を吸いにくいという性質は変わりません。農林水産省の解説にあるとおり、加熱前の吸水が足りないと外側のでんぷんが先に糊化し、芯のあるご飯になります。目盛りという手がかりがないぶん、浸水を十分に取ることが、炊飯器以上に結果を左右します。冬場は5〜6時間以上を目安とする考え方は、鍋でも参考になります。
鍋で炊くときにやりがちなのは、強火のまま炊き続けて底を焦がし、上は硬いという状態にしてしまうことです。玄米は白米より長い時間炊く必要があるとされているため、火加減の管理が難しくなります。
鍋や土鍋で玄米を炊く手順と火加減の理屈は、別の記事で詳しく解説しています。

玄米を買ってみたものの、炊飯器に玄米コースがない。鍋で炊いてみたら芯が残ってぼそぼそだった。玄米を鍋で炊こうとすると、ここでつまずく人が少なくありません。白米な…
白米と同じ炊き方でボソボソになる失敗
玄米で最も多い失敗のひとつが、白米と同じ線、同じ浸水時間、同じコースで炊いてしまうことです。結果は、硬く、ボソボソと口に残る炊き上がりになりがちです。
農林水産省の解説では、玄米は精白米より長い時間炊飯する必要があり、硬い食感を感じる傾向もあるとされています(農林水産省「お米の機能性」)。白米向けの水の量と加熱時間は、ぬか層のない白米に合わせて設計されています。ぬか層の残る玄米には、どちらも足りません。
具体的な場面としては、白米と玄米を日替わりで炊いている家庭で起こりやすい失敗です。前日に白米を炊いた設定と線の感覚が残ったまま玄米を入れると、気づかないうちに白米の条件で炊いてしまいます。
玄米を炊く日は、線・浸水・コースの3点を声に出して確認するくらいでちょうどよいでしょう。炊き上がりが硬ければ、まずこの3点のどれが白米のままだったかを振り返ってください。
状況:5.5合炊きの炊飯器で、いつもの白米と同じ合数の玄米を入れ、白米の線に水を合わせて炊いたら、硬くボソボソした炊き上がりになった。
原因:玄米は白米より水を多く必要とし、炊飯時間も長くかかります。さらにパナソニックの5.5合炊きでは玄米の目安は1〜3合で、白米と同じ合数では容量の範囲を超えることがあります。
対策:取扱説明書で玄米の炊飯容量を確かめ、玄米の線に水を合わせて玄米メニューで炊きます。玄米メニューがなければ、白米の量より多めの水と、最低2〜3時間の浸水で補いましょう。
量り方と洗い方で、水加減はこれだけ狂う
玄米1合は150g、量りがあると水加減が安定する
水加減を正しくするには、その前に玄米の量を正しく量る必要があります。目盛りは「何合の玄米に対して」の線なので、玄米の量がずれていれば、線どおりに水を入れても比率は崩れます。
パナソニックは「玄米1合は150gです。」と解説しています(パナソニックの解説ページ)。計量カップで山盛りにすくったり、押し込んだりすると、同じ1合でも量が変わります。キッチン量りがあれば、重さで確かめることで、毎回同じ量に揃えられます。
やりがちなのは、計量カップを玄米の袋に直接差し込んですくうことです。粒が詰まりやすく、すり切りにしたつもりでも多めに入ることがあります。逆に、ふんわり入れすぎると少なめになります。玄米の量が日によって違えば、同じ線で炊いても硬さが変わってしまいます。
計量カップを使う場合は、炊飯器に付属しているカップで、すくったあと平らなものですり切りにしましょう。炊き上がりが安定しないと感じたら、一度キッチン量りで重さを確かめてみると、計量のくせが見えてきます。
洗いは、もみ殻などを取り除く程度で十分
玄米の洗い方は、白米よりずっと軽くてかまいません。強く研ぐ必要はなく、表面の汚れやもみ殻を落とせば足ります。
象印の取扱説明書には「もみ殻などを取り除く程度に洗ってください。」とあります(象印 取扱説明書PDF)。パナソニックも、流水でさっと洗う方法を案内しています。玄米は精米していないので、白米のように表面のぬかを落とすために研ぐ工程がそもそも必要ありません。
白米の習慣で、玄米をシャカシャカと力を入れて研ぐ人もいます。玄米は粒が硬いので割れにくいように感じますが、強くこすっても炊き上がりが良くなるわけではなく、手間が増えるだけです。水に浮いてくるもみ殻や小さなごみを取り除くことに集中しましょう。
洗ったあとの水切りも、水加減に関わります。ざるに上げて水を切らずに内釜へ入れると、玄米にまとわりついた水のぶん、線どおりに水を入れても実際の水が多くなります。軽く水を切ってから内釜に移し、そこで線に合わせるのが基本です。
もみ洗いは内鍋ではなく、ボウルやザルで
玄米を手でこすり洗いしたい場合は、炊飯器の内鍋の中でやらないことが大切です。内鍋の表面を傷めるおそれがあります。
パナソニックは「もみ洗いを炊飯器の内鍋で行うとコーティングがはがれるおそれがあるため」として、ボウルやザルで洗うよう案内しています(パナソニックの解説ページ)。玄米は白米より粒が硬いので、内鍋の中で強くこすると、内側のコーティングに負担がかかります。
内鍋のコーティングが傷むと、ご飯がこびりつきやすくなるだけでなく、内側の目盛りの線そのものが見えにくくなることも考えられます。水加減の基準である線が読めなくなれば、毎回の炊き上がりがぶれる原因になります。
洗うときはボウルで、水を替えながら流すようにして、最後にザルで水を切ります。内鍋は、洗い終わった玄米を入れて線に合わせて水を張るための場所、と役割を分けて考えると、内鍋を長く使えます。
白米と混ぜる・分づき米・発芽玄米ではどう変わる?玄米の水加減の応用
白米と混ぜて炊けるかどうかは、メーカーで答えが割れる
白米に玄米を少し混ぜて炊きたい、という声はよく聞かれます。ところが、この混ぜ炊きの可否は、メーカーによって案内が正反対です。
パナソニックのFAQには「白米(無洗米)や雑穀は混ぜないでください。」とあり、玄米の炊き方のプログラムとは炊き方が違うため、混ぜるとうまく炊けないと案内されています(パナソニックFAQ「玄米の炊き方」)。一方で東芝は、白米と玄米を混ぜて炊く方法として、洗米してから内釜の混合の水位目盛に合わせて水を入れる手順を紹介しています(東芝ライフスタイルの解説ページ)。
実は、ここが玄米の水加減で意外と知られていないポイントです。「混ぜ炊きは白米と玄米の線の中間に水を入れればいい」と考えがちですが、混合の目盛りを用意しているメーカーもあれば、そもそも混ぜないよう案内しているメーカーもあります。中間の線を自分で作るのは、メーカーが想定していない炊き方になる可能性があるのです。白米と玄米では吸水の速さがまったく違うので、同じ時間・同じ火で炊けば、どちらかに合わせればもう一方が合わない、という問題が残ります。
混ぜ炊きをしたいときは、まず自分の内釜に混合の目盛りがあるか、取扱説明書に混ぜ炊きの記載があるかを確認してください。記載がなければ、その機種では避けたほうが無難です。玄米を混ぜたご飯の炊き方と、芯が残る理由は別の記事でまとめています。

分づき米は、分づき米の目盛りで水加減しコースは玄米
ぬか層を一部だけ削った分づき米は、玄米と白米の中間のお米です。水加減も、玄米とも白米とも違う扱いになる場合があります。
日立RZ-EG10Jの取扱説明書では「分づき米は、「分づき米」の水位目盛で水加減し、」と注記され、コースは玄米を選ぶよう案内されています(日立 取扱説明書PDF)。水の量は分づき米専用の線、加熱は玄米コースという組み合わせです。ぬか層が一部残っている分づき米は、白米ほどすぐには水を吸わず、玄米ほどは水を必要としない、という性質に合わせた指定だと読み取れます。
やりがちなのは、分づき米を玄米の線で炊いて柔らかくなりすぎたり、白米の線と白米コースで炊いて硬くなったりすることです。どちらも、中間のお米を両端のどちらかに寄せてしまった結果です。
分づき米を炊くときは、内釜に分づき米の目盛りがあるかを確認し、あればその線を使いましょう。目盛りがない機種では、取扱説明書で分づき米の扱いを確かめるのが確実です。
雑穀や炊き込みご飯は、玄米の目盛りが土台になる
玄米に雑穀を加えたり、玄米で炊き込みご飯を作ったりするときも、水加減の出発点は玄米の目盛りです。ただし、雑穀の扱いもメーカーによって案内が分かれます。
三菱電機NJ-XWA10Jの取扱説明書には、雑穀米の混ぜ炊きは水位目盛の玄米以外では選べない旨の記載があります(三菱電機 取扱説明書PDF)。一方、パナソニックのFAQは前述のとおり、玄米に雑穀を混ぜないよう案内しています。炊き込みご飯については、象印の取扱説明書の手順で、玄米3カップの例では調味料を入れたあと「玄米の水位目盛3まで水をたして」炊くよう示されています(象印 取扱説明書PDF)。
炊き込みご飯でやりがちなのは、玄米の線まで水を入れてから調味料を加えてしまうことです。しょうゆやだしなどの液体のぶん、全体の水分が線より多くなります。象印の手順のように、調味料を先に入れ、そのあとで線まで水を足す順番にすると、水分の総量が目盛りどおりに収まります。
雑穀や具材を加えるときは、自分の機種の取扱説明書に混ぜ炊きや炊き込みの記載があるかを先に確認し、記載がある場合は手順の順番まで含めてそのとおりに進めましょう。
発芽玄米は玄米とは別物、パッケージと取扱説明書を確認する
発芽玄米は、玄米をわずかに発芽させたお米です。名前は似ていても、炊き方や水加減は普通の玄米とは別に考える必要があります。
玄米の水加減で説明してきた「ぬか層が水を通しにくいので、浸水に時間がかかる」という前提は、普通の玄米の話です。発芽玄米は、商品によって吸水の状態や推奨される炊き方が異なります。炊飯器によっては、玄米とは別のメニューが用意されている機種もあります。
やりがちなのは、発芽玄米を普通の玄米と同じように長時間浸水させたり、玄米の線と玄米メニューで炊いたりすることです。商品の想定と違う炊き方をすれば、柔らかくなりすぎるなど、炊き上がりが思いどおりになりにくくなります。
発芽玄米を炊くときは、まず商品のパッケージに書かれた炊き方と水加減を確認し、次に自分の炊飯器の取扱説明書で対応するメニューがあるかを見てください。玄米と発芽玄米の違いや炊き方の理屈は、別の記事で詳しく整理しています。

スーパーのお米売り場で「玄米」と「発芽玄米」が並んでいると、どちらも茶色くて見た目は似ているのに、何が違うのか迷ってしまいますよね。名前に「発芽」と付いているぶ…
玄米の応用編は、どれも「自分の機種の取扱説明書に記載があるか」で答えが決まります。白米との混ぜ炊きはパナソニックが混ぜないよう案内し、東芝は混合の目盛りを用意しています。分づき米は日立のように専用の目盛りと玄米コースを組み合わせる機種もあります。中間の線を自己流で作らず、記載のある方法から試すのが失敗しない近道です。
まとめ
玄米の水加減は、一般的な倍率を探すより、自分の炊飯器の線とコースを知ることが近道です。最初の一歩として、今日のうちに炊飯器の型番を確かめ、取扱説明書のメニュー表で玄米の行と水位目盛、炊飯容量の3か所に目を通してみてください。そのうえで一度、線どおり・コースどおりに炊いてみれば、硬さや柔らかさを調整するための基準が手に入ります。硬いと感じたら水を大きく増やす前に、まず吸水を足すところから始めましょう。
※炊飯器のメニュー名・目盛りの位置・炊飯容量・所要時間は機種ごとに異なります。最新の情報は各メーカーの取扱説明書・サポートページでご確認ください。

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